動物愛護活動をしている団体があることは知っていても、活動内容がわからない方が多いのではないでしょうか。
団体としてどんな活動をしているのかとても気になりますよね。
この記事では、実際に動物保護団体で2年活動してきた筆者の体験をもとに、動物愛護団体NPOの活動内容についてわかりやすく解説していきます。
動物愛護団体NPOとは
NPOとは非営利団体で、あくまでも第一の目的を社会貢献活動とし営利を目的としない組織団体のことです。
動物愛護団体NPOは、近年よく耳にする殺処分ゼロを目指すためには欠かせない存在です。
動物愛護センターと連携をとって動物愛護活動を行い、行政機関の手が回らない取り組みを実施し、補うことが動物愛護団体の主な役割となっています。
具体的な活動内容の一例として、犬や猫の引き取り、シェルターでの飼養管理、物資の募集、譲渡会の開催などがあります。
ここからは、動物愛護団体NPOの保護活動の内容を更に詳しく解説していきます。
動物愛護とは、行き場のない動物を保護して終わりではありません。国民の暮らしがより豊かになるよう、地域や社会の創造させるためにも欠かせない存在となっています。
1. 犬や猫の引き取り
動物愛護団体は、犬や猫を引き取り譲渡することを主な活動としています。
引き取り方法としては、行政機関からと保護主や飼い主からの2パターンになります。
ここでは、犬猫の引き取りについて解説していきます。
行政機関からの引き取り
行政機関とは、国家や地方自治体機関である、「保健所」や「動物愛護センター」になります。
飼い主の都合で行き場を失った犬や猫、、野良猫や迷い犬などが収容されますが、行政機関だけでは賄いきれないので、連携している動物愛護団体が引き取りを行っています。
行政機関から引き取り依頼が来るときもありますが、動物愛護団体から引き取り依頼をすることもあります。
どんな子を引き取るかは団体により違っていて、小型犬のみの団体や、高齢や癖の強い子を積極的に引き取りする団体など様々です。
犬で噛み癖や問題行動のある子は、引き取り後にドッグトレーナーが訓練します。
収容された犬や猫はもちろん健康な子もいますが、高齢な子や病気を持っている子などもいます。
また、猫の出産シーズンになると生後数日~数週間の子猫が持ち込まれることが多いので、春~夏にかけては子猫の引き取り依頼がとても多くなります。
動物愛護団体が引き取りを行うことで、殺処分される犬や猫を減らすことに繋がっています。
直接引き取り
動物愛護団体の中には、直接引き取りを行っている団体もあります。
行政の管轄である、保健所や愛護センターがひっ迫しているときなど、代わりに引き取りに応じる取り組みを行っているところもあるようです。
また、個人同士が集まり活動している団体が引き取る場合は、スタッフや預かりさんの家で預かってもらうという引き取り方をしているところもあります。
動物愛護団体によっては、引き取り費用を支払うことで終生飼育してくれるところもあります。
しかし、すべての動物愛護団体で直接引き取りが行われているわけではありませんので、引き取りをお願いしたい場合は事前に確認する必要があります。
保健所では「小動物の引き取り」や「一時収容」を行い、一定期間後に愛護センターに引き渡されます。愛護センターでは、国民や飼い主の意識の向上、引き取り件数の削減など、殺処分をなくすための活動に重きをおいています。
2. シェルターでの飼養管理
犬や猫を引き取った後、動物愛護団体のシェルター内でお世話をしていきます。
シェルター内で気をつけていることは、部屋や食器などを衛生的に清潔に保つことです。
食器皿は予洗いした後、消毒液に10分以上浸けてから洗剤で洗います。
この時洗剤が少しでも残っていると、お腹を壊す原因になるので十分にすすぐことが重要です。
犬や猫に使用している毛布やブランケットは毎日消毒してから洗濯しています。
また、掃除やご飯などのお世話をしながら話しかけたりして人馴れさせていくのも一つの仕事です。
どんなお世話をするのか犬と猫では違うのかなど、お世話の内容について詳しく説明していきます。
検疫管理
犬や猫を引き取った後の一定期間(団体により期間は違います)隔離飼養するのが、検疫管理です。
一部屋ごとに隔離し、体調面に異常がないか観察を行い、給餌量や便・尿に異常がないかも確認します。
犬の場合はその子に適した散歩の方法を見つけるのもこの期間です。
また、一人でいると分離不安のような状態になり、ずっと吠えたり、周りの壁を噛んだりすることがあるので、頻繁に様子を見に行きます。
未手術であれば、避妊・去勢手術を済ませ、ワクチン接種やマイクロチップ、ウイルス検査などもこの期間に実施して他の子と一緒にしても大丈夫かどうかの確認を行います。
また、体調面に異常が見られ治療が必要と判断された場合は、検疫室で治療を行っていきます。
掃除は通常の掃除方法とは違い、必ずエプロンとゴム手袋を使用します。
猫の場合は一人につきトイレスコップは一つずつ使用し、ブランケットもカットしてある使い捨てを使用します。
食器や掃除道具は別の部屋で消毒液に浸けてから洗います。
毎日決められた手順で行い、感染症など発生しないために常に清潔に保ってます。
検疫を担当したスタッフは、他の子への感染リスクがないとは言えないので、他の部屋へ入ったり、触れ合ったりしないように徹底してます。
検疫期間が終了し、検疫室の掃除はエアコンのフィルターから掃除道具、スリッパなど洗えるものは全て消毒液に浸けてから部屋全体の掃除を行います。
部屋での飼養管理
検疫期間終了後、犬は犬舎へ猫は大部屋へと移動します。
猫の場合、ウイルス検査でエイズキャリアかノンキャリアかを確認しキャリア部屋とノンキャリア部屋に分けて管理しています。
移動後も検疫期間と同様に、体調面や給餌量などの管理を継続して行っていきます。
決められた手順で各部屋ごとに毎日掃除を行い、清潔さを維持することが重要です。
猫の場合、環境に慣れるまではケージ管理とし、少しづつ時間を決めてフリータイムを作っていきます。大人猫の場合は特に注意が必要です。
犬は天気に関係なく朝夕の散歩は欠かさず行い、ドッグランで遊んだり定期的にトリミングやシャンプーをしたりします。
猫は他の猫との相性を見守りながら、朝ご飯終了後にフリータイムにしておもちゃで遊んだり、爪切りやブラッシングなどをします。
犬も猫も部屋の温度管理し、加湿器を使用して乾燥させないように注意します。
季節の変わり目などは、体調を崩しやすくなるので、日々のちょっとした変化も見逃さないようにしています。
少しでも体調に変化が見られた場合は、週1回訪問してくれる獣医師に電話やメールで投薬の相談をしたり、必要に応じてかかりつけ病院へ連れていくこともあります。
3. 譲渡会の開催
引き取りした犬猫の新しい家族を探すお手伝いとして、毎月定期的に譲渡会を開催しています。
譲渡会に来られない人のために随時面会も行っています。
事前申し込みで家族状況や簡単なアンケートに回答していただき、審査通過後に実際に会っていただきます。
再度詳細なアンケートと聞き取りを行い、総合的に判断します。
動物愛護団体により申し込み方法や審査基準が違いますが、幸せになってほしいという気持ちはどの団体も同じです。
譲渡場所と審査基準について解説していきます。
譲渡場所
譲渡会は、動物愛護団体のシェルターで行うことが多いです。
実際に生活している場所に来てもらうことは、犬や猫の移動がないのでストレスを与えることがありません。
慣れた場所なので、普段と変わりない姿を見てもらうことが出来るのも良いところです。
また、ホームセンター内の一角を借りて譲渡会を実施したり、愛護センターなどで実施する団体もあります。
譲渡会の日時や場所は、動物愛護団体のホームページやSNSで予告されますので、譲渡を考えている方はチェックしておくとよいでしょう。
審査基準
譲渡の審査基準は、年齢や職業、飼育経験などから総合的に判断します。
最初の申し込み時のアンケートでは、家族構成や飼育経験、アレルギーの有無、留守番時間など簡単なものになります。
譲渡会では家族全員に来てもらい更に詳しくアンケートを記入し、そこから聞き取りを行います。
里親になろうと思ったきっかけや先住さんがいればその子の性格や今現在の飼育方法、不在時間、脱走対策は可能かなどを細かく聞き取りします。
アンケート内容と聞き取り調査結果を総合的に判断して合否判定を出します。
誰にでも譲渡するのではなく、家庭環境や里親希望の方の考え方、犬や猫の性格も踏まえたうえで判断します。
動物愛護団体では、里親希望の方が来てくれて嬉しい反面一番悩むのが譲渡会です。
4. 物資の募集
動物愛護団体NPOは、支援金を活用して運営しています。
その為、飼育に必要な物資などは募集をし、寄付をしていただいています。
何が必要か時期により必要な物資も変わったりしますので、その都度支援物資の募集を行っています。
支援物資の種類や募集方法、使い方について詳しく解説していきます。
支援物資の募集方法
支援物資が必要になっときは、ホームページやSNSを通じて依頼をします。
また、ホームページにAmazon欲しいものリストのURLがあり、常に欲しいものを載せています。
何度も支援物資送ってくれる方やボランティアで来られる方で支援物資を持ってきてくれる方もいます。
支援物資を送ってくれる方の中には、メッセージやお手紙を同梱してくれる方もいて、とても励みになっています。
SNSでは、送付者のイニシャルと支援物資を定期的に載せてお礼とさせていただいてます。
支援物資の種類と使用方法
支援物資の中のAmazon欲しいものリストには子猫のミルクやムース(離乳食)爪とぎ、猫砂、おやつなどがあります。
ミルクは乳飲み子を引き取った時に使用し、ムース(離乳食)もミルク離れをするタイミングでとても必要になります。
爪とぎは各ゲージに入れたり、フリースペースに置いたりして使用しています。
欲しいものリストにない支援物資として、ウエスがあります。
ウエスとは、タオルやバスタオルを長方形にカットした使い捨ての雑巾です。
掃除の時は、すべて使い捨てのウエスを使用しています。
犬舎の壁を拭いたり、猫のケージのステップやトイレの拭き取り、床の拭き掃除、棚などの拭き掃除に使用しています。
5. 広報活動
行政機関などから犬や猫を引き取り新しい家族を見つけるために、広報活動を行います。
今どんな子が家族を募集しているのか、その子の性格やアピールポイントをSNSで発信します。
また、シェルターで生活している子の日常生活を写真や動画で紹介したりすることで、家族を迎えようとしている人の目に留まるような広報活動はとても重要です。
その他の広報活動として、譲渡会開催日時やボランティア募集なども行っています。
最近では、SNSにより〇〇通信という譲渡後の様子だったり、シェルター内での出来事を定期的に発信しています。
保護活動に携わるには
ペットを飼っている、動物の保護に興味がある方であれば、活動に携わってみたいと考えているかもしれません。
個人でも活動に携わる方法はいくつかありますので、ご紹介したいと思います。
ボランティアに参加する
ボランティアに参加することで、動物愛護団体の保護活動に携わることができます。
NPOなどの非営利団体は、ボランティアを募集しているケースが少なくありません。
活動内容としては、保護犬・保護猫のお世話、犬舎や猫部屋の清掃、シェルター内及び周囲の清掃などが多いです。
他にも広報ボランティアや運搬ボランティアなどを募集している団体もありますので、事前に確認してみてください。
寄付する
動物愛護団体へ寄付する方法も考えられます。
寄付金は、動物愛護団体の支援金として使用されます。
間接的ですが、犬や猫の保護活動に参加できます。
最近では、ふるさと納税やクラウドファンディングなどをしている団体もあります。
まとめ
本記事では、動物愛護団体NPOの保護活動について解説させていただきました。
犬や猫を引き取ってから、お世話だけではなく譲渡会や広報など様々な活動をしています。
雑処分ゼロを目指すには、なくてはならないのが動物愛護団体です。少しでも興味がありましたら、支援物資や寄付、ボランティアから参加してみてはいかかでしょうか。