犬猫の肉球の役割とは!舐めるのはなぜ?ひび割れ対策ケア用品も

肉球を舐める猫
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イヌ科やネコ科の動物の足の裏には、移動するときに欠かせない役割を持つ肉球(パウもしくはパッド)があります。

ぷにぷにとした柔らかな触感から、ペットを飼育されている方の好きな部位の一つではないでしょうか。

犬や猫にとっての肉球は、私たち人間が外を歩くときに必要とする靴のように、もしくはそれ以上に重要な役割を持っています。

そして、犬と猫では、生活スタイルの違いから、肉球がもつ役割は少し異なるのです。

今回は、犬と猫の肉球に隠された秘密をお伝えしましょう。

また、肉球はそのままだとトラブルが起きて十分に機能を発揮できない場合があります。

肉球のお手入れのポイントおすすめのケア用品も、あわせてご紹介します。

ぜひ、大切なペットのケアに役立ててください。

目次

肉球はクッション以外にセンサーとしても活躍!役割6つを解説

高くジャンプしてフリスビーをキャッチした犬

肉球のもっとも大きな役割は、地面を歩くときにクッション(緩衝材)になることです。

歩くときや走るときの衝撃から足裏を守ることで、素早い動作につながったり、踏ん張れたりします。

また、やわらかい肉球のおかげで、骨や関節にかかる負担を軽減することもできるのです。

私たちも、ジャンプしたり高低差のあるところから飛び降りたりすると足に衝撃があるのがわかるでしょう。

肉球はそれらの衝撃から守ってくれているのです。

肉球には、クッション以外にも、以下のような役割があります。

  • センサー
  • 体温調節
  • 滑り止め
  • 足音を消す(猫)
  • 温度変化から足を守る(犬)

それぞれ、詳しくみていきましょう。

センサーとしての役割

地面からは、さまざまな情報を得ることができます。

砂や土、アスファルトなどの地面の材質や、温かいか冷たいかといった温度、道が平坦なのかごつごつと障害物がたくさんある場所なのかどうかなど、目で見る以外にも肉球からたくさんの情報を得ることができます。

野生下で安全を確認しながら生活するには、足元のセンサーとしての役割は欠かせない機能なのです。

体温調節

舌を出して体温調節をする犬

ご存じの方も多いかと思いますが、犬や猫は身体に汗腺がなく、ほとんど汗をかきません。

汗は、「気化熱」を利用することで上昇した体温を下げる役割があります。

汗で体温調節ができる動物は、人間と馬のみ!

じつは、体温を下げられるくらい体表からしっかりと汗をかける動物は人間と馬くらいしかいません。

カバも汗をかきますが、これは体温を下げるよりも、乾燥から皮膚を守るために行われています。

全身で汗をかくことができると体温の調節がしやすいため、長時間にわたる活動が可能になります。

犬や猫は瞬発性のある動きは得意ですが、長時間にわたる持久走のような活動は苦手です。

これは、活動しているうちに体温が上がり過ぎてしまい、うまく呼吸できなくなってしまうことも要因の一つとしてあげることができます。

犬や猫の身体の表面を覆う毛は、体温を下げるよりも寒さや紫外線、熱といった刺激から、身体の表面を守る役割があります。

自然界で生きていくには、体温を下げるよりも体温を維持する方が重要だったのですね。

犬や猫が身体の中で唯一汗をかくのが、肉球です。

しかし、汗をかける面積はとても小さいため、実際に体温調節の役割を十分に果たしているかといえば、そうではないのは明らかです。

犬は、パンティングといって呼吸の頻度を浅く早くすることで体温を下げています。

また、犬も猫も、冷たい床に横になったり、日の当たらない場所をうまく探して移動したりすることでも体温を調節しています。

肉球の汗をかいて体温調節をする働きは、補佐的なものといえるでしょう。

滑り止め

猫の場合は肉球から汗をかくことで、犬の場合は肉球表面の小さな突起のおかげで、全力で走ったあとに急停止することができます。

靴の裏側も、でこぼこした突起状になっていますが、もし突起がなかったり突起が摩擦で削れてしまったりしたら、滑りやすくなりますよね。

犬や猫にとって肉球は、優秀なブレーキなのです。

足音を消す(猫)

獲物を狙う猫

もともと猫は、単独で狩りをして生活する生き物です。

狩りの成功率を上げるには、できるだけ獲物に近づく必要があります。

猫の肉球には足音を消す働きがあるため、獲物に近づくのに役立っているのです。

温度変化から足を守る(犬)

雪の中を走る犬

特に屋外で暮らす犬の場合、地面からの刺激によって次第に肉球が硬く分厚くなっていきます

厚さや硬さが増すことで地面からの刺激を受けにくくなり、特に寒さから守ってくれるのです。

犬が、猫とは異なり雪が降っても凍傷にならず、平気で外で活動できる理由の一つです。

犬と猫で異なる?肉球の構造

続いて、肉球の構造がどのようになっているかみていきましょう。

肉球の配置

チワワの前足の肉球

犬も猫も、肉球が手の先にどのように配置されているかは同じです。

前足は、手のひらにあたる部分に大きな「掌球」があり、指先にあたる部分に4つの「指球」があります。

そして、少し離れた手首の付け根部分に「手根球」がついています。

後ろ足は、同じく大きな「足底球」が真ん中に位置して、その先に「趾球」がある配置です。

後ろ足には手根球はありません

肉球の構造

ビーグルの後ろ脚の肉球

肉球は、外側から角質層、表皮、真皮層、皮下組織で成り立っています。

角質層

もっとも外側は角質層となっていて、断面を見るとスパイク状になっており、刺激が繰り返されることで分厚くなるのが特徴です。

犬は、猫よりもこの角質層が厚くなっています。

表皮

角質層の内側にある表皮は、地面に近い部分ほどハニカム構造が顕著にみられます。

ハニカム構造は、ハチの巣にみられる六角形の構造です。

少ない素材で最大限の強度を発揮できる構造として知られています。

これは、六角形が外圧を均等な力で分散できることによるためで、一ヶ所に大きな負荷がかかることがありません

真皮層

真皮層には血管や神経が通っていて、外部からの刺激を受け取るのに役立ちます。

弾力性が高い「エラスチン繊維」を多く含むのが特徴です。

猫の場合、真皮層が発達していることによって鋭敏な感覚を手に入れました。

皮下組織

最も内側にある皮下組織は、脂肪と弾性繊維で構成されています。

衝撃を吸収しやすく、また弾性繊維は弾力性に富み、皮下組織の機能を維持することに役立っています。

肉球に起こりうるトラブルとは?

猫のきれいな肉球

肉球は角質層によって外の刺激から守られていますが、それでもトラブルがないとは言い切れません。

肉球に起こりうるトラブルをいくつかご紹介します。

乾燥

空気の乾燥や乾いた砂地を多く歩くことなどによって、肉球の表面が乾燥してしまうことがあります。

乾燥がひどくなることで肉球の表面がひび割れてしまい、痛みやかゆみの原因になってしまうのです。

冬場や乾燥した場所を多く歩いたときなどには、足裏をよくチェックしてあげましょう。

ケガ

歩いているときにガラスや石など踏んでしまったり、特に猫同士でケンカをしたりした場合に肉球が傷ついてしまうことがあります。

深くえぐれている、出血がひどいといった場合には、動物病院での診察が必要です。

炎症・アレルギー

犬の肉球は、猫とは異なり一つ一つがしっかりとした厚みを持ちます。

肉球の側面は、肉球が汗をかくため皮脂やほこりなどの汚れがたまりやすく、炎症が起きやすいのが特徴です。

肉球と肉球の間の皮膚の炎症を、「指間炎」といいます。

頻繁に指の間を舐めている場合は、指間炎を引き起こしている場合があるため、注意が必要です。

犬の肉球のトラブル「アトピー性皮膚炎」

犬の場合、肉球と肉球の間の指間は、アトピー性皮膚炎の症状が出やすい場所の一つです。

指間のほかに、目の周りやお腹などにも赤み・かゆみがみられることがあります。

アトピー性皮膚炎はアレルギー症状の一つであるため、アレルギー検査を実施して、原因を探って対処しなければなりません。

アトピー性皮膚炎は、外部からの刺激が原因となって引き起こされます。

また、アレルギーによる症状はアトピー性皮膚炎に限ったことではなく、外部寄生虫や細菌、食べものなどが原因になることもあります。

猫の肉球のトラブル「形質細胞性足皮膚炎」

猫の肉球の皮膚炎で、発生頻度はまれです。

アレルギーや免疫反応が原因で起こるとされており、形質細胞が異常増殖することで、以下のような症状が肉球にみられます。

  • むくみ
  • 出血
  • 潰瘍
  • 膿が出る
  • 足を引きずって歩く

形質細胞性足皮膚炎は、猫免疫不全ウイルス猫白血病ウイルスに感染しているとかかりやすいといわれています。

治療するには、抗生物質や合成副腎皮質ホルモンを投与しますが、症状がひどい場合には外科手術も必要です。

肉球を舐めるのはトラブルが起きているとき?

犬や猫は、日常的に肉球を舐めてお手入れをします。

しかし、それ以外にも肉球を舐める理由があり、以下の場合に当てはまる場合は注意が必要です。

  • ケガをしている
  • 痛みや違和感がある
  • ストレスを感じている

しつこく何度も肉球を舐めている、気にしているようであれば、肉球を確認してあげます。

異常がみられる場合やストレスを感じているか心配な場合は、動物病院で診察・相談してみるとよいでしょう。

年齢による変化にも気をつけましょう

年齢が上がってくると、肉球は乾燥によってカサカサして、ひび割れがみられることがあります。

乾燥やひび割れから感染症にかかりやすくなったり、滑りやすくなったり、痛みでうまく歩けなくなったりするため、毎日わずかな時間でよいので、肉球の状態を確認してあげましょう。

高齢になればなるほど、歩けないことが体力の低下や免疫力の低下につながります。

いつまでも元気でいてもらうために、日々観察を怠らないようにしましょう。

肉球のお手入れのポイント

手を手入れする猫

普段からできる肉球のお手入れのポイントを三つお伝えします。

1.基本的には乾いたタオルで拭く

汚れがひどい場合を除き、毎回水で洗い流す必要はありません

特に、猫の肉球には水をはじく機能が備わっています。

犬の場合、散歩や外遊びのたびに足を水で洗っていると、かえって肉球の乾燥を招く場合や、菌が繁殖して感染症の原因になりかねません。

基本的には、乾いたタオルで拭いてあげれば十分です。

2.乾燥が気になる場合は専用のクリームを使用する

肉球がカサカサしている場合は、専用の保湿クリームやジェルを薄く塗り、マッサージをしてあげましょう。

適量や頻度を守って使用することが大切です。

何度もしつこく塗る、べとべとになるほど塗るといった行為は、ペットに不快感を与えてしまいます。

ストレスを与えて肉球を過剰に舐める原因になるため、ペットの様子を確認しながら行いましょう。

3.毛が長すぎる場合は切りそろえる

長毛種の場合、肉球の間の毛が伸びて滑りやすくなってしまうことがあります。

歩行を邪魔しているようであれば、トリミングやご自身で、適度な長さに切りそろえてあげるとよいでしょう。

ご自身で行う場合には、誤ってケガをさせないように注意が必要です。

指でやさしく肉球と肉球の間を広げて、伸びすぎた毛をカットします。

肉球のおすすめケア用品

肉球ケアに使用できる用品を、いくつかご紹介します。

シアわせのみつろうバーム

シアわせのみつろうバーム
引用:Amazon

犬の管理栄養士と獣医師が監修した肉球ケアバームです。

100%自然由来の成分で、添加物を一切使用せず作られていて、ペットが舐めても健康に影響はありません

シアバターやホホバオイル、椿オイル、オリーブオイルなどを使用しています。

シアわせのみつろうバーム

INOPET 肉球クリーナー

肉球クリーナー
引用:Amazon

水を使用せずに泡で肉球を洗浄できるクリーナーです。

やわらかなブラシが一体化しており、泡が出るとそのままブラシで肉球を吹き上げることができます。

水で洗うと必要な油分まで飛んでしまい、かえって乾燥の原因になりますが、肉球クリーナーを使用することで適切な洗浄を行えます。

獣医師が推奨しており、こちらも日本製で、無添加の商品です。

INOPET 肉球クリーナー

A.P.D.C. ポウ&エルボウローション

ポウ&エルボウローション
引用:Amazon

肉球だけでなく乾燥しがちな肘にも使用できるローションです。

マカダミアナッツオイルやマンゴー種子オイルが含まれていて、浸透性が高く、使用後は肉球がしっとりします。

べたつくことはなく、ラベンダーとティーツリーのすっきりとした香りが特徴です。

A.P.D.C. ポウ&エルボウローション

実はペットの肉球ケアに使える「白色ワセリン」

乾燥予防として幅広く使用されているワセリンですが、純度が高い白色ワセリンペットにも使用することができます。

白色ワセリンは、不純物がほとんどない石油から精製された保湿剤です。

医療現場でも使用されているように安全性が高く、刺激が少ないため赤ちゃんにも使用することができます。

においもなく、肉球に限らずペットの全身の乾燥ケアに使用することが可能です。

薬局やドラッグストアで安価に手に入れることができるのも、白色ワセリンのメリットでしょう。

選ぶときには、純度のより高いものや赤ちゃんでも使用できるベビーワセリンをおすすめします。

日興リカ|サンホワイトP-1

健栄製薬|ベビーワセリン

まとめ

砂浜に残るペットの足跡

肉球は、犬や猫にとって歩いたり走ったりするために欠かせない大切な役割を担っています。

いつまでも健康に快活に過ごせるように、ぜひ毎日のケアに肉球ケアを取り入れてみてください。

ただし、肉球や指先は、ペットによっては触られるのを嫌がる場合もあります。

それだけ敏感な場所の一つなのです。

そのような場合には無理にケアを行わず、動物病院で相談したり、トリミングなどをうまく活用しましょう。

適切なケアで、ペットの健康をサポートしてあげてください。

【免責事項】Animal Compassionではできるだけ正確な情報提供を心がけていますがご利用者様による正当性の確認をお願いいたします。また医療に関する助言を提供することはございませんので、最終的な判断は適切な医療従事者に個別の状況を確認してもらった上で行うようにお願いいたします。

肉球を舐める猫

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この記事を書いた人

子どもの頃から動物がそばにいるのが当たり前の環境で育ちました。
大学では家畜の機能形態学・病理学を専攻し、また馬術部に入部し、長年夢だった乗馬を始めることができました。
社会人になった現在も乗馬は継続中です。
大型犬と小鳥と一緒に生活しています。

ペット医療を中心としたジャンルでライティング活動をしています。
こちらのWEBサイトでの活動を通じ、動物と人間がよりよい関係を築くためのお手伝いができれば幸いです。

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