【家庭でおなじみのアレも?】犬猫に危険な食べ物&植物と誤食の対処法

ペットにあげてはいけない食べ物や植物
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私たちが日常的に食べているものも、犬や猫にとっては危険である可能性があります。

先週保護猫を迎えたという友人に「何に気を付けて生活したら良い?」と聞かれ、「一番は、誤食かな」と答えました。

愛玩動物看護士としての勤務経験のある著者が、犬猫にとって危険な食べ物と植物、また誤食してしまったときの対応についてお話しします。

目次

中毒を引き起こす…!危険なもの8選

オーナーが注意していたとしても、誤食が発生することはあります。

筆者は猫と生活を共にしていますが、ヒヤリハットを何度か経験しています。

最も記憶に新しいのはタマネギ入りの肉じゃがです(後述しますがタマネギは猫にとって中毒を引き起こす可能性の高い危険な食べ物です)。

夕食前に肉じゃがを用意しほんの数秒目を離した隙に、猫がにおいを嗅いでいたのです。

あと数秒、気が付くのが送れていたら、もしかしたら食べていたかも…そう思うと気が気でなりません。

あなたもこのようなヒヤリハットを経験したことはありますか?

年間でどのくらいの件数の誤食が発生しているのでしょう?

【意外に多い】誤食(誤飲)発生件数

2011年、獣医師向けに誤食発生件数に関するアンケートが実施されています。(参考:社会獣医学的挑戦 犬、猫の誤飲:傾向と対策【傾向編】

驚くことに、全国で年間で20万件以上もの誤食が発生していると推測されているのです。

誤食は経過観察で済むこともあれば、緊急処置や手術が必要になる場合もあります。

では、何を誤食するケースが多いのでしょうか?

異物で誤食(誤飲)後の死亡率が高いもの上位8つ

①ひも

②靴下やタオル、雑巾などの布類

③(団子や焼き鳥などの)竹串

④果物や梅干しの種

⑤石や砂

⑥ボール

⑦犬用ガム

⑧プラスティック

でした。

ひもや靴下、タオルなどの布類は誤食してしまうと腸閉塞を引き起こす可能性がほかの6つよりも高く、死に至るケースも多いのです。

また、竹串や爪楊枝などの尖ったものは胃や腸に刺さるケースもあります。

中毒物で誤食(誤飲)発生後の死亡率が高いもの上位7つ

①エチレングリコール(不凍液)

②ナメクジ駆除剤

③殺鼠剤

④観賞用ユリ

⑤除草剤

⑥ヒトの医薬品

⑦チョコレート

となりました。

車のエンジン用の不凍液は誤飲後に死に至る可能性が高いため、取り扱いには十分気を付けなくてはなりません。

ナメクジ駆除剤、殺鼠剤、観賞用ユリ、除草剤は発生件数は多くないものの、誤食(誤飲)してしまうと死亡率の高いとても危険なものです。

ヒトの医薬品の誤食は発生件数も死亡率も高く危険であると言えます。

筆者のヒヤリハットと同じように、ほんの少し目を離した隙に起こってしまうのです。

そんなヒヤリハットを回避するために、犬・猫にとって中毒を引き起こす可能性のある食べ物について把握しておきたいですよね。

「欲しがったから」「食べたそうにするから」など良かれと思って与えたものがきっかけでペットに危険が及ぶことがあるのです。

犬用・猫用以外の食べ物を与える際には有害でないか確認することが大切です。

絶対に避けたい!中毒の危険があるもの8選

①ネギ類(ネギ、タマネギ、長ネギ、ニラ、ニンニク等)

犬・猫にとって有害である、最も有名な食べ物です。

ネギ類に含まれるアリウムという成分が赤血球を破壊し急性貧血を起こします。(参考:獣医師広報版 タマネギ中毒

この貧血は非再生性貧血と言って、赤血球は破壊されるばかりで作ることはできません

貧血に伴い黄疸や赤い尿が認められることもあります。

赤血球が破壊されるので、酸素を体内に運ぶことができなくなり呼吸困難に陥る可能性があります。

最悪の場合、死に至る恐ろしい中毒です。

ハンバーグなどネギを使用した料理も危険です。

また直接誤食するだけでなく、タマネギをさらした水を飲んだだけで中毒を引き起こすこともあります。

誤食してしまった場合、症状が出るまで1~4日と差があります。

②チョコレート

チョコレートに含まれるテオブロミンという成分が原因で中毒引き起こします。

カカオ含有量の多いものほど危険です。

けいれん発作や不整脈、嘔吐などを引き起こし最悪の場合死に至ります。

③アボカド

人にとっては健康に良いとされるアボカドも犬・猫にとっては有害なのです。

アボカドに含まれるペルシンという成分が原因で中毒を引き起こします。

ペルシンはアボカドの葉、皮、種、果実に含まれていて葉が最も含有量が多いとされています。

嘔吐、下痢などの消化器症状を引き起こし重篤な場合は、けいれん発作や呼吸困難などが起こります。

④キシリトール

キシリトールはガムや飴、クッキーなどに甘味料として使用されるほか歯磨き粉にも用いられます。

犬・猫が摂取した場合、低血糖が起こり肝障害を引き起こしたり最悪の場合死に至ります。

以前受講した愛玩動物看護士向けの緊急対応セミナーで以下のことを学びました。

1kgあたり100mg摂取すると30分以内に低血糖を引き起こし嘔吐、けいれん発作などを引き起こしてしまうそうです。

わたしたちが食べるガムは1粒あたり600mgのキシリトールが含まれているので、6kgの犬・猫がガムを一粒誤食すると中毒を起こす可能性があります。

⑤レーズン(ぶどう)

食物繊維が豊富で腸内環境を改善するために良いとされているレーズンですが、犬や猫が摂取すると急性腎不全を引き起こしてしまう危険な食べ物です。

急性腎不全は嘔吐や下痢を引き起こし、最悪の場合死に至ります。

レーズンやぶどうに付着したオクラトキシンというカビによって作られる毒素が原因でないかと言われていますが、未だはっきりとは解明されていません。

⑥マカダミアナッツ

愛玩動物看護師セミナーを受講した際に得た知識で、中毒を引き起こすことが分かっています。

嘔吐や下痢といった消化器症状のほかに、麻痺や運動失調といった神経症状が報告されています。

マカダミアナッツオイルにも成分は入っているので気を付けましょう。

⑦タバコ(ニコチン)

人にだけでなく、犬・猫などの動物にとっても有害な物質であることが分かっています。

タバコの吸い殻を誤食するほかにも副流煙でも中毒を起こす可能性があります。

ニコチン中毒は摂取後15~90分ほどで症状が出始め、最悪の場合死に至ります。

下痢や嘔吐などの消化器症状、けいれん発作、高血圧などを引き起こします。

灰にもニコチンは含まれますので注意が必要です。

また、中毒のリスクがあるだけでなく長期の受動喫煙はがんなどの腫瘍疾患や気管支炎などの呼吸器疾患のリスクを上げることが分かっています。

⑧ヒトの医薬品(サプリメント含む)

鎮痛剤に含まれるアセトアミノフェン・イブプロフェンを摂取するとよだれを垂らす、嘔吐などの消化器症状、けいれん発作、腎障害を引き起こす可能性があります。

特に猫で重篤な症状が報告されており、1錠の摂取で最悪の場合死に至ることがあります。

「犬・猫のお腹の調子が悪くて」「犬・猫が痛がっていたから」と人用医薬品を飲ませてしまうケースもあります。

正しい知識を持つことで大切な家族を危険から遠ざけることができます。

要注意!危険なもの8選

床に寝転がりこちらを見つめる猫

①柑橘系(グレープフルーツ、みかんなど)

中毒を引き起こす成分は確認されていませんが、積極的に与えるのは控えましょう。

例えばみかんは、薄皮がないものに比べて有るものは食物繊維量が2倍になり消化不良を引き起こす可能性があります。

②ピーナッツ

マカダミアナッツと違い中毒を引き起こす成分は確認されていません。

ナッツ類はカロリーが高いということは有名ですが、犬にとっても同じです。

犬・猫にとってナッツは消化することが難しく、またカロリーが高いことから肥満のリスクも上がります。

③鳥や魚の骨

誤食してしまうと喉に刺さる可能性があります。

また、飲み込めたとしても胃や腸に穴を空ける(穿孔する)可能性があります。

そうなると最悪の場合死に至ります。

クリスマスシーズンに骨付きチキンを家族で食べていて、目を離した隙に犬が食べてしまったというケースもあります。

④乳成品

牛乳などの乳製品を、犬・猫は上手に消化することができず下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があります。

与える必要がある場合には犬用・猫用の乳製品を与えましょう。

⑤生肉

生の豚肉または完全に火が通っていない豚肉を摂取するとトキソプラズマという原虫が潜んでいる可能性があります。

トキソプラズマは下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があります。

犬・猫だけでなく人にも寄生する寄生虫です。

⑥アイスクリーム

犬・猫にとって消化が難しい食べ物で、下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があります。

また、カロリーの高いものでもあるので肥満を招く恐れもあります。

⑦猫に犬用フード

猫は肉食動物、犬は雑食動物(ヒトと近い)という大きな違いがあります。

その違いは研究され、犬・猫は異なるフードが発売されています。

猫は犬と違い、タウリンという成分を体内で合成することができないためフードから補う必要があります。

そのため、タウリンの入っていない犬用フードを与え続けると必要な栄養素を補うことができずに栄養不足に陥る可能性があります。

猫がタウリン欠乏になると心筋症を引き起こすリスクが上がります。

上記情報の参考文献を以下に引用しますがショッキングな表現が含まれますので閲読の際はご注意ください。(参考:J-STAGE タウリン欠乏ネコモデルの作製

⑧電池

人と同じで犬・猫にとっても電池はとても危険なものです。

万が一誤食した場合、窒息する危険性があります。

また、食道や胃、腸に穴が開き最悪の場合死に至ります。

ボタン電池は小さいので特に危険です。

与えすぎは要注意!一緒に適度に楽しむ食べ物3選

草原に座り微笑む犬

与えてはいけないというわけではありませんが、量を多く与えてしまうと健康を害する可能性があるものをご紹介します。

①キャベツ、ホウレンソウ、サツマイモなど

これらの野菜はアルカリ性の野菜です。

(参考:HugKum子どもと一緒に楽しむ、学ぶ、成長する。

食べ物には酸性、中性、アルカリ性があり、アルカリ性のものを多く摂取すると犬・猫は尿中pHがアルカリ性に傾いてしまいます。

そうなると尿中にストルバイト結晶が形成され、頻尿や血尿の原因になります。

さらに悪化すると結石が尿管や尿道に詰まり尿が出なくなってしまう、閉塞という状態になります。

この場合は早急に処置を施す必要があります。

なるべく原因の可能性となるものは減らしていきたいですよね。

野菜を与える場合には茹でて与えるとよいでしょう。

その際、茹で汁は与えないでください。

上記以外にもアルカリ性の性質を持つ野菜はいろいろあります。

また、尿路結石の形成についてのフードや与えるもの(野菜など)の重要性も忘れてはなりません。

②ヨーグルト

犬・猫は牛乳を上手に消化することができず下痢をしてしまう可能性があると前述しました。

それならヨーグルトもだめなの?と思う方もいらっしゃると思います。

ヨーグルトは発酵途中で、消化が上手にできない原因の物質が分解されるので、下痢などの消化器症状を引き起こす可能性は牛乳などの乳製品に比べると低くなります。

しかし、与えすぎると肥満になるリスクがあります。

肥満は病気と言われることがありますが、それは決して過言ではないのです。

10年以上の長期にわたって行われた実験で、肥満は約2年寿命を縮めるとの結果が出ています。

関節の疾患や糖尿病など、さまざまな疾患を引き起こす可能性があるので肥満には気を付けましょう。

③犬用・猫用おやつ

上記でもお伝えしたように、肥満はさまざまな疾患を引き起こす可能性があります。

用量を守り、限られた範囲で楽しむことが健康のためです。

フード以外の食べ物は与えなければならないわけではありません。

与える場合には適度に楽しみましょう。

限られた量や回数だからこそ、その時間をより楽しむことができるはずです。

実はあまり知られていない!?危険な植物3選

花の香りを嗅ぐ猫の横顔

花はとてもかわいらしく、また良い香りを楽しむことができます。

花を飾ることで気持ちも明るくなりますよね。

しかし、犬・猫にとっては毒となる花があり、これらはあまり知られていません。

①ユリ科(ユリ・スズラン・ヒヤシンス)

ユリの花びらや葉、茎、球根、花粉、おしべなどすべての部分に毒性あります

ユリを生けていた花瓶の水を飲んだことで中毒が起こるとも言われるほどの強い毒性を持ちます。

下痢や嘔吐などの消化器症状、また急性腎不全を引き起こし、最悪の場合死に至ります。

ユリ科の植物で同様の中毒が起こります。

お盆時期などや法事でユリを生けるご家庭もあると思います。

自宅でユリを生ける場合には犬・猫が近寄らないよう工夫が必要です。

②バラ科サクラ属(ウメ・モモ・アンズ・スモモ・アーモンド)

サクラの種子や果肉、葉、樹皮に毒性があります。

嘔吐などの消化器症状や結膜の充血、呼吸促拍、頻脈、痙攣を引き起こし最悪の場合死に至ります。

お花見に愛犬と行かれる方も多いと思います。

サクラのシーズンはついつい上を見上げてしまいがちですが、愛犬と同じ目線でいることにも気を配りましょう。

また、散歩途中で落ちている青梅を見かけたことはありますか?

散歩中に落ちているものが気になってついつい口にしてしまうわんちゃんは少なくないと思います。

回避できる危険は回避したいですね。

③ヒガンバナ科(スイセン・アマリリス)

ヒガンバナの球根は万が一経口摂取してしまうと人にも有害であるということはよく知られており、犬・猫にとっても有害な植物です。

犬・猫にとっては花びらや葉、茎、根のすべてにおいて毒性があり、その中でも特に球根に強い毒性を持つと言われています。

下痢や嘔吐、腹痛などの消化器症状、流延、血圧低下、麻痺などの神経症状、心不全を引き起こし最悪の場合死に至ります。

美しい見た目とは裏腹に危険な植物ですので、注意が必要です。

あまり知られていない犬・猫にとって中毒となる植物についてのお話でした。

上記以外の植物も、誤食してしまうと中毒症状は出なくとも健康被害が出る可能性があります。

愛犬・愛猫のためにも注意を払う必要がありそうです。

誤食してしまったら…どうする!?

犬用おやつをかじる犬

いくら注意を払っていても、誤食が発生してしまうことはあります。

万が一誤食してしまったら、やるべきことは4つです。

①何時に誤食が発生したのか確認する

誤食したものによっては一分一秒を争うものがあります。

正確な時間が分からなくても、大体の目安を付けておくとよいでしょう。

②誤食した量と部位を確認する

例えばチョコレートであれば「板チョコレートの半分」、ヒガンバナであれば「茎半分ほどと球根を6分の1」などと具体的に説明できるようにしておきましょう。

③残っている部分と商品パッケージを確保しておく

誤食したのがチョコレートであれば、その商品パッケージ、誤食後残っている部分があればその残りを確保しておきましょう。

特にお菓子であれば、商品パッケージからカカオ量などの情報を得ることができます。

④すみやかに動物病院へ行く

①、②を確認して③をかばんに入れたら動物病院へ行きましょう。

その前に動物病院に電話をして状況を伝えておくとスムーズかと思います。

また、誤食した物によっては自宅で様子を見て症状が出なければ問題ないという場合もあります。

まとめ

床に伏せて上目遣いをする犬

「ほんの一瞬目を離しただけなのに!」

その悲痛な叫びを何度か聞いたことがあります。

有毒でないものなら笑い話で済みますが、誤食した物によっては命に関わることもあります。

大事に至らぬよう、まずはわたしたちオーナーが気を付けなければなりません。

【免責事項】Animal Compassionではできるだけ正確な情報提供を心がけていますがご利用者様による正当性の確認をお願いいたします。また医療に関する助言を提供することはございませんので、最終的な判断は適切な医療従事者に個別の状況を確認してもらった上で行うようにお願いいたします。

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この記事を書いた人

約6年間動物看護師として働き妊娠を期に退職。現在は元気いっぱいの1歳児と猫2匹と毎日のんびり楽しく過ごしています!
一頭でも多くの動物が幸せになる未来のために一歩ずつ進んでいくお手伝いをさせてください。
愛玩動物看護師国家資格取得済みです。

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