大人気ペット!ヘビの生態とは?日本の蛇の種類から外来種問題まで解説

落ち葉からのぞくヘビ
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2025年は巳年、つまり干支はヘビです。

ヘビは日本では多くの神社で祀られているほど身近な存在で、豊かさの象徴とされている一方、毒を持つことから怖がられたり嫌われたりする存在でもありました。

恐れられる一方で、ヘビはときには食料として、薬として、また楽器として使用されるなど、私たちの生活を昔から支えてくれています。

ヘビは田畑や山林で多く見られるため、一般的には田舎に行くほどその生態や特徴が人々に知られていますが、都市部に行くほど遭遇頻度が減り、よく知らないという方も増えるのではないでしょうか。

そうはいっても、登山やキャンプなどのアウトドアレジャーではヘビに遭遇する機会があるかもしれません。

ヘビについて最低限の知識は押さえておく必要があるでしょう。

また近年は、ペットとしての人気も高く、特に海外の個性的な品種が飼育されています。

しかし、安易な飼育方法から逃げ出すこともたびたびニュースに取り上げられており、飼育には注意が必要です。

また、沖縄では外来種の問題も発生しています。

今回は、日本におけるヘビの位置づけや分類、また外来種問題を取り上げています。

お読みいただくことで、ヘビの新たな魅力に気付けるかもしれません。

目次

日本のヘビは豊かさの象徴

神社に祀られているヘビ

ヘビは、世界各地の神話に登場する生き物です。

脱皮をすることや卵を多く生むことから、生命力や生まれ変わり、豊かさの象徴として描かれることが多いのですが、必ずしも人々に好意的な存在ではありませんでした。

大地や世界を支配する、恐怖の対象として描かれることも多かったのです。

では、日本ではどうでしょうか。

日本でも、ヘビはお金や多産といった豊かさ、不死の象徴として各地で語り継がれています。

日本でもっとも有名なヘビといえば、ヤマタノオロチです。

古事記や日本書紀などに登場する巨大なヘビで、名前が示す通り八つにわかれた頭と尾を持ち、人々を支配していました。

ヤマタノオロチは、島根県を流れる斐伊(ひい)川を象徴しているといわれています。

川や水は、農耕民族である日本人にとって欠かせない存在です。

しかし、ときには大雨などで氾濫して、農作物に被害を与えたり、人の命を奪ってしまうこともあります。

やはり、人智の及ばない存在として、豊かさだけでなく破壊と再生も象徴していたのでしょう。

また、ヘビは水辺に住んでいることから、日本各地で水の神様としても信仰されています。

これは、中国の影響で龍が水を支配していると考えられていることにも由来しているのです。

ヘビを信仰する神社

日本各地にはヘビを信仰する神社が現存しますが、そのいくつかをご紹介します。

大神(おおみわ)神社

奈良県桜井市にある、日本最古といわれる神社です。

三輪山をご神体として、オオモノヌシノオオカミというヘビを産業や薬、お酒の神様として祀っています。

大神神社

金蛇水神社

宮城県岩沼市にあり、平安時代の頃から信仰されている、歴史ある神社です。

水の神様として古くから信仰される金蛇大神や弁財天を祀り、商売繁盛や病気平癒、五穀豊穣、また海上安全や芸術など、幅広く人々の生活に結びついたご利益があるとされます。

金蛇水神社

岩国白蛇神社

岩国白蛇神社で飼育されている白ヘビ

山口県岩国市にある神社で、弁財天とかかわりの深い白蛇を神の使いとして祀っています。

こちらの神社では、生きている白蛇を隣接する飼育館で見ることも可能です。

かつて野生の白蛇が住みついたとされており、代々守ってきた白蛇は天然記念物にも指定されています。

岩国白蛇神社

ヘビは大きく二種類にわけられる

ヘビの骨格

ここからは、実際のヘビについてみていきましょう。

ヘビの大きな特徴といえば、進化の過程で手足をなくしたことです。

これは、地上での生活をあきらめ、地下に住むミミズやモグラなどを捕まえて食べるために、穴を掘りやすいように手足が退化したのではないかと考えられています。

ヘビは世界中で4000種以上も発見されており、その分類も多岐にわたりますが、大きく分けると毒を持つもの・持たないものの二種類です。

毒を持つヘビは小型~中型で、なんと毒を持つ爬虫類の99%以上を占めています。

ヘビ全体としては25%程度のヘビが毒を持つとされています。

毒を持たないヘビは身体が大きいのが特徴です。

大きなヘビは、獲物を取る際には捕獲して絞め上げることで仕留めます。

ヘビの毒は唾液が変化したもの

ヘビの上顎には1対の毒牙があり、そこから毒が分泌されます。

ヘビの毒の成分は二種類あり、一つは神経毒で、もう一つは出血毒です。

毒を持つヘビの種類
  • クサリヘビ科:マムシ、ハブなど
  • コブラ科:キングコブラ、ブラックマンバなど
  • ナミヘビ科の一部:ヤマカガシ、ブームスラングなど

参考:環境省|24 有毒ヘビ類〈ヘビ亜目〉

獲物を丸のみするヘビの顎

ヘビは、自分の頭よりも大きな獲物であっても丸のみします。

これを可能にしているのが、

  • ヘビの頭の骨が複数の関節で構成されている
  • 下顎の骨が結合していない

といった特徴です。

関節が複数あることで可動域が広がります。

また、ヘビの下顎の前歯がある部分は結合しておらず、左右の骨がじん帯でつながっています。

そのため、縦方向だけでなく横方向にも大きく口を開けることができるのです。

ヘビにしかない器官

一部のヘビは、「ピット器官」という赤外線を感じ取れるセンサーを持っており、これはヘビ以外の動物にはみられない特徴です。

目と鼻腔の間にあり、多数の神経と毛細血管が集まっていて、わずかな熱でも感じ取ることができます。

目や耳の機能が発達していないヘビが、エサを見つけて捕まえるために獲得した器官なのです。

日本のヘビの種類と特徴

岩国白蛇神社の白ヘビ

日本には、36種におよぶ蛇が生息するといわれています。

そのうち、日本全土に広く生息するヘビは8種(うち毒蛇2種、無毒6種)です。

それぞれ、簡潔にご紹介します。

ニホンマムシ

移動するニホンマムシ

クサリヘビ科の毒ヘビで、三角形の頭や太い胴、銭形模様などが特徴です。

年間1000~3000件ほどのマムシによる咬傷患者がみられ、そのうち10件前後の死亡者が毎年出ています。

マムシは出血毒を持っています。

咬まれると激痛が走り、患部が腫れあがるだけでなく、徐々に筋細胞の壊死や循環器系、腎機能への障害がみられるのが特徴です。

マムシは気性が荒く、誤って踏みつけたりすると自ら襲い掛かってくる危険性があります。

全国でみられますが、意外なことに絶滅危惧種となっています。

ヤマカガシ

首を持ち上げるヤマカガシ

ナミヘビ科の毒ヘビですが、長い間毒は持っていないと思われていました。

その理由は、ヤマカガシの毒牙は前歯ではなく上顎の奥歯にあるため、軽く咬まれたくらいでは毒牙に当たることはなかったためです。

1972年にヤマカガシの咬傷による死亡者が出て初めて、毒ヘビだと認識されました。

ヤマカガシはマムシよりも大きく、褐色の地に赤や黒の模様が並びます。

日本のヘビの中では鮮やかな色合いといえるでしょう。

性格はおとなしく臆病です。

シマヘビ

石の上にいるシマヘビ

ナミヘビ科のヘビで、身体に4本、縦のラインが入っているのが特徴です。

中には真っ黒に近い個体もみられ、それらは「カラスヘビ」と呼ばれます。

ヤマカガシと同じくらいの全長で、気性はやや荒いとされています。

カエルやネズミなどの小型の生き物がエサです。

アオダイショウ

隠れているアオダイショウ

日本最大のナミヘビ科に属するヘビです。

名前の通り青っぽい(緑っぽい)色をしていますが、中にはアルビノ(白色)の個体もいます。

アオダイショウの子どもの見た目はマムシによく似ており、間違えて殺されてしまうこともあります。

アオダイショウは身体が大きく、ネズミを食べてくれるため、農家から重宝されていた動物です。

住みついた場合、家の守り神といって喜ぶ家もあるようです。

ジムグリ

日に輝くジムグリ

ナミヘビ科のやや小型のヘビで、赤みがかった茶褐色の、おとなしい色合いをしています。

「地潜り」の名前の通り、石の下や地中などに潜んでいます

エサとなる生き物は限られており、ネズミやモグラなど、小型の哺乳類しか食べません。

アオダイショウやジムグリといった哺乳類を食べるヘビは、締め付けることで一気に窒息させるために、力が強いとされています。

ヒバカリ

舌を出すヒバカリ

ユウダ科の小型のヘビで、淡褐色から褐色の、薄い色をしています。

目の後ろ側に、白や黄色に近い色の模様が入るのが特徴です。

水辺を好み、魚やカエル、ミミズなどがヒバカリのエサとなります。

シロマダラ

食後のシロマダラ

ナミヘビ科の小型のヘビで、夜行性で滅多に目にすることはなく、「幻のヘビ」と呼ばれています。

全体的に白っぽい地に、黒字の斑紋が特徴です。

シロマダラは日本だけでなく世界中に分布しており、見た目の美しさからペットとして人気が高く、また蛇の中では寿命が長いことでも知られています。

タカチホヘビ

光沢感のあるタカチホヘビ

タカチホヘビ科の小型のヘビで、褐色の地に、背骨の真ん中部分に黒い一本線が入っているのが特徴です。

「タカチホ」とは、発見者である昆虫学者の高千穂宣麿の名前から付けられました。

タカチホヘビは、体表を覆ううろこがほかのヘビのように重なり合っていません。

うろことうろこの間を、皮膚が目地のように覆っています。

そのため、ほかのヘビよりも乾燥に弱いのが特徴です。

普段は地中に潜っており、ミミズなどを食べて生きています。

日本の毒ヘビの毒はどれくらい強い?

日本にいる毒ヘビは、マムシヤマカガシ、そして南西諸島に生息するハブの3種類です。

この中で最も毒が強いのはヤマカガシで、次いでマムシ、ハブと続きます。

ヘビの毒の強さは、半数致死量(LD50)(実験動物で毒を投与したときに、その半数が死亡する毒量のこと。体重1kgあたりに対する毒量は1mg)で示します。

 LD50(mg/kg)
ヤマカガシ5.3
ニホンマムシ16
ハブ54

ヘビに咬まれてしまったら

毒を持つマムシやヤマカガシに咬まれてしまったら、迅速に毒を体外に排出しなければなりません。

毒が全身に回らないよう、咬まれた場所から心臓に近い部分を布などできつく縛ります

そして、傷口を絞るようにして毒を排出します。

口で吸い出してしまうとそこから毒が回る可能性があるため、流水で流す程度に行いましょう。

直ちに救急車を呼ぶか、周りの人に医療機関に連れて行ってもらいましょう

毒を持たないヘビであっても、咬まれてしまったら感染症を引き起こす可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。

ヘビをペットとして飼う心がけ

手乗りのコーンスネーク

ヘビは、ペットとしても人気が高い生き物です。

しかし、ヘビは犬や猫のようにペットとして改良されてきた生き物ではありません。

飼育をする際は、その特性に配慮する必要があります。

ヘビは意外と長寿

個体にもよりますが、ヘビは10年以上生きるものも少なくありません

なかには、20年以上生きる個体もいます。

一度飼い始めたら、最後まで責任を持つことが大切です。

エサは生き物

ヘビは肉食で、カエルやネズミなどを食べます。

飼育した場合はもちろん、ヘビの食性に合わせてエサを用意することが必要です。

一般的には冷凍のマウスやヒヨコなどを与えるため、抵抗感が強い方は飼育に適していないでしょう。

飼育には広いスペースが必要

子どものうちは小さくても、成長すると1m~2m、なかにはもっと大きくなるヘビもいます。

そのため、飼育には十分なスペースを確保してあげることが必要です。

また、年間を通して温度は一定に保ち、定期的な脱皮を助けるために水場の用意も欠かせません。

ヘビの外来種問題

道を横切るハブ

沖縄において、特定外来種である「タイワンハブ」の生息域が少しずつ拡大していることが問題になっています。

タイワンハブはクサリヘビ科に属する小型のヘビで、ハブと同様に毒を持つのが特徴です。

沖縄にもともと生息するハブよりも攻撃性が高く、人間への被害が確認されています。

沖縄地方は、固有の在来種が数多く生息する地域です。

外来種が侵入することで在来種が襲われて個体数が減少してしまうことや、ハブとタイワンハブが交雑することなどの問題が懸念されます。

この問題に対して、沖縄環境衛生研究所ではわなを仕掛けて捕獲するなどの対策を行っていますが、一人ひとりが気をつけて、タイワンハブの生息域を広げないよう努力する必要があります。

まとめ

正面から見たニホンマムシ

ヘビは、完成された美しい生態で私たちを魅了する一方、毒を持つことや人間を襲う可能性があることから、恐怖や嫌悪感を抱く人も少なくない動物です。

マイナスのイメージが強いからといってそのままにしていると、本来の性質に気づけなかったり、危険から身を守ることもできないことがあります。

数が減少しているニホンマムシについて、その事実を知っている方は少ないのではないでしょうか。

地球上の生き物にはすべて、生態系において与えられた役割があります。

一つの種の存続が危うくなったり絶滅したりすることは、その役割が失われてしまい、生態系全体に影響をおよぼすことになりかねません。

マムシのように人間に被害を与える可能性がある場合、その対策は一筋縄ではいかないでしょう。

それでも、私たちは取り組んでいく必要があります。

将来、私たちが知っている動物が本の中にしか存在しない生き物にならないよう、私たちはできることを考えなければなりません。

巳年に、縁起をあやかるのにあわせて、ヘビについて知識を深めてみてはいかがでしょうか。

【免責事項】Animal Compassionではできるだけ正確な情報提供を心がけていますがご利用者様による正当性の確認をお願いいたします。また医療に関する助言を提供することはございませんので、最終的な判断は適切な医療従事者に個別の状況を確認してもらった上で行うようにお願いいたします。

落ち葉からのぞくヘビ

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この記事を書いた人

子どもの頃から動物がそばにいるのが当たり前の環境で育ちました。
大学では家畜の機能形態学・病理学を専攻し、また馬術部に入部し、長年夢だった乗馬を始めることができました。
社会人になった現在も乗馬は継続中です。
大型犬と小鳥と一緒に生活しています。

ペット医療を中心としたジャンルでライティング活動をしています。
こちらのWEBサイトでの活動を通じ、動物と人間がよりよい関係を築くためのお手伝いができれば幸いです。

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