ペットを動物病院に連れて行って、高額な治療費に驚かれた経験はないでしょうか。
ペットの治療費は全額自己負担となるため、少しの検査や処置でも金額が高額になりがちです。
ペットは、若いときは元気でも年齢を重ねてシニア期を過ぎると、体調を崩しやすくなります。
また、品種によってかかりやすい病気があったりもします。
大切なペットが病気やケガで苦しんでいるのを放っておけませんよね。
ペットを飼い始めたらぜひ検討していただきたいのが、ペット保険への加入です。
ペット保険への加入は、飼い主の方の経済的負担を減らすだけでなく、心理的にも安心感をもたらしてくれます。
今回は、ペット保険の補償やメリットを解説します。
これを機に、ペット保険の加入をぜひ検討してみてください。
高齢ほどペット保険の加入が安心!
ペット保険への加入は、ペットがシニア期に差し掛かるまで済ませておくことがおすすめです。
ペットも人間同様、年齢を重ねるごとに身体の抵抗力や免疫機能が衰え、病気になりやすくなります。
また、身体機能の低下により、ケガをしやすくもなります。
年齢とともに動物病院での治療の頻度が増えるのは、必然といえるでしょう。
年齢別の犬・猫の動物病院への年一度以上の治療を目的とした通院状況は、以下のとおりです。
年齢 | 犬 | 猫 |
0-3歳 | 77.7% | 63.8% |
4-7歳 | 73.6% | 52.5% |
8-11歳 | 78.8% | 58.1% |
12-15歳 | 80.5% | 60.8% |
16歳以上 | 79.6% | 64.7% |
0-3歳の間で通院の割合が多いのは、身体が未熟であることや、好奇心からの誤飲などが発生しやすいためです。
成犬・成猫期には、身体機能の充実から通院の割合は一旦減少します。
しかし、シニア期を過ぎると、犬では約8割・猫では約6割のペットが治療のために動物病院に通院していることがわかります。
ペットは飼育環境の改善によって、昔よりも随分、平均寿命が延びました。
しかし、平均寿命が延びても健康寿命も一緒に延びるわけではありません。
長生きできるようになった分、病気のリスクも高くなったのです。
シニア期以降にかかる病気には、肝障害・腎障害やがんなど、治療が長期に渡ったり治療費が高額になったりするものが多くあります。
ペット保険に加入しておくことで、それらの治療費の負担を軽減することができるのです。
ペット保険には年齢制限がある?
ペット保険には何歳でも入れるかというと、そうではありません。
ほとんどのプランで、ペット保険に加入できる年齢の上限を設定しています。
- わんデイズ・にゃんデイズ 生後30日~8歳11か月
- SBIいきいき少短ペット保険 生後2ヶ月~11歳11か月
- フリーペットほけん 生後30日~8歳11か月
- FPC 生後30日~8歳11か月
- げんきナンバーわんスリム 生後45日以上~7歳11カ月以下
- うちのこ・うちのこLight 生後0日~12歳11か月
- いぬとねこの保険 生後31日~満10歳
- どうぶつ損保ふぁみりい・ぷち 生後30日~7歳11か月まで
- わんデイズ・にゃんデイズ 生後30日~8歳11か月
- フリーペットほけん 生後30日~8歳11か月
- FPC 生後30日~8歳11か月
- げんきナンバーわんスリム 生後45日以上~7歳11カ月以下
- うちのこ・うちのこLight 生後0日~12歳11か月
- SBIいきいき少短ペット保険 生後2ヶ月~11歳11か月
- 楽天ペット保険スーパーペット保険 生後2日~11歳未満
- いぬとねこの保険 生後31日~満10歳
- ペットの保険 生後30日~10歳まで
早ければ8歳、遅くても13歳未満が、加入の条件となっています。
シニア期に差し掛かる前に加入期間が過ぎてしまうペット保険もあるため、ペット保険に加入するかどうかは、愛犬・愛猫が元気なうちから考えておく方がよいでしょう。
しにあどうぶつ損保 8歳~上限なし
こちらのプランは、加入するときの年齢に上限はありません。
しかし、こちらのプランでは通院が補償されていないため、手術ではなくお薬で治療を長期間継続して行う場合には、保険料を支払うだけになってしまうかのうせいもあります。
病気には、手術だけではなく、投薬によって症状の改善を図るものが多いため、ペット保険を考える際には、通院・入院ともに補償可能なプランの方が安心といえるでしょう。
何歳から入るべき?
欲を言えば、飼育を始めたときからペット保険に加入するのがベストです。
ケガや病気は、いつどこで発生するかわかりません。
また、ペット保険の多くには待機期間があります。
これは、申し込みを受け付けてもらってから、1~2ヶ月程度の間は治療に通っても補償されない期間のことです。
せっかく保険に入ったのに、使用できなければ意味がありません。
いつでも使用できる状態にするためには、なるべく早く加入することが必要です。
また、ペット保険は、若いほど支払う保険料の設定が低くなります。
シニア期に入った後は若い頃よりもどんどん保険料が高くなるため、毎月の保険料の支払額を抑えるには、なるべく早く加入しておく方が経済的な負担を軽減できるのです。
それでも、「まだ若いし元気だから」と、なかなか加入に踏み切れない方もいらっしゃるでしょう。
ペット保険への加入は、遅くともシニア期に差し掛かる頃、7~8歳くらいまでに済ませておきたいものです。
その理由は、以下の2点です。
- シニア期に入ると病気になりやすい傾向がある
- ペット保険の選択肢が少なくなってくる
加入時に既にかかっている病気があると、加入後の治療でその病気が補償されない場合や、そもそも加入できない場合もあります。
ペット保険を効果的に利用するためにも、病気になっていない元気な間に加入することがおすすめです。
加入には健康であることが条件
ペット保険に加入するときには、加入時にペットが以下のような病気にかかっていないことも条件となります。
- 悪性腫瘍(がん)
- 慢性腎不全
- 糖尿病
- 肝硬変
- 甲状腺疾患(クッシング症候群やアジジソン病など)
- 膵外分泌不全
- 猫伝染性腹膜炎
- 猫白血病ウイルス感染症
- 白内障
- 緑内障
- 尿路結石 など
ペット保険に加入するときは告知義務があります。
生年月日や体重などのほかに、健康であること・持病があることを嘘偽りなく告知しなければなりません。
加入後に告知内容に虚偽があることが判明した場合は、補償を受けられなくなってしまいます。
場合によっては、保険会社からかかりつけの動物病院に確認されることもあるようです。
また、持病がある場合でも、すべてのケースで加入できないわけではありません。
以下のような持病がある場合には、多くの場合、加入できる可能性があります。
- 外耳炎
- 胃腸炎
- 嘔吐・下痢
- 皮膚炎
- 膀胱炎
- 腎不全 など
これらの病気・症状がみられる場合には、加入したい保険会社に問い合わせてみましょう。
ペット保険で補償されること
ペット保険では、ケガや病気による通院・手術・入院がプランごとに保証されています。
各保険会社で共通している基本的な補償は、加入後に起こったケガや病気です。
先天性の病気や、加入以前に発症した病気・ケガについては治療が保証されません。
実際に、ペット保険によって補償されたケガや病気にはどのようなものがあるのでしょうか。
請求の多いものを、犬・猫それぞれでお伝えします。
猫に多い病気トップ5
年代別の、猫に多くみられる病気は以下のとおりです。
順位 | 0歳 | 1~6歳 | 7歳以上 |
1位 | 下痢 | 下痢 | 腎臓病 |
2位 | 異物誤飲 | 膀胱炎 | 腫瘍 |
3位 | 猫カゼ | 異物誤飲 | 心臓病 |
4位 | 結膜炎 | 心臓病 | 歯周病 |
5位 | 外耳炎 | 嘔吐 | 糖尿病 |
ちなみに、日本の猫における上位5つの死因の割合は、以下のとおりです。
- 泌尿器系疾患 29.8%
- 腫瘍(がん) 20.3%
- 循環器系疾患 11.6%
以下、感染症、突然死と続きます。
参照:J-STAGE|動物病院カルテデータをもとにした日本の犬と猫の寿命と死亡原因分析
猫の場合、年齢とともに増加する心疾患や泌尿器系疾患が、死因とも結びついていることがわかります。
犬に多い病気トップ5
犬の、年代別の多くみられる病気は、以下のとおりです。
順位 | 0歳 | 1~6歳 | 7歳以上 |
1位 | 異物誤飲 | 皮膚炎 | 腫瘍 |
2位 | 下痢 | 異物誤飲 | 皮膚炎 |
3位 | 外耳炎 | 外耳炎 | 心臓病 |
4位 | 骨折 | 下痢 | 歯周病 |
5位 | ケンネルコフ | かゆみ | 外耳炎 |
日本における犬の死因の割合は、以下のようになっています。
- 腫瘍(がん) 18.4%
- 循環器系疾患 17.3%
- 泌尿器系疾患 15.2%
以下、肝臓・胆のう・膵臓系疾患、神経系疾患と続きます。
参照:J-STAGE|動物病院カルテデータをもとにした日本の犬と猫の寿命と死亡原因分析
こちらも、年齢とともに増加する病気と死因がリンクしていることがわかります。
これらの病気の治療については、加入後であれば保証が可能です。
補償されない病気に注意!
健康な状態でペット保険に加入していても、補償されない治療内容があります。
以下のような治療には、一般的に保険が適用されないため、注意が必要です。
- 予防注射
- 自然災害による費用
- マイクロチップの挿入
- 去勢・避妊手術
- 交配・出産
- 爪切りや肛門腺絞り
- トリミング
- 耳掃除
- 断尾・断耳
- 健康診断
- 代替治療(アロマテラピーなど)
- ドッグフード・キャットフード・サプリメントなどの購入費用 など
また、以下の内容は保険会社によって対応が変わります。
- 時間外診療費
- 往診費
- カウンセリングの費用
以下の病気は、保険会社によって補償内か補償外かがわかれるため、注意が必要です。
- 歯周病
- 膝蓋骨脱臼
- 椎間板ヘルニア
- 股関節形成不全 など
加入時には、加入条件とともに補償内容も確認しておきましょう。
保険によっては、補償される一回当たりの治療額に上限が設けられていたり、免責金額(一定以上の金額の支払いでなければ補償されない)が設定されていたりします。
年間の保証金額の総額も、プランによって異なりますので、加入前にしっかり確認しておきましょう。
身体の大きな犬は一度に使用するお薬の量が多くなり、また手術費用も高額になります。
猫や小型犬と比較すると一度に必要な治療費用が多くかかるため、設定金額が少ないと、せっかくペット保険に入っているのに補償されたのはわずかだったということになりかねません。
ペット保険に入っておいてよかったパターン
ペット保険に加入していると、治療にかかる費用の心配が大幅に減少します。
治療費の心配が減ることで、複数の治療方法から最適なものを選ぶことができるようになるのです。
例えば、ある病気やけがの治療の場合に、手術をすれば短期間で治る可能性が高いが、通院による治療だと安価ではあるが治療期間が長期間におよぶケースです。
また、若い頃は病気をしたことがなかったのに、シニアになってから病気が続出するケースもあります。
頻繁に動物病院に通う可能性が出てきたときに、ペット保険に入っていることで安心感が生まれるでしょう。
保険金の請求は簡単?
保険金の請求の仕方は基本的に二種類で、どちらも複雑なものではありません。
- 窓口精算
-
窓口精算とは、人の保険証を提示するときと同様に、対応している動物病院でペットの保険証を提示することで、決まった負担額のみを支払うシステムです。
請求の手間が省け、一度に支払う治療費が少ないことがメリットといえます。
デメリットは、すべての動物病院に対応していないことです。
- 直接請求
-
直接請求とは、一旦治療費を動物病院に支払い、あとから保険会社に保険金を請求する方法です。
保険金請求の条件さえ満たせば、すべての動物病院の支払いに対応しています。
メール・LINEのほかに、書類を送付することで請求します。
デメリットは、請求の都度、必要事項や書類の提出が必須となること、保険金は後払いのため、治療直後に動物病院に支払う金額が大きくなることです。
窓口精算も直接請求も、複雑な手続きは必要ないため、保険金の請求は簡単といえるでしょう。
ペット保険に加入するときには、いざ請求するときのために請求の仕方も確認しておきましょう。
ペット保険でおすすめのプラン
ペット保険に加入するときには、月々の保険料をお財布と相談しながら、終身補償であること、通院・手術・入院のすべてが対象であること、年間の補償総額・一回の補償総額が大きなプランを選びましょう。
保険金を請求する際に、なるべく縛りのないプランがおすすめです。
こちらのサイトで、加入時の年齢や犬・猫の種別に合わせてプラン内容の比較が可能です。
ぜひ活用してみてください。
まとめ
ペット保険の加入は、加入時の選択肢が多いシニア期に差し掛かるまでに検討しましょう。
ペット保険に加入するときには、以下の項目をしっかりと確認しましょう。
- 年齢条件
- 保険料
- 終身補償かどうか
- 通院・手術・入院すべて対象かどうか
- 補償されない病気やケガの内容
- 免責金額の設定はあるかどうか
- 年間の補償総額
- 一回の補償総額
- 保険金の請求方法
- 請求回数の限度設定
加入時の年齢が若いほど、希望に合ったプランを選ぶことができます。
しかし、年齢が上がれば上がるほど、補償内容や保険料などを選べなくなってしまうのです。
大切なペットにより長く健康でいてもらうために、なるべく早いペット保険の加入がおすすめです。
この記事をきっかけに、ぜひ愛犬・愛猫のペット保険を検討してみてください。