犬は生涯でどのくらい病気になる?医療費や老後に備える方法とは?

犬は生涯でどのくらい病気になる?医療費や老後に備える方法とは?
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かわいいワンちゃんとの生活、憧れますよね。犬を飼い始めるときに一番気になるのは、やはりお金のことではないでしょうか?

犬を飼うのに必要な生涯経費は、250万円〜510万円ほどといわれています。生き物を飼う以上、金銭的な問題が常についてくるのは当然のことです。どんなに愛情をかけていても、ケガや病気になるタイミングを予測することは不可能なため、前もって万が一の事態に備えておく必要があります。

この記事では、以下のような疑問に対して、獣医師でありファイナンシャルプランナーの資格をもつ筆者が解説していきます。

  • 犬がかかりやすい病気とは?
  • 犬にかかる医療費はどのくらい?
  • 予期せぬケガや病気に備える方法って?
  • 犬の老後の生活ってどんな感じ?

犬の種類や大きさ、年齢によってかかる費用は異なるため、これからワンちゃんをお迎えする方はぜひ参考にしてみてくださいね。

目次

犬の平均寿命は何歳?長生きする犬種は?

トイ・プードル

一般社団法人ペットフード協会(令和4年 全国犬猫飼育実態調査)によると、犬(全犬種)の平均寿命は14.76歳です。超小型犬に限れば、平均寿命は15.31歳となっています。犬の長寿化に伴い飼育費用や医療費などの経済的な負担も増加傾向にあるため、犬を飼い始める際には事前の心構えが必要です。

ワンちゃんを家族として迎えるからには、いつまでも健康で長生きしてほしいですよね。アニコム家庭どうぶつ白書2022(2020年の犬種ごとの平均寿命)のデータから、平均寿命の長い上位10犬種をご紹介します。

犬種平均寿命
トイ・プードル15.4歳
カニーンヘン・ダックスフンド15.0歳
イタリアン・グレーハウンド14.9歳
混血種(体重10kg未満)14.8歳
ミニチュア・ダックスフンド14.8歳
14.8歳
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア14.8歳
ミニチュア・ピンシャー14.7歳
ジャック・ラッセル・テリア 14.6歳
混血種(体重10~20kg未満)14.3歳

参照:アニコム家庭どうぶつ白書2022

最も平均寿命が長い犬種は、超小型犬の「トイ・プードル」でした。上の表でご紹介した10犬種のうち、柴と混血種(体重10〜20kg未満)のみが中型の犬種で、ほかの8犬種は超小型および小型の犬種という結果になっています。長生きしてくれそうな犬種を選びたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

犬が生涯でかかる病気とは

ダックスフンド

アニコム家庭どうぶつ白書2022のデータから、犬がかかりやすい病気を解説します。アニコムのペット保険に加入している犬(全犬種)のうち、保険請求の割合が多い病気は次のとおりです。

犬(全犬種)のうち、保険請求の割合が多い病気一覧
出典:アニコム家庭どうぶつ白書2022

請求割合が多い順に並べてみると、「皮膚疾患」「消化器疾患」「耳の疾患」と続いていることが分かります。これらの疾患はどの犬種にも共通してかかりやすい病気が多く含まれているため、犬を飼う場合には動物病院を受診する機会があるかもしれません。

次に、上位3疾患に含まれる病気の一例をご紹介します。

皮膚疾患消化器疾患耳の疾患
膿皮症炎症性腸疾患(IBD)外耳炎
皮膚糸状菌症膵炎中耳炎
マラセチア皮膚炎胆嚢粘液嚢腫内耳炎
アトピー性皮膚炎腸閉塞(異物誤食)耳血腫

上記はほんの一例であり、細菌や寄生虫の感染が原因のものや、がん・腫瘍、遺伝病などさまざまな犬の疾患が存在します。犬を飼う際には、信頼できる動物病院を見つけておくと安心です。

犬種ごとのかかりやすい病気

柴犬

ここでは、飼育頭数が多い5犬種のかかりやすい病気を解説します。長期にわたる通院治療や手術が必要になるケガ・病気が多く含まれているため、貯蓄やペット保険で万が一に備えておくと安心でしょう。

1. トイ・プードル

トイ・プードルに多い病気は、「消化器疾患」「皮膚疾患」「耳の疾患」「その他」の順になっています。消化器疾患と耳の疾患は全犬種の平均値よりも多く、皮膚疾患は若干少ないようです。トイ・プードルに特徴的な垂れ耳や、トリミングサロンに定期的に通うワンちゃんが多いことなどが影響しているかもしれません。

また、他の犬種に比べてかかりやすい病気は、「糖尿病」「骨折」「白内障」「その他」の順になっています。糖尿病と白内障は10〜11歳のシニア期に多く、骨折は0歳の若齢時に多いようです。

2. チワワ

チワワに多い病気は、「消化器疾患」「皮膚疾患」「全身性の疾患」「その他」の順になっています。消化器疾患と皮膚疾患は全犬種の平均値よりも少なく、3番目に多いのが全身性の疾患である点が特徴的です。また、全犬種の平均値と比較すると循環器疾患の割合がおよそ2倍であるため、循環器系の疾患に注意すべき犬種といえるかもしれません。

他の犬種に比べてかかりやすい病気は、「心臓弁膜症」「その他の循環器疾患」「気管虚脱」「その他」の順になっています。いずれも9〜11歳のシニア期に多いようです。

3. 混血種(体重10kg未満)

混血種とは、「ミックス」「雑種」と呼ばれる犬のことです。小型の混血種に多い病気は、「消化器疾患」「皮膚疾患」「耳の疾患」「その他」の順になっています。消化器疾患と耳の疾患は全犬種の平均値と同程度で、皮膚疾患は若干少ないようです。また、他の犬種に比べてかかりやすい病気は、「ケンネルコフ症候群(犬伝染性呼吸器症候群)」「流涙症(涙やけ/涙管閉塞など)」「膝蓋骨(亜)脱臼」「その他」の順になっています。いずれも0歳の若齢期に多いようです。

4. ミニチュア・ダックスフンド

ミニチュア・ダックスフンドに多い病気は、「皮膚疾患」「消化器疾患」「耳の疾患」「その他」の順になっています。上位3疾患に関しては、全犬種の平均値よりもやや少ないようです。トイ・プードルと同様に特徴的な垂れ耳を持つミニチュア・ダックスフンドですが、意外にも耳の疾患は平均以下であることが分かります。また、他の犬種に比べてかかりやすい病気は、「椎間板ヘルニア」「歯根膿瘍/根尖膿瘍」「乳腺腫瘍/乳腺腫瘤」「その他」の順になっています。いずれも10〜12歳のシニア期に多いようです。

5. 柴

柴に多い病気は、「皮膚疾患」「消化器疾患」「耳の疾患」「その他」の順になっています。皮膚疾患は全犬種の平均値よりも多く、消化器疾患と皮膚疾患は若干少ないようです。また、他の犬種に比べてかかりやすい病気は、「アトピー性皮膚炎」「緑内障」「アレルギー性皮膚炎」「その他」の順になっています。緑内障は12歳頃のシニア期に多く、アトピー性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎は0〜1歳の若齢時に多いようです。

参照:アニコム家庭どうぶつ白書2022(品種別の統計)

雑種は病気になりにくいって本当?

結論から言えば、これは本当です。ただし、純血種と純血種をかけ合わせた「ミックス犬」や「ハーフ犬」は一世代目の雑種であるため、ここでいう広義の「雑種」とは性質が異なる可能性がありますのでご注意ください。雑種とミックスの違いを詳しく知りたい方は、こちらのページ(雑種犬には魅力がいっぱい! ミックス犬との違い・迎える方法をご紹介)がおすすめです。

雑種が病気になりにくいと言われる理由は、生命力の強い個体の性質が代々受け継がれているためです。純血種の場合は、純血種特有の遺伝病が犬種ごとに存在するため、両親が持っている遺伝病をそのまま受け継いでしまうリスクがあります。一方、雑種の場合には、たとえ遺伝病を持っている個体が祖先に含まれていたとしても、さまざまな血統が入り混じることで徐々にリスクも薄れていきます。

決してすべての疾患にかかりにくいわけではありませんが、重篤な病気を持って生まれてくることが少ないということが、「雑種は病気になりにくい」「雑種は強い」と言われる大きな理由です。

データでみる犬の年間医療費

イタリアン・グレーハウンド

犬にかかる医療費のデータを見てみると、1年間でかかる医療費の平均は59,387円でした。このデータから、毎月平均で5,000円ほどの医療費を支払っていることが分かります。

参照:アニコム家庭どうぶつ白書2022(ペットにかける年間支出調査)

動物病院への通院回数

次に、犬の年齢ごとの通院回数をご紹介します。一般社団法人ペットフード協会(令和4年 全国犬猫飼育実態調査)によると、各年齢における年間通院回数は次のとおりです。

年齢年間通院回数
全年齢4.97回
0歳5.65回
3歳3.93回
6歳3.97回
9歳4.35回
12歳6.07回

上の表から、若齢期と高齢期には通院回数が多くなる傾向があることが分かります。

一方、慢性疾患の治療のために定期的な通院がかかせないケースでは、月に2回以上通院する場合もあることから、平均の通院回数から大きく外れてしまう可能性もあるでしょう。

犬に必要な生涯経費はいくら?

ジャックラッセルテリア

犬を飼うのに必要になる生涯経費について解説します。一般社団法人ペットフード協会(令和4年 全国犬猫飼育実態調査)によると、犬を飼うのに必要な生涯経費は、約250万円というデータが出ています。

また、アニコム家庭どうぶつ白書によると、2021年の犬の年間飼育費用(交通費・光熱費を含む)は345,572円でした。平均寿命である14.76歳で計算してみると、生涯経費は約510万円です。

犬種や犬のサイズによっても飼育費用は変動しますが、いずれのデータからもかなり高額な費用が必要だということが分かります。

3大費用について

犬を飼うのに必要な3大費用とは、「フード」「医療費」「シャンプーカット代」の3つです。トリミングの必要がない犬種の場合にはシャンプーカット代がかからないため、その分を他の費用に回すことができるかもしれません。

4番目に多いのはペット保険料

3大費用に続いて多い経費はペット保険料で、ペット保険加入者の保険料の平均は3,407円/月です。犬のペット保険加入頭数は年々増加傾向にあり、医療費の補償以外にもさまざまな付帯サービスが展開されています。

犬の医療費対策のために必要なことは?

ミニチュア・ピンシャー

犬の医療費対策としてできることは、「貯蓄」「ペット保険への加入」「予防ケア」の3点です。ここでは、貯蓄とペット保険のどちらを選ぶべきかという点と、予防ケアの方法について解説します。

貯蓄とペット保険、どちらを選ぶべきか

一般的に、貯蓄で十分対応できる場合にはペット保険は必要ないといわれています。ただし、愛犬のケガや病気のタイミングが予測できないことや、急に高額な医療費が必要になるケースも多いことから、不安な方はペット保険に加入しておくと良いかもしれません。また、特に慢性の持病などで通院が必要になるケースでは、毎回の通院費用がかさんでしまうため、ペット保険に加入しておくと医療費の負担を軽減できます。ペット保険を検討する場合には、詳しい補償内容や加入者の口コミなどを調べておくと良いでしょう。

ペット保険の人気ランキング

ここでは、犬のペット保険の人気ランキングをご紹介します。以下のサイトではペット保険料のオンライン試算ができるため、気になる飼い主さまは試してみると良いでしょう。

犬のペット保険の人気ランキング
出典:価格.com保険

詳しくは、上記サイトもしくは保険会社の各サイトからご確認ください。

ケガや病気の予防方法

ケガや病気の予防方法は、次のとおりです。

  • 安全対策
  • しつけ/トレーニング
  • 日常的なケア
  • サプリメントの活用
  • 定期検診

飼育スペースの安全対策や犬のしつけ・トレーニングをすることによって、不慮のケガや脱走による事故、他の人や犬を傷つけてしまうなどのトラブルを防止できます。また、爪切りや歯磨き、ブラッシング、耳そうじなどの日常的なケアをかかさず行うと、犬がかかりやすい病気である「皮膚疾患」「耳の疾患」「歯周病」などの予防にもなるため、普段から意識してみてください。

最近では、犬用のサプリメントなども多く販売されています。動物病院の定期健診を活用しながら、犬の年齢に応じて不足しがちな栄養素を取り入れてみるのも良いかもしれません。

犬の老後対策に必要なこととは

老犬イメージ

犬の寿命は延長傾向にあるため、これから犬を飼い始める場合には、ワンちゃんがシニア期に入る頃には平均寿命がさらに延長している可能性があるということを理解しておきましょう。したがって、老後のことを見据えて事前に対策しておくことが大切です。以下では、老犬介護の実態と老犬ホームなどの心強いサービスをご紹介します。

老犬介護の現実

シニア期に入ったワンちゃんは、運動量が低下したり、加齢にともなう疾患の治療のために定期的な通院や投薬が必要になったりするケースがあります。特に寝たきりの状態になってしまうと、床ずれ予防のための寝返り・食事の介助・排泄の介助など、人の手が必要になる場面が増えてしまうのが現実です。飼い主さまご自身が老犬介護をするためには在宅で面倒をみる必要があるため、仕事で不在がちな飼い主さまは大変な場面が多いかもしれません。

老犬ホームの活用

シニア期のワンちゃんを預かってもらえる老犬ホームという施設を活用すると、飼い主さまの老犬介護の負担を軽減できます。全国の老犬ホームを紹介しているサイト(老犬ケア)によると、2023年8月の時点では全国に54か所の老犬ホームがあり、その内訳は北日本エリアが3件、東日本エリアが25件、西日本エリアが26件となっています。利用者の口コミも掲載されているため、老犬ホームの利用を検討する際には参考にしてみると良さそうです。

さいごに

この記事では、犬との生活に必要なお金のことやかかりやすい病気などについて解説しました。さいごに、重要なポイントを以下にまとめます。

  • 犬の平均寿命は14.76歳
  • 最も平均寿命が長い犬種は、トイ・プードル(15.4歳)
  • 犬がかかりやすい病気の上位3つは、「皮膚疾患」「消化器疾患」「耳の疾患」
  • 1年間でかかる医療費の平均は59,387円
  • 犬を飼うのに必要な生涯経費は、およそ250~510万円
  • 医療費対策:貯蓄、ペット保険、予防ケア
  • 老後対策:自宅介護、老犬ホーム

ご紹介したとおり、犬との暮らしには多くの費用がかかります。しかしながら、犬と暮らすメリットもたくさんあるため、最後の最後まで面倒をみる覚悟をしたうえで最高のパートナーとの生活を楽しんでくださいね。

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この記事を書いた人

【獣医師/Webライター/1児の母】
麻布大学卒。大学時代は介在動物学研究室にてアニマルセラピーを専門に研究。
大動物獣医師としてNOSAI北海道で7年間勤務した後、31歳でWebライターに転身。ライティングを中心に、ホームページ制作、名刺・チラシデザイン等、幅広く活躍中。

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