おうちで飼っている犬の中には、外でしかトイレをしない犬がいます。
外でしかトイレをしない子は、おうちを排泄物で汚す心配はありません。
しかし、外でしかトイレをしない犬は、天候に関係なく外にトイレに連れていかなければならなかったり、年老いて介護が必要になるときに困ったりします。
犬のトイレは、しつけをしておくべきなのでしょうか。
今回は、犬のトイレ問題を掘り下げて考えていきましょう。
なぜ犬が「外でしかトイレをしない」ことがあるのか
犬は、なぜ外でしかトイレをしないことがあるのでしょうか。
犬が外でしかトイレをしないのには、いくつか理由があります。
考えられる理由を、それぞれ見ていきましょう。
元々の習性で外での排泄が当たり前
犬の祖先は言わずと知れたオオカミです。
オオカミは、巣穴と排泄場所を分けて生活します。
巣穴付近で排泄すれば、そこがオオカミの寝床だと周りの動物に知られてしまい、狩りをすることやゆっくり休むといった生活に支障が出てくるためです。
また、外で排泄することでマーキングを行い、自分のテリトリーを他のオオカミに知らせることができます。
その習性を犬も立派に引き継いでいるため、トイレを外でする方が、犬にとっては好都合なのです。
トイレトレーニングを行っていない
そもそも、室内でのトイレトレーニングを行っていない場合、犬自身が外でのトイレが好ましいと判断して、外でしかトイレをしなくなります。
室内でのトイレは、場所は狭いし、排泄後に匂いはするし、犬にとってもあまり好ましくありません。
外ですれば自分の生活空間は汚れないため、犬自身が快適に過ごせます。
外で散歩のときにトイレをすれば、マーキングにもなります。
犬にとってはいいことづくし、賢明な判断の結果といえるでしょう。
室内のトイレにトラウマがある
トラウマというと、少し大げさかもしれません。
要は、過去にトイレトレーニングやそれに至るまでの過程で良い思い出がなく、室内でトイレをするのを嫌がっている状態です。
犬が室内でトイレにチャレンジして、失敗した時にひどく怒ってしまったり、粗相をしてしまった時にひどく騒いだりしたことはありませんか。?
犬は賢い生き物です。
その時の飼い主さんの反応を見て、室内でトイレをすることが悪いことだと認識してしまうと、室内でのトイレを避けるようになります。
そして、散歩に行ったときに外でトイレをして何も言われなければ、犬はそれが正解だと認識してしまい、外でしかトイレをしなくなる、というわけです。
外でのトイレが習慣化している
そもそも室外で飼育している・飼育していた場合は、犬にとって外でのトイレが当たり前ですよね。
犬は自分の寝床周辺でトイレをするのを、習性として嫌がります。
散歩に出たときにトイレを行い、散歩の時間がルーティン化していると、それは犬にとっては当たり前の行為になります。
犬はトイレを長い時間我慢することができるため、ルーティン化した散歩の時間まで室内でのトイレをしなくなるのです。
いずれの理由も、外でトイレをすることは犬にとっては理にかなった、いいことづくしという訳です。
外でしかトイレをしない犬は雨の日にどうすべきか
外でしかトイレをしない犬は、雨の日や雪の日、トイレをどうさせるのがよいのでしょうか。
犬がいくらトイレを我慢できるといっても、雨が続くからといって長時間我慢させるのは、犬の身体にとってよくありません。
外でしかトイレをしない犬のために雨の日でも散歩すべき?
外でしかトイレをしない犬を飼っている場合、雨の程度にもよりますが、基本的には散歩に出かけましょう。
大雨や台風、大雪といった危険な悪天候の場合は、短時間でトイレをさせるだけでも構いません。
雨の日は、トイレに行くタイミングをしっかり見計らい、雨具を利用し雨に濡れない工夫をして外出してくださいね。
雨であるからといって愛犬にトイレを我慢させるとどうなるか
犬にとってトイレを我慢させるのは、犬の身体に悪影響を及ぼします。
犬に長時間トイレを我慢させることで発症しやすくなる病気は、膀胱炎や尿路結石です。
- 膀胱炎
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膀胱に細菌が感染することで発症する炎症です。
トイレを我慢するから、というよりも膀胱にたまった尿に細菌が増殖することで、膀胱炎の発症につながります。
尿を体内にとどめすぎて、尿がよどんでしまうのが膀胱炎の原因です。
- 尿路結石
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トイレを我慢すると、尿の濃度が濃くなるのが尿路結石の原因です。
尿の濃度が濃くなると、尿路結石の原因となるミネラルが腎臓や尿管・膀胱内で結晶化しやすくなり、尿路結石へとつながります。
外でしかトイレをしない場合は、天候が雨であっても、飼い主さんが覚悟をもって外に連れて行きましょう。
犬はどれくらいトイレを我慢できるのか
犬は、トイレを何時間くらい我慢できるのでしょうか。
犬のトイレを我慢できる時間は、個体差はありますが、最長12時間程度とされています。
しかし、いくら長時間我慢できるからといって、トイレを我慢させると上述したような病気につながるため、トイレを我慢しなくていい環境づくりが大切です。
外でしかトイレをしない犬は、成犬であれば最低でも1日2回、トイレに連れて行ってあげましょう。
また、子犬や老犬は、成犬に比べて排泄回数が多くなります。
1日4〜8回程度排泄をするため、可能であればその回数を1日の中で分けて、トイレに連れて行くのがおすすめです。
トイレを我慢させると、犬にとって良いことにはなりません。
飼い主さんがうまく工夫して、トイレを我慢する必要のない環境を作ってあげましょう。
外でしかトイレをしない犬に効果的なしつけとは?
外でしかトイレをしない犬であっても、いざという時のために室内でトイレができるよう、しつけをしておきたいものです。
室内でトイレができることによって、将来的に飼い主さんも犬も助かることがあります。
効果的なしつけの方法を、一緒に見ていきましょう。
外での排泄習慣のある犬でも室内でトイレができる?
外での排泄習慣のある犬でも、トレーニング次第で室内でのトイレは可能です。
しかし、トイレトレーニングは簡単なことではなく、大人になってからのトイレトレーニングは特に時間がかかります。
はじめのうちはうまくいかないことや、犬がトイレに失敗してしまうこともあるでしょう。
そんなときでも、決して犬を叱ったり責めたりしないでください。
したことがないことを、いきなりできるようになる犬はいませんよね。
犬も一生懸命努力してくれています。
トイレトレーニングは、とにかく飼い主さんの根気が成功の鍵です。
トイレトレーニングの準備をしましょう
トイレトレーニングをするにあたって、何を準備すればよいのでしょうか。
必要な項目をチェックしておきましょう。
トイレの場所を決める
上述したように、犬は寝床とトイレを分ける習性があります。
寝床のすぐ近くにトイレの場所を設置すると、犬が嫌がるかもしれません。
可能であれば、寝床から離れた場所にトイレを設置しましょう。
毎回トイレの場所が異なると犬を混乱させてしまうため、あらかじめトイレの位置を定めておきましょう。
トイレの設備を準備する
トイレの設備は、以下のものを用意しましょう。
- トイレ用ペットシート(犬の身体に合ったサイズのもの)
- トイレ用トレイやトイレ用ゲージ
ペットシートは、レギュラーとワイドの2種類のサイズが主に販売されています。
小型犬であれば、ペットシートはレギュラーサイズで十分でしょう。
中型・大型犬の場合、1回のおしっこの量が多いため、レギュラーサイズだと吸収しきれないことがあります。
中型・大型犬では、ペットシートはワイドサイズがおすすめです。
また、身体のサイズが大きい分飛び散りの範囲も広がるため、ペットシートははじめのうちは広めに敷いておきましょう。
トイレトレーニングのポイント
トイレトレーニングを適切に行っていくために、飼い主さんが注意すべきポイントがあります。
- 1、犬のトイレのタイミングを調べる
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犬がどの時間帯にトイレに行きたくなるのか、トレーニングを始める前に調べておきましょう。
トイレに行きたくなる時間帯に合わせてトレーニングを行うことで、トイレ待ちの時間を減らすことができます。
- 2、できたら褒める!
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これが、トレーニング成功の鍵かもしれません。
今まで屋外でしかトイレをしたことがない犬にとって、室内でトイレをすることは違和感でしかないでしょう。
しかし、飼い主さんから褒められることで、ここでしていいんだ、正解なんだと学習してきます。
はじめからすべて成功しなくても、少しでもできたらしっかり褒めてあげてくださいね。
- 3、トイレトレーニングは定期的に行う
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室内でのトイレができるようになっても、元々外での排泄習慣がある犬は、やはり外でのトイレがメインになるでしょう。
そんなときは、定期的にトレーニングをして、室内でのトイレ習慣を忘れないようにすることが大切です。
心構えができたら、実際にトレーニングをしていきましょう。
室内での排泄をできるようにするおすすめトレーニング
室内での排泄ができるようにするための、おすすめトレーニングは2つあります。
- 室内で排泄してから散歩に行く
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犬のトイレのタイミングをチェックし、室内で排泄してから散歩に出かけるようにするトレーニングです。
もしくは、散歩は手短に行い、排泄はおうちに帰ってから行います。
どちらも、今まで犬が経験したことがない場所でのトイレになるので、はじめのうちは根気強く行いましょう。
排泄したときにもし失敗しても、決して叱らず、淡々と片付けてください。
注意するべきこととして、犬がどうしても室内でトイレをしたがらない場合には、しつけの仕方を変えましょう。
あまり長時間我慢させると、犬の身体にとってよくありません。
トレーニングのポイントいきなり室内での排泄が難しい場合には、外に近い場所、例えばベランダや縁側などをトイレの場所に設定してみましょう。
また、犬のおしっこのにおいがついたペットシートを敷いておくことで、犬がトイレの場所だと認識しやすくなるります。
- 徐々に慣れさせる
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こちらは、段階を踏んでゆっくりと室内での排泄に誘導していくトレーニングです。
はじめのステップとして、外で排泄するタイミングで素早くペットシートを敷き、その上に排泄してもらいます。
これができたら、よく褒めましょう。
外でのペットシートの利用が成功したら、今度はおうちの玄関・ベランダなどの屋外に近い場所を利用して、ペットシートの上で排泄できるようにします。
ペットシートの上に人工芝を置いて、その上で排泄させるのも有効です。
人工芝に匂いが付くので、それを徐々に室内に誘導し、毎回同じ場所でトイレをさせるようにします。
最終的には人工芝を外し、ペットシートの上で排泄できれば成功です。
取り組みやすいほうのトイレトレーニングで、犬に室内でのトイレを覚えてもらいましょう。
家でもトイレができるようになることのメリット
そもそも、家でトイレができるようになることのメリットは何でしょうか。
犬側にとってのメリット、飼い主さんにとってのメリットを、それぞれ見ていきましょう。
犬にとっての負担の軽減
犬にとっての一番のメリットは、散歩に行かなくてもトイレをすることができることです。
室内であれば、排泄したいタイミングで行うことができるので、雨の日に濡れながらトイレに行く必要がなくなります。
冬であれば、風邪をひかないために雨でぬれた後はすぐ身体を乾かさなくてはいけません。
室内でトイレができることで、犬も寒い思いをしなくてすみます。
また、室内でのトイレは、排泄物の状態を確認しやすいため、愛犬の体調管理に大いに有効です。
色やにおいで、ちょっとした体調の変化にも気づけるようになるので、体調が悪い時や病気の早期発見に役立ちます。
飼い主さんにとっての負担の軽減
飼い主さんにとってのメリットは、精神的・体力的負担が少なくなるということです。
精神的負担にはいくつかありますが、雨の日に散歩に連れて行かなくてよいというのは、犬にとっても飼い主さんにとってもありがたいことです。
また、愛犬が高齢やケガ、病気で介護が必要になったとき、室内でトイレができるだけでそのストレスがぐっと減ります。
高齢になると、どうしてもトイレの間隔が短くなります。
屋外でしかトイレをしない場合は、その都度連れて行かなければなりません。
歩けなくなったときには、小型犬であれば抱えて移動できますが、身体が大きな犬は抱えるだけでも一苦労です。
身体の大きな犬を抱えて歩くのは、飼い主さんの身体に大きな負担となります。
外でのトイレのみを習慣とする場合は、そのようなデメリットも考慮し覚悟を持つことが必要です。
万が一災害が起きて、避難所で生活しなければならなくなる可能性も0ではありません。
最近はペットを受け入れてくれる避難所も増えてきましたが、そのような場合にトイレトレーニングができていると、トイレの管理がしやすくなります。
避難所での生活は、一緒に生活する人への配慮が欠かせません。
万が一のためにも、トイレトレーニングは行っておきましょう。
トイレのしつけの他にも「ハウス」「待て」といったしつけができていると、避難所で過ごしやすくなります。
台風シーズンと外でしかトイレをしない犬
外でしかトイレをしない犬にとって、雨の日は犬にとっても飼い主さんにとっても大敵です。
雨が続く台風シーズンはなおさらですよね。
そこで、台風シーズンを少しでも快適に乗り切るための道具や方法を紹介します。
- 犬用かっぱを用意する
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犬の身体が雨に濡れる範囲が狭まるだけで、お互いのストレスがぐっと減ります。
かっぱを着用することで雨に濡れた身体を拭かなくていい、濡れた後の寒さ対策をしなくてよいというのは大きなメリットです。
デザインも豊富で、犬にこだわりのかっぱを着せることで雨の日の散歩が楽しくなります。
ぜひ、犬に合ったかっぱを1着用意してあげてください。
購入時のポイント試着ができればベストですが、できない場合はサイズ表示をしっかり確認し、1サイズ大きめを購入することをおすすめします。
少し大きめサイズであれば、体形の変化や、冬場に服を着せたままの着用にも対応できます。
- 短縮ルートを用意しておく
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台風の時の散歩は、強風で物が飛んでくることもあり、危険度が高くなります。
そんなときは、手短に散歩を終わらせたいですよね。
いつも同じルートを通るのではなく、散歩は複数のルートを用意しておき、こんな道も通るんだよと愛犬に慣れさせておきましょう。
台風シーズンの散歩は、少しでも濡れない工夫をして、安全に過ごせるようにしたいですね。
台風の時に注意すること
台風の時の散歩で気をつけなければならないことを、以下にまとめました。
- 雨風による危険が高くなることを十分に理解する
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突風や雨による視界不良で、思わぬ事故・ケガにつながります。
しっかり周囲を警戒しながら出かけましょう。
- 犬の肉球がふやける
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人間の皮膚と同様に、水に濡れることによって、犬の肉球もふやけます。
長時間ふやけたままだと、皮膚が柔らかくなって怪我をする原因になります。
雨の日の散歩は手短に済ませましょう。
- 雨や風、物が揺れる音に怯える
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台風の日は、激しい雨や突風、さらにシャッターが揺れたり物が落ちたりして、普段聞きなれない大きな音が発生しやすい環境です。
驚きやすい犬はパニックになりやすいので、気を付けて様子を見てあげましょう。
台風の時は、さまざまな危険があるものとして、飼い主さんも犬も警戒して外出することが大切です。
雨に濡れた犬のためにできること
犬の身体が雨に濡れたままだと、徐々に体温が奪われていきます。
乾いたタオル、場合によってはドライヤーを使用して、速やかに乾かしてあげましょう。
また、濡れたままの状態だとカビなどの菌が繁殖しやすい環境になります。
皮膚炎の原因にもつながるので、決して愛犬を濡れたままにしないでくださいね。
さいごに
今回は、外でしかトイレをしない犬の対処法についてまとめました。
犬がトイレを外でしかしないのは、何かしらの理由があります。
その理由を探り、犬の気持ちに寄り添ってあげましょう。
犬が室内でトイレをすることができると、さまざまなメリットがあります。
トイレトレーニングは根気が必要ですが、気持ちに余裕をもって取り組んで行くことが大切です。