夏バテの多い暑い日や風邪が流行る冬、気温差のある季節の変わり目は「免疫力」を高めることが求められます。
免疫力の低下が原因で体調を崩しやすくなるのは、ヒトも犬も同じです。
免疫力アップに役立つ食材を積極的に摂取すると、細菌やウイルスに負けない健康的な身体が作れます。
本記事では、ペット栄養管理士が推奨する免疫機能の向上に役立つ食材を紹介します。正しい与え方や適正量を把握し、おやつやトッピングとして総合栄養食のドッグフードとあわせて活用してみてください。
犬の免疫力とは?免疫力を高める生活習慣
免疫力とは、身の回りに存在する細菌やウイルスから身体を守る機能で、犬の健康を維持するうえで重要な役割を果たします。
犬の免疫機能は、自律神経のバランスを整えることで正常に保ちます。
自律神経は心理状態に影響されやすいため、免疫力向上に役立つ生活習慣を送れるように手助けしましょう。
- 適度な運動
- 質の高い睡眠
- ストレスのない環境
- バランスのよい食事
それぞれ解説するので、内容を確認してみてください。今回の記事の本題である食材については「犬の免疫力アップのために与えたい食材」以降で詳しく解説します。
適度な運動
毎日の散歩や遊びの中で、身体を動かせる時間を確保しましょう。
適度に身体を動かすことで、細菌やウイルスを攻撃する血中白血球やリンパ球数が増加し、免疫力向上につながります。
1日2回、小型犬は10~15分、中型、大型犬は20~30分の運動をおすすめします。
年齢や性格、疾患の有無により必要な運動時間は異なるため、愛犬にあわせおこないましょう。
質の高い睡眠
十分な睡眠時間の確保も免疫力アップにつながります。
犬は寝ている時間が長いと感じても、野生時代からの名残で、深い眠りにつく時間は短いという特徴があります。
とくに、警戒心が強い犬は、ヒトの生活音に敏感で寝不足の可能性もあるでしょう。
犬が安心して落ち着ける場所を作ることで、リラックスできる副交感神経が優位になり、免疫機能の活性が期待できます。
ストレスのない環境
ストレスのない生活は、免疫機能を維持できるでしょう。
慢性的なストレスがある状態では、自律神経のバランスが乱れ、IgA抗体の産生が減少します。IgA抗体は、細菌やウイルスが体内に侵入するのを防ぐ役割があります。
犬が慢性的にストレスを感じる要因は、気温や環境が影響する場合が多いでしょう。
ヒトとの生活に影響する環境因子は、原因の改善が見込めますが、気温のストレスは防ぎようもない問題でもあります。
犬が過ごしやすい気温は21~25℃、湿度は50~60%程度です。エアコンを活用したり、空気の入れ替えをしたりし、快適に過ごせる空間づくりを心掛けましょう。
バランスのよい食事
バランスのよい食事で免疫力を高めることが期待できます。
健康な犬の食事は、総合栄養食と水のみを与えていれば問題ありません。
しかし、体内に備わった免疫力を向上させるためには、免疫機能の活性や、腸内環境の調整、抗酸化作用のある食材の摂取が有益です。
おやつやトッピングとして、総合栄養食の食事の10%程度を免疫力アップ食材に変更するとよいでしょう。
免疫力アップに役立つ食材を知り、愛犬とのコミュニケーションに役立ててください。
犬の免疫力アップのために与えたい食材
犬の免疫力アップのために与えたい食材を解説します。効果的な与え方や適量についても紹介するので、手作りご飯やおやつに活用してみてください。
本記事で算出した適正量は、総合栄養食のドッグフードを与える場合の、カロリーを基に算出した、トッピングやおやつとして利用する場合の適正量です。
5㎏の成犬を例に
エネルギー要求量は420kcal(=体重5㎏×70×0.75×係数1.6)程度であるため、追加できるカロリーは40kcal程度が目安としています。
エネルギー要求量の10%程度を推奨し、食材単品での給与はおすすめしません。
愛犬が食べられる量を把握し、与えすぎには注意が必要です。初めて与える場合は、10~20gの少量からスタートしましょう。
毎日の食事を手作りご飯で与える場合は、愛犬に適したエネルギー量の算出やレシピごとの栄養価計算が必要なため、食材や栄養に対する正しい知識が必要です。
無理のない程度に総合栄養食と組みあわせて与えるとよいでしょう。
バランスよく栄養素を摂取できるよう、あくまで栄養素の補足や嗜好性の向上を目的に使用するようにしてください。
1. 赤身肉
赤身肉は犬のエネルギー生成や体組織の構成に重要な役割がある食材で、免疫機能を強化します。
赤身肉に含まれるアルギニンと呼ばれるアミノ酸は、とくに免疫力を高める栄養素です。体内に侵入した細菌やウイルスを捕食する白血球であるマクロファージの機能を活性化します。
脂肪分が少なく、たんぱく質を多く含有する赤身肉は、牛や豚、ラム、鹿などの種類があり、ヒレや肩、肩ロース、もも、ランプ、ネックの部位が代表的です。
また、鶏肉やダックも赤身肉と同様に低脂肪であり、アルギニンが豊富に含まれます。
生の肉には、寄生虫や細菌が常在する場合があります。ヒト用の新鮮な肉でも、茹でる、蒸すなどで必ず十分に加熱をおこない、冷ましてから与えてください。
また、完全に骨を取り除き、小さくカットしましょう。
肉類の嗜好性は高く、骨を噛み続けることもありますが、一気食いや丸呑みで、のどに詰まる、骨が内臓に刺さる危険性もあります。
2. 青魚の油
青魚に多く含まれる油は、免疫力を高める効果が期待できます。
魚油は、必須脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸のDHA、EPAやビタミンDが多く含まれています。
DHAやEPAは抗炎症作用があり、免疫細胞の活性化にともない発症する咳や発熱、痛みを和らげる作用に有益です。
ビタミンDは、免疫機能を調整します。主に病原体を攻撃するマクロファージの活性化や、細胞間の情報伝達で免疫機能のバランスを取るサイトカインの分泌促進の役割です。
また、病原体が増えないよう働く抗菌ペプチドの生成を促します。
ドッグフードでは、主にマグロやアジ、イワシ、サーモンが使用されます。海外メーカーの商品では、日本語でニシンを指すへリング、サバの仲間のマッカレルと表記するドッグフードも。
皮膚や関節のケアに着目したドッグフードは、免疫力アップに効果がある栄養素が含まれる傾向があります。
犬に魚を与える場合は、必ず加熱し、小さな骨も完全に取り除いてください。塩サバや干物などのヒト用に加工された魚は、塩分過多になるため、控えましょう。
サバ、イワシ、サンマ、ブリなどの青魚は、アレルギーを発症しやすいヒスタミンを生成するヒスチジンを多く含みます。
はじめて与える際は、少量にし、体調の変化がないか様子を観察してください。
DHAやEPAをサプリメントで摂取する際は、同時に含まれることの多いビタミンDの量に注意しましょう。
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するため、過剰摂取により腎不全に陥る可能性や、血管内や心臓でカルシウム異常沈着が生じるリスクもあります。
3. 卵
犬の免疫力アップには、卵の摂取もおすすめです。
卵には免疫機能の活性に役立つたんぱく質、ビタミンAが豊富に含まれます。
卵のたんぱく質は、犬に必要な10種類の必須アミノ酸が含まれ、体組織や免疫細胞の構成成分として活躍します。
必須アミノ酸は、なにかひとつでも欠けると機能しないため、バランスが重要です。
卵は、たんぱく質の質を示す指標であるアミノ酸スコアが100であり、犬も摂取するとよい食材といえるでしょう。
犬に卵を与える際は、できる限り加熱をし、小さく潰すと食べやすく、安全性も高まります。白身のみを与える場合は、ビオチンの吸収を阻害するアビジンが含まれるため、必ず加熱しましょう。
β‐カロテンを多く含むかぼちゃ、にんじん、ピーマンなどの野菜と一緒に摂取すると、ビタミンAとの相乗効果により、免疫機能を活性化する免疫賦活作用が働きます。
4. ヨーグルト
ヨーグルトに含まれる乳酸菌の効果で、腸内環境を整えます。よい腸内環境の維持は、免疫力を高めることに効果的です。
乳酸菌は善玉菌のひとつであり、乳酸を生成し腸管内を酸性に保つことで悪玉菌の増殖抑制、腸内菌のバランス調整をおこないます。
栄養素の消化、吸収以外の腸の働きは、多くの免疫細胞が存在する免疫の指示役としての機能です。
腸内環境が正常であれば、腸管免疫により、免疫細胞の活性化、細菌やウイルスの体内への侵入を抑制します。
また、IgA抗体の生成を促し、血液やリンパ管を通じて免疫細胞を輸送し、全身の免疫力を高めます。
ヨーグルトを与える際は、砂糖や果汁ソースの含まれない、プレーンヨーグルトを選択しましょう。
カロリーを基に算出した上記の表で適正量は70gとしていますが、過剰摂取は下痢やアレルギーのトラブルにつながることもあります。
毎日の食事にトッピングする場合は、スプーン1~2杯程度がおすすめです。
乳酸菌は胃酸の酸性に弱いため、空腹時に与えると効果が弱まる可能性があります。乳酸の効果を発揮しやすい食後に与えるとよいでしょう。
5. バナナ
バナナに含まれるオリゴ糖は、善玉菌の栄養源になるため、腸内環境の改善に効果があり、免疫力を高める作用が期待できます。
オリゴ糖はエネルギー源になる消化性と、消化されず善玉菌の栄養源になる難消化性に分類されます。
バナナに含まれるフラクトオリゴ糖のほか、大豆に含まれる大豆オリゴ糖、乳製品に含まれるガラクトオリゴ糖が代表的です。
善玉菌の栄養源になる成分はプレバイオティクスと呼ばれます。
多種多様な細菌が集まる腸内フローラのバランスを維持し、免疫機能を活性化する善玉菌の増殖を促進する成分です。
バナナは皮をむき、小さくカットして与えましょう。すり潰し、ドッグフードと混ぜて与えるのもおすすめです。善玉菌を含むヨーグルトと一緒に摂取すると、腸内環境の改善により効果が期待できます。
バナナは、カリウムやマグネシウム、糖質が豊富であるため、アレルギー体質や糖尿病、尿石症、腎臓病、心臓病の疾患がある犬には向かない場合もあります。与える際は、獣医師に相談し、摂取しても問題ないか確認してください。
6. しいたけ
しいたけは免疫機能を活性化する効果が期待できる食材です。
食物繊維が豊富に含まれ、β-グルカンと呼ばれる不溶性食物繊維が、免疫機能の活性に役立ちます。
β-グルカンの働きは、体内に侵入した異物を破壊するマクロファージやキラーT細胞、好中球などの免疫細胞の活性、細菌やウイルス、がん細胞の増殖の抑制です。
また、腸管内で善玉菌の栄養源として活用され、発酵分解により短鎖脂肪酸を生み出します。
短鎖脂肪酸は、IgA抗体を産生する腸内免疫の機能促進に影響するため、免疫力アップが望めるでしょう。
犬にしいたけを与える際は、消化しやすいよう加熱し、柔らかくしましょう。
干しシイタケを使用する際は、硬いままの摂取では腸管内が傷つきやすく、摂取後に胃内で膨れ、嘔吐の原因になるため、完全に戻してから与えてください。
戻す際のしいたけ出汁を活用し、ドッグフードをふやかすと嗜好性の向上が期待できます。
えのきやえりんぎ、しめじなどのきのこ類もβ-グルカンが含まれるため、さまざまな種類のきのこの活用がおすすめです。
7. ブロッコリー
ブロッコリーに含まれるビタミンCやスルフォラファンは、免疫力アップが期待できます。
犬は体内でビタミンCを生成できる動物であるため、ビタミンCの摂取は必須ではありません。
しかし、ビタミンCの合成能力は犬により差があり、摂取が必要な場合もあると考えられています。
肝臓機能の低下や喫煙者と生活する犬は、合成能力が低く、ビタミンC不足の傾向があります。
ビタミンCの機能は、活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用です。活性酸素により細胞や組織が破壊される酸化を防ぎ、免疫機能を維持します。
また、ブロッコリーやブロッコリースプラウト、芽キャベツ、カリフラワーなどに含まれるスルフォラファンは、植物に含有する天然の化学物質のファイトケミカルのひとつです。
抗炎症作用があり、免疫力を高める効果が見込まれます。
ブロッコリーは消化性を高めるため、加熱し柔らかくし与えてください。
ビタミンCは水溶性ビタミンであり、茹でると栄養成分が水に溶けだしやすいため、電子レンジや蒸し調理がおすすめです。
抗酸化作用の相乗効果のあるビタミンAやビタミンEの多い食材と一緒に摂取するとよいでしょう。
8. りんご
りんごはポリフェノールや食物繊維を豊富に含み、免疫機能を向上させる効果が期待できます。
りんごはさまざまな種類で構成されるポリフェノールが含まれる、プロシアニジン類が約6割を占めています。
プロシアニジン類は高い抗酸化作用があり、免疫機能の維持に効果的です。
りんごに含まれる食物繊維は、ペクチンと呼ばれる水溶性食物繊維が多く、便通を促し、腸内環境の改善を促進するのに加え、腸管内の免疫細胞に作用し、炎症を抑制します。
犬にりんごを与える際は、糖質やカロリーが過剰になりやすいため、摂取量に注意しましょう。
誤嚥のリスクも高いため、小さくカットする、すりおろすなどの工夫が必要です。
種や芯、茎、葉には、けいれんや呼吸困難の中毒を引き起こすシアン化合物が含まれるため、必ず取り除いてください。
生のまま皮ごとの摂取は問題ありませんが、農薬の付着の可能性があるため、十分に洗いましょう。
9. トマト
トマトも免疫機能を向上させる働きを持つ栄養素を豊富に含む食材です。
トマトは赤や黄色の色素成分であるβ-カロテンやリコピンなどのカロテノイドが豊富で、抗酸化作用や免疫賦活作用があり、免疫力の向上が期待できます。
β-カロテンは、犬の体内で一部が変換され、ビタミンAとしての機能を発揮します。
ビタミンAは光刺激に影響し、視覚機能の維持や、粘膜維持やIgA抗体の産生に関与します。
リコピンはカロテノイドの中でも抗酸化作用が強く、活性酸素の機能を抑制し、免疫細胞の酸化を防止します。
犬に与える際は、未熟なトマトやヘタ、茎には毒性のあるアルカロイド配糖体が含まれるため、赤く熟したトマトを選んでください。
皮を取り除き小さくカットすると未消化を防げるでしょう。
トマトの酸味が苦手な犬には、加熱し与えると甘味が増すため、食べやすくなります。
犬は、ほかの動物と比較して、ビタミンA中毒に陥りやすいため、過剰摂取には注意が必要です。
過剰症は食欲低下、体重減少、骨の奇形、内出血、結膜炎、肝臓や腎臓の機能低下などがあげられます。
10. ひじき
ひじきに含まれる亜鉛やセレンなどのミネラル成分は、免疫力を向上させる効果が期待できます。
亜鉛は味覚機能に影響する栄養素ですが、エネルギー代謝や免疫機能活性にも役立つミネラルです。
細胞分裂や新陳代謝を促す効果により、マクロファージやNK(ナチュラルキラー)細胞などの自然免疫系を活性化させます。
また、病原体が体内に侵入した際に活性化する獲得免疫系の働きの活性や、抗炎症性たんぱく質の合成により炎症の抑制をおこないます。
セレンは、海藻類、肉類、魚介類に多く含まれるミネラルであり、抗酸化作用に有益です。活性酸素による細胞粘膜の老化を防ぎ、免疫機能を強化します。
ひじきは、十分に水で戻し、加熱してから与えましょう。
未消化率が高く、摂取量が多い場合、体内でひじきの効果を発揮できず、そのままの形で便として排泄されるため、できる限り小さくカットする、すり潰すなどの工夫が必要です。
動物性たんぱく質と一緒に摂取すると亜鉛の吸収効率が高まるため、肉類や魚にトッピングをおすすめします。
のりやわかめなどひじき以外の海藻類にも、免疫力アップに役立つ栄養素が含まれるため、さまざまな種類の海藻を取り入れてみましょう。
11. 納豆
納豆は免疫機能を向上させる納豆菌や大豆サポニンの働きがあります。
納豆菌は、納豆特有の菌であり、乳酸菌と同様、善玉菌として腸内環境の改善をおこない、免疫力を高めます。
デンプンを分解するアミラーゼ活性があるため、オリゴ糖の産生を促し、善玉菌の栄養源としても有益です。
大豆製品に豊富に含有する大豆サポニンは、抗酸化作用や免疫力向上の効果が期待できます。NK(ナチュラルキラー)細胞と呼ばれるリンパ球を活性化し、細菌やウイルスを攻撃し、身体を守ります。
納豆は、味付けせず与えましょう。粒が大きい納豆は消化性が低いため、ひきわり納豆の活用や、細かく刻むことをおすすめします。
納豆菌は熱に強い菌であるため、スープに入れるととろみが付き、嚥下機能が衰えた高齢犬でも食べやすくなるメリットがあります。
大豆アレルギーがある犬もいるため、初めて与える場合は少量にし、体調の変化を観察してください。
12. レンコン
レンコンはタンニンやビタミンが豊富な野菜で、犬の免疫力向上につながります。
タンニンとは、ポリフェノールの一種であり、赤ワインや渋柿、栗の皮、茶葉など渋みの強い食材に含まれますが、日常的に与えやすい食材はレンコンです。
タンニンは、抗酸化作用があり、活性酸素を抑制し、免疫機能を維持、向上させます。
また、レンコンは、ビタミンC、ビタミンEも豊富に含まれるため、抗酸化能力が高い食材といえるでしょう。
ビタミンB1は糖代謝に重要なビタミンですが、不足すると腸管内で免疫細胞を維持するパイエル板の機能や、母乳中の抗体生成やリンパ球であるT細胞の分化をおこなう乳腺が縮小します。
乳腺で免疫細胞が作られず、パイエル板で維持できないため、免疫力低下につながります。
豊富に含まれる食物繊維の難消化性を解消するために、生のまま与える場合は、すりおろすとよいでしょう。
柔らかく加熱し、小さくカットすると、程よい噛み応えを好む犬もいます。
薄く切り、電子レンジで水分を飛ばして乾燥させたレンコンチップスは、筆者のチワワの大好物なおやつです。
犬の免疫力アップのためのドッグフード
犬の免疫力アップのためのドッグフードを紹介します。
免疫機能の活性化や胃腸内の環境を整える食材や栄養成分が添加されたドッグフードの選択ができるよう、パッケージに記載がある原材料を確認しましょう。
免疫機能を活性化させるドッグフード
免疫機能の活性化に役立つ栄養素は、動物性たんぱく質がメインで使用されるドッグフードです。
オメガ3系脂肪酸や亜鉛が多く含む原材料を使用しているとよいでしょう。
動物性たんぱく質を多く含む食材に多いアルギニンが、異物である細菌やウイルスを捕食する白血球であるマクロファージの機能を活性化します。
抗炎症作用のあるオメガ3系脂肪酸や、細胞分裂や新陳代謝を促し、自然免疫系を活性化する亜鉛の効果も期待できます。
ドッグフードに使用される原材料のうち、これらを含む食材名は次の例があります。
動物性たんぱく質
- チキン
- ターキー
- ダック
- ラム
- ポーク
- ビーフ
- 鹿肉
オメガ3系脂肪酸
- サーモン
- ニシン
- いわし
- タラ
- アジ
- 魚油
亜鉛
- 馬肉
- 大豆
- レバー
肉類や魚介類は、ミールやエキス、オイルなどわかりにくい食材名で表記される場合もあります。
また、DHAやEPA、亜鉛は添加物として含有していることもあるでしょう。
パッケージに免疫ケアのドッグフードと謳う商品もあるため、原材料とあわせてチェックしてみてください。
腸内環境を整えるドッグフード
腸内環境が正常であれば、腸管免疫が活性化するため、腸内環境を整えるドッグフードも免疫力アップにつながります。
抗体の生成や異物侵入の抑制作用も期待でき、腸内フローラのバランスを整えることが重要です。
善玉菌が補強されている、善玉菌の栄養源になる食物繊維やオリゴ糖を補うドッグフードがよいでしょう。
腸内環境を整える食材を含む原材料は次のとおりです。
乳酸菌
ビフィズス菌
酪酸菌
オリゴ糖(フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖など)
食物繊維
- フスマ
- 玄米
- ビートパルプ
- 米ぬか
- おから
- サツマイモ
食物繊維は不要になった栄養素を体外に排出する役割がありますが、エネルギー源として利用できない栄養素であるため、過剰摂取は控えるべきです。
本来必要なエネルギー源になるたんぱく質や脂質などの栄養素の摂取量が低下し、体内でも吸収が阻害されるリスクがあります。
AAFCOの基準では、粗繊維量は4%以下を推奨しているため、愛犬に適した繊維量を検討しましょう。
胃腸に優しいドッグフード
犬の消化性が高く、胃腸に優しい原材料であることが免疫力アップのドッグフードに求められます。
胃腸に優しい食事の条件は、添加物や未消化物を残しやすい原材料が少ないことです。
栄養素の強化目的や、品質維持のため最小限の添加物は必要ですが、中には不必要な添加物が使用されるドッグフードもあるでしょう。
たとえば、犬がおいしいと判断しないとされる見た目のこだわりは、飼い主目線のおいしさです。
鮮やかなピンクや赤色の肉に見立てた商品には、無駄な人工着色料が使用される場合もあります。
また、消化性の高い質のよいたんぱく質が使われることや、ヒトが食べられる食材を使用したヒューマングレードであることも大切です。
未消化を減らすには、穀物を使用しないグレインフリーのドッグフードが適している犬もいるでしょう。
胃腸に優しい主原料が含まれるドッグフードの特徴は、次のとおりです。
- ヒューマングレード(食材の原産国や産地が明確であるとよい)
- 動物性たんぱく質を主原料に使用している(たんぱく質18.0%以上を推奨)
- 無添加
- グレインフリー
グレインフリーのドッグフードは、高たんぱく、高エネルギーになるため、消化機能が低下している高齢犬や肥満、心臓疾患のある犬には向かない場合もあります。
穀物も犬には重要な栄養源であるため、「必ずしも摂取を控えることが適切とはいえない」と理解しましょう。
まとめ
本記事では、免疫力アップの食材を解説しました。
免疫力アップには、免疫機能の活性化や免疫細胞の増殖が重要です。
免疫機能の司令塔の役割がある腸管免疫を強化するため、腸内環境の改善や消化によい食材を使用したドッグフードの選択が求められます。
完全な手作りフードのみで十分な栄養の摂取を試みるのは、知識や栄養計算の手間もあるため、おやつやトッピングで補うことがおすすめです。
免疫力が低下しやすい季節の変わり目や暑い夏、寒い冬にも健康で元気に生活を送れるよう、免疫力アップの食材を試してみてください。