愛犬のためのドッグフードを選ぶ際、何に注目して選んでいますか?
健康的な生活が送れるよう、栄養価の高く、美味しい食事を与えたい願いは、飼い主ならあるでしょう。
バランスのよいドッグフードには、犬に大事な5大栄養素が含まれます。パッケージに記載される食材や栄養成分の深い理解で、愛犬に適した食事を選択できます。
本記事では、ペット栄養管理士が犬に必要な5大栄養素を解説します。ドッグフードを選択する際に確認すべく、パッケージの内容や栄養基準、食材も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ドッグフードに必要な5大栄養素
![ドッグフードと犬の手](https://animalcompassion.media/wp-content/uploads/2024/04/dog-food-5175604_640.jpg)
犬はオオカミが祖先であるため、肉食動物と考えられがちです。犬の食性は研究が進められ、代謝や合成の仕組みから、たんぱく質要求量の高い「雑食性の肉食」「肉食性の雑食」に分類されます。
ドッグフードに必要な5大栄養素は次のとおりです。
- たんぱく質
- 脂質
- 繊維・糖質(炭水化物)
- ビタミン
- ミネラル
それぞれの栄養素の働きや摂取できる食材を解説するので、内容を確認してみてください。
たんぱく質
犬の食事で大切な栄養素は、たんぱく質です。
たんぱく質とは、アミノ酸がいくつも連なり構成される成分であり、犬が主にエネルギー源として代謝する栄養素です。
また、筋肉や骨格、血液、皮膚、被毛などの構造性組織と、ヘモグロビン、ホルモン、補酵素、遺伝子など機能的組織として体内に存在します。
たんぱく質は体内で生成できる非必須アミノ酸と、体内で生成できなく食事での摂取が必要な必須アミノ酸に分類します。
犬の必須アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファンの10種類です。
たんぱく質を多く含む食材は、肉類や魚介類、卵、乳製品の動物性たんぱく質と、豆腐や納豆などの大豆製品や穀物の植物性たんぱく質があります。
次の表はそれぞれの必須アミノ酸を多く含む食材の例です。
必須アミノ酸 | 多く含む食材 |
---|---|
アルギニン | 鶏肉、納豆、豆腐 |
ヒスチジン | マグロ |
ロイシン | 牛肉、プレーンヨーグルト、海苔、鶏卵 |
イソロイシン | 鶏肉、サケ、カッテージチーズ、鶏卵 |
バリン | 鶏肉、魚類、牛肉、ピーナッツ、ゴマ |
リジン | プレーンヨーグルト、豆類、マグロ |
メチオニン | 豆腐、とうもろこし、鶏肉、牛肉 |
フェニルアラニン | 大豆製品、乳製品 |
スレオニン | 鶏肉、魚類 |
トリプトファン | 乳製品、かつお節 |
アミノ酸が体内で活用されるには、全体的なバランスが重要です。何か1つでも不足すると、摂取量が多いアミノ酸は使われることはありません。
食材により、含まれるアミノ酸の種類が異なるため、複数のたんぱく質源の食材を満遍なく摂取できるとよいでしょう。
脂質
脂質も犬の食事で欠かせない栄養素です。
脂質は、グリセリンと3個の脂肪酸から構成される成分であり、たんぱく質と同様にエネルギー源になる栄養素です。
1gあたり3.5kcalのエネルギーとして活用できるたんぱく質に比べ、脂質は8.7kcalと約2.5倍であり、吸収効率のよいエネルギー源です。
また、体温維持や臓器の保護、細胞膜、ホルモン形成、脂溶性ビタミンの吸収に関わります。
脂質は、構造の違いにより飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類され、さらに不飽和脂肪酸は一価と多価に分けられます。犬ではオメガ3系とオメガ6系の多価不飽和脂肪酸が必須脂肪酸です。
次の表は必須脂肪酸別に多く含まれる食材の例です。
必須アミノ酸 | 多く含む食材 | |
---|---|---|
オメガ3系脂肪酸 | α-リノレン酸 | エゴマ油、亜麻仁油 |
DHA | マグロ、イワシ、アジなど青魚、魚油 | |
EPA | マグロ、イワシ、アジなど青魚、魚油 | |
オメガ6系脂肪酸 | リノール酸 | 大豆油、コーン油、ひまわり油 |
γ-リノレン酸 | 月見草油、カシス種子、母乳 | |
アラキドン酸 | 肉類、卵黄、サバ |
α-リノレン酸は体内でDHA、EPAを、リノール酸はγ-リノレン酸、アラキドン酸を合成し生成するため、リノール酸、α-リノレン酸のみを必須脂肪酸と呼ぶ場合があります。
しかし、不足しがちな栄養素であるため、意識的に摂るとよいでしょう。
繊維・糖質(炭水化物)
ヒトの3大栄養素のひとつである炭水化物は、犬では少し違う考え方を推奨します。
本記事では、炭水化物を繊維と糖質に分けて解説します。
繊維
繊維は、馴染み深い食物繊維と同じ働きがある成分です。食物繊維は、水溶性と不溶性に分類されます。
水溶性は、水に溶けゲル化し、血糖値の上昇を抑制、不要な栄養素の吸収阻害、便の水分保有量を増加させ、便のかさを増やします。
不溶性は、大腸の粘膜を刺激し、水分や粘液の分泌に効果的です。
腸内環境や便通の改善、栄養素吸収のコントロールで摂りすぎにより引き起こる肥満や脂質異常症、高血圧、高血糖を予防します。
ドッグフードに使用されることが多い食物繊維が豊富に含まれる食材は次のとおりです。
- 小麦
- とうもろこし
- 脱脂大豆
- 小麦フスマ
- レジスタントスターチ
- ビートパルプ・ビートファイバー(ビーツ、テンサイから砂糖を作る際に残る繊維質)
- 野菜や果物類(トマトポマス、アップルファイバー)
- イヌリン(ごぼう、キクイモなど)
- 酵母(パン酵母、ビール酵母など)
ドッグフードには粗繊維と記載されますが、不溶性食物繊維のみを指します。食物繊維の全体量ではないことは認識しておきましょう。
糖質
糖質は、ヒトと同じくエネルギー源になる炭水化物の成分であり、ドッグフードには可溶無窒素物と記載されるか、記載されないことが多いでしょう。可溶無窒素物とは、たんぱく質や脂質、粗繊維、ミネラル、水分を除いた成分です。
たんぱく質や脂質に比べ、エネルギー代謝が最も早く、膵アミラーゼにより分解後、小腸で速やかに吸収され、エネルギー源として活用します。
糖質を多く含む食材のうち、ドッグフードに使用されることが多い食材は次のとおりです。
- 小麦
- 玄米
- オートミール
- 小麦フスマ
- とうもろこし
- コーンスターチ
- ポテトスターチ
- ジャガイモ
- サツマイモ
ヒトと同様に、犬でも過剰な糖質摂取は、脂肪に変換され、体内に蓄積されるため、肥満の原因になり、注意が必要です。
ビタミン
犬の食事でも、ビタミンは重要です。
ビタミンは、生命維持やエネルギー代謝などを正常に活動させる役割があります。体内で生成できない、または必要量に満たない栄養素であり、必ず食事から摂取が必須です。
ビタミン以外の栄養素や、ライフステージ、活動量などの要因で、要求量が変わるため、必要に応じた摂取量を確保できるドッグフードの選択が求められます。
ビタミンの種類や機能、多く含む食材は次のとおりです。
ビタミン | 主な機能 | 多く含む食材 | |
---|---|---|---|
脂 溶 性 ビ タ ミ ン | ビタミンA | 視覚機能の維持骨代謝維持 | 鶏卵、レバー、ウナギ、にんじん、ほうれん草、かぼちゃ |
ビタミンE | 抗酸化作用 | 緑黄色野菜、ウナギ、納豆、サツマイモ | |
ビタミンD | カルシウムやリンの吸収促進 | 卵黄、サケ、サンマ、マグロ、カレイ | |
ビタミンK | 血液凝固因子の機能維持骨代謝維持 | 緑黄色野菜、ブロッコリー、卵黄、納豆、海苔、わかめ | |
水 溶 性 ビ タ ミ ン | ビタミンB1 | 糖代謝 | 緑黄色野菜、レバー、大豆、枝豆、ウナギ、カツオ、玄米 |
ビタミンB2 | エネルギー代謝(主に脂質) | 乳製品、レバー、鶏卵、緑黄色野菜、ブリ、サワラ | |
ビタミンB6 | アミノ酸代謝 | 肉類、緑黄色野菜、バナナ、玄米 | |
ビタミンB12 | 造血 | 肉類、あさり、しじみ、サンマ、海苔 | |
ナイアシン(ビタミンB3) | エネルギー代謝 | カツオ、マグロ、サバ、サワラ | |
パントテン酸(ビタミンB5) | エネルギー代謝 | レバー、ハツ、大豆、納豆、サツマイモ | |
葉酸 | 造血 | レバー、卵黄、ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガス、とうもろこし | |
ビオチン | エネルギー代謝 | 卵黄、レバー、大豆、カリフラワー | |
コリン | 脂質輸送 | 卵黄、魚、大豆、玄米、とうもろこし |
脂溶性ビタミンは、脂質の吸収と関わりが深く、脂質に溶けることにより、体内に吸収されます。また水溶性ビタミンは、たんぱく質、脂質、糖質の代謝に影響し、エネルギー生成をおこなう補酵素です。
ヒトが必要とするビタミンCは、犬の体内では合成できるため、摂取の必要がありません。
ビタミンB2とビタミンB6を同時に摂取する、脂溶性ビタミンの多い食材と油を一緒に摂取するなど、ビタミンやその他の機能を持つ食材との組み合わせにより、吸収効率や利用促進の効果が期待できます。
ミネラル
灰分や無機質と呼ばれるミネラルも、犬の重要な栄養素です。
ミネラルは、骨や歯の構成成分、体液に存在し、浸透圧やpH調整、神経伝達をおこなう、酵素やホルモンの構成成分の役割があります。
ミネラルは大半が、吸収されやすいイオンの形に変換されます。しかし、他の栄養素との摂取バランスにより、吸収が阻害されるケースも多いため、食材の組み合わせには注意が必要です。
カルシウムとリン、ナトリウムとカリウム、鉄と銅など相互作用を持つミネラルがあります。また、穀物に多いアミノ酸であるフィチン酸や、苦味や色素成分のポリフェノールは、ミネラルの吸収を阻害しやすい成分です。
過不足のないよう、さまざまな食材の組み合わせで、摂取するとよいでしょう。
犬に必須である代表的な12種類のミネラルの機能や多く含む食材は、次のとおりです。
ミネラル | 主な機能 | 多く含む食材 | |
---|---|---|---|
多 量 ミ ネ ラ ル | ナトリウム | 浸透圧調節、神経伝達、筋肉収縮 | 味噌、海藻類、魚介類 |
カリウム | 浸透圧調節、神経伝達、筋肉収縮 | バナナ、海苔、ひじき | |
カルシウム | 骨形成、血液凝固、酵素活性 | カッテージチーズ、乳製品、煮干し | |
リン | 骨形成 | しらす、レバー、肉類 | |
マグネシウム | 酵素活性、神経伝達、筋肉収縮 | ひじき、枝豆 | |
微 量 ミ ネ ラ ル | 鉄 | 酸素輸送 | 肉類、レバー、ほうれん草、あさり、マグロ |
亜鉛 | 酵素活性、たんぱく質合成、ホルモン合成 | 牛肉、ウナギ、鶏卵 | |
銅 | 鉄の吸収促進 | 牡蠣、レバー、大豆 | |
セレン | 抗酸化作用 | レバー、鶏卵、魚介類、海藻類 | |
ヨウ素 | 甲状腺ホルモン構成成分、体温維持 | わかめ、ひじき | |
マンガン | エネルギー代謝酵素の補因子 | 大豆、玄米、ごま | |
クロム | 免疫機能向上 | レバー、カッテージチーズ |
この他にもコバルトやモリブデンなど、犬では24種類程度が現在の研究で摂取が必須とされています。
ミネラルの持つ機能や不足による疾患の発症、補給による治癒が保証されるエビデンスが少ないため、必須であると認定されませんが、今後、必須ミネラルが増加する可能性もあるでしょう。
総合栄養食はAAFCOの基準を採用
![2匹の犬](https://animalcompassion.media/wp-content/uploads/2024/04/alvan-nee-73flblFUksY-unsplash.jpg)
ドッグフードの栄養素は、AAFCO(米国資料検査官協会)のガイドラインに沿って決められます。
AAFCOは、犬のライフステージ別に、成長や維持に必要な栄養基準が設定され、歴史が長い理由から世界的に採用されている事実上グローバルスタンダードの基準です。
たんぱく質や脂質などの必要な栄養素の最小限度値や、疾患や健康被害の危険性のある栄養素の上限値を示します。
総合栄養食のドライフードにおけるたんぱく質と脂質の基準は次のとおりです。
栄養素 | 成長期(幼犬期) | 維持期(成犬期) |
---|---|---|
たんぱく質 | 22.5%以上 | 18.0%以上 |
脂肪 | 8.5%以上 | 5.5%以上 |
アミノ酸や脂肪酸、ビタミン、ミネラルも基準値が定められています。
総合栄養食と記載のあるドッグフードは、分析試験や給与試験により基準を満たすことが証明されています。
ドッグフードのパッケージの見方
![笑顔の犬](https://animalcompassion.media/wp-content/uploads/2024/04/john-price-wzRQfEw9CMc-unsplash.jpg)
愛犬に合うドッグフードを見極めるには、パッケージに記載される成分や原材料を正しく理解できることが重要です。
「栄養成分表示」「原材料」でわかることを解説するので、内容を確認してみてください。
必ずパッケージに記載される項目
ドッグフードのパッケージは、2009年6月に施行された「ペットフード安全法」と、2007年6月に改善された「ペットフードの表示に関する公正競争規約」で規定された表示内容があります。
対象は、愛玩目的の犬、猫に適用されるペットフードです。
必須表示は、次の9項目です。
ペットフード安全法の表示基準
- ペットフードの名称:犬用または猫用と対象動物がわかる記載
- 賞味期限:定められた方法により保存した場合、栄養価や風味などの品質保持が可能な期限であり、年月日、年月で記載
- 原材料名:食品添加物も含む、使用されるすべての原材料を記載
- 原産国名:製造された国名
- 事業者名と住所:種別(製造業者、輸入業者、販売業者)、名称、住所
ペットフードの表示に関する公正競争規約に基づき加えた表示内容
- 成分:粗たんぱく質(たんぱく質)、粗脂質(脂質)、粗繊維、粗灰分(灰分)、水分の重量比(水分)※表示規則の改訂により()内の表記も可
- ペットフードの目的:総合栄養食、治療食、間食、その他の目的食
- 内容量:「g」「㎏」単位で記載
- 給与方法:1日に与える量や回数を表や図で記載
ペットフード公正取引協議会・表示方法
ペットフードは、ヒトの食品と分類が異なるため、食品に適用する法律は使用されません。
規制が緩く、粗悪な食材を使用したペットフードが販売されないよう、愛玩動物に対する法律に則り、目的に応じた食事を選択できるように表示されています。
一部の海外メーカーの商品や、パッケージのサイズにより記載されていない場合もあります。公式サイトで内容をチェックするようにしましょう。
「原材料」でわかること
原材料表示では、使用されるすべての食材や食品添加物、アレルギー食材の有無が確認できます。
原材料に占める重量の割合が多い主原材料から記載されます。パッケージの表示スペースにより、肉類、野菜類などと食品の分類名のみの記載の場合も可能です。
また、チキンやビーフ、マグロなど絵や写真で原材料が一目でわかる特定の原材料名を記載する際は、5%以上使用していることが定められています。
食品添加物はペットフード安全法に基づき、使用が許可された添加物が使用されます。ビタミン、ミネラル、アミノ酸などの栄養添加物、保湿剤や酸化防止剤、増粘安定剤、保存料などの品質保持を目的とするものが代表的です。
食品で使用許可のない添加物でも飼料添加物として利用される場合があります。
特定栄養素の強化やナチュラル、無添加、推奨、受賞などの文言の使用も、規則に則り謳われます。同種の商品と数値での比較や、専門家により認められた試験結果の提示などが条件です。
アレルギーや粗悪な食材が使用されていないかを確かめられるため、初めてフードを与える際は必ず原材料を確認するようにしてください。
「栄養成分表示」でわかること
栄養成分表示は、ペットフードに含まれる栄養成分が確認できます。ライフステージや、体型や抱えた悩みに適しているのか判断する際に活用します。
表示義務がある栄養素項目は、粗たんぱく質、粗脂質、粗繊維、粗灰分、水分の重量比です。その他の栄養素は目的にあわせ、必要に応じて記載されます。
馴染み深いヒトの栄養素のたんぱく質や脂質が、粗たんぱく質、粗脂質である認識で問題ないでしょう。
犬の重要な栄養成分であるたんぱく質の量は、粗たんぱく質量を確認します。エネルギー源になる脂質量も重要になるため、とくに意識すべき項目です。
粗繊維は、食物繊維を示す値ではありません。セルロース、リグニン、キチンなどの不溶性食物繊維のみを指し、犬が消化できない成分です。
粗灰分は、食品を燃焼させた後に残る灰で、カルシウムやリン、マグネシウムなどのミネラル類を指します。
水分の重量比は、フードの種類により異なる比率で、10%程度以下をドライフード、25~30%程度をセミモイストフード、ソフトドライフード、75%程度をウエットフードに分類します。
栄養成分表示は、現物または乾物ベースで成分を算出しているのかが重要です。現物ベースはペットフードそのものの成分値を測定していますが、乾物ベースは水分を取り除き鑑定をおこないます。水分量の違いにより、栄養価に差があるように感じ、正確な比較にならない可能性があります。複数のフードを比べる際は、乾物ベースで比較するとよいでしょう。
ドッグフードを選ぶ際のチェックリスト
![おやつをもらう犬](https://animalcompassion.media/wp-content/uploads/2024/04/gabriella-louw-t1KxfWLzW8o-unsplash.jpg)
ドッグフードを選ぶ際は、次の項目をチェックし、愛犬に適したドッグフードを選択できるようにしましょう。
①フードの種類
ドッグフードは、総合栄養食、治療食、間食、その他の目的食に分けられます。
健康な犬の場合、普段の食事は総合栄養食と水を与えれば、十分な栄養の摂取が可能です。
②形状
粒の大きさ、フードの水分保有量など商品により、ドッグフードの形状が異なります。
早食いの犬には、ゆっくり噛みながら食べられる粒の大きいドッグフードを選ぶとよいでしょう。顎や口、歯が小さい小型犬や短頭種には、食べやすい小さい粒のフードや、柔らかく加工してあるモイストフードもおすすめです。
③ライフステージ
犬の年齢にあわせたドッグフードの選択は、成長に必要な栄養素を摂取できるため重要です。
幼犬用、成犬用、高齢犬用など愛犬の年齢に合わせ選択しましょう。また、室内での生活が多い犬、避妊去勢済みの犬など、生活習慣や性ホルモンの違いによる区別もあります。
メーカーにより全犬種対応の商品もあるため、ライフステージに適した栄養が摂取できるドッグフードを選択しましょう。
④安全性
基本的にドッグフードはペットフード安全法の基準を通過しているため安全です。
しかし、使用規定のない食品添加物や粗悪な食材を利用した安価なドッグフードも存在します。
また、許可された添加物でも、継続した摂取を控えるべきものもあります。ヒューマングレードの食材を使用し、不必要な添加物を使用しない商品を選択しましょう。
⑤カロリー(代謝エネルギー)
同じライフステージの犬でも、骨格や体型により、給与量の調整が必要です。
体重別の給与量の早見表が記載されている場合もありますが、愛犬の状態により、必要エネルギー量を考慮し、ドッグフードを選択しましょう。
⑥悩みにあわせた商品価値
下痢や便秘に悩む場合は、腸内環境を整える効果が期待できる繊維質の量、関節や骨格を丈夫にしたい場合は、抗炎症作用のあるオメガ3系の添加など、悩みにあわせた選択が重要です。
パッケージに記載がある場合が多く、主原材料や栄養添加物として使用されるため、原材料名を確認しましょう。
⑦嗜好性
愛犬の嗜好にあわせ、主原料や形状を選ぶとよいでしょう。
少量パックのドッグフードは、酸化しにくく食材の香りが強いため、嗜好性が高い傾向です。
同じメーカーの複数の主原材料の商品をローテーションし、愛犬の好みを深めましょう。
ドッグフードを選ぶ際でよくある質問
![ハテナ顔の犬](https://animalcompassion.media/wp-content/uploads/2024/04/chris-arthur-collins-qGkVJ7Tx36s-unsplash.jpg)
ドッグフードを選ぶ際によくある質問について回答します。
ドッグフードの表示、見慣れない表記もあるため、内容の理解を深め、正しい選択ができるようにしましょう。
Q.パッケージに記載される栄養成分の「粗」とは?
ペットフードでは、栄養成分を保証する点から、保証精度を「粗」で示しています。
たんぱく質や脂質など栄養成分に付く「粗」は、おおまかな数値や粗悪を指す意味ではありません。
たんぱく質、脂肪、繊維、灰分は、他の成分測定も同時におこなうため、分析上他の栄養素が混ざる可能性も示唆しています。
現在は、間違った認識を防ぐため、たんぱく質、脂質、灰分は「粗」を記載をせずに表示しても問題ないと変更されています。
Q.栄養素はなぜ「g」ではなく「%」なのか?
ドッグフードが%表示をする理由は、栄養バランスを重視した成分含有量を記載しているためです。
犬は品種により個体差がありますが、大半の犬に同じドッグフードを与えられます。栄養バランスを保証した成分量であるため、犬にあわせた給与量の変化が可能です。
摂取するドッグフードに含まれるたんぱく質や脂質などの、必要栄養素の最低限を保証する値は「以上」と表示します。
一方で、過度に含まれるとカロリーの低下や、他の栄養素の吸収を妨げる、過剰摂取で疾患のリスクが生じるなどの繊維や灰分は「以下」と表示されます。
Q.原材料名の「ミール」や「副産物」とは?
原材料名の「ミール」や「副産物」は、ドッグフードで使用される加工や原材料名です。
ミールとは、原材料を粉状にした原材を指します。乾燥させ粉状にするため、重量比の栄養価が高くなり、他の原材料と混ぜやすい利点で、ドッグフードの製造に採用されています。
副産物とは、正肉以外の部位であり、レバーやハツ、ミノなどの臓器やタン、テールを指します。ヒトが食用として摂取する部位も含まれます。
副産物は、正肉と異なる栄養成分が含まれ、ミネラルやビタミンが豊富です。
とくに牛や羊などの胃が4つある反芻動物の胃とその内容物は、犬の嗜好性が高く、栄養価が高いため、摂取するとよいでしょう。
「ミール」や「副産物」と記載される表現は、誤解を生む場合が多いとされますが、法律に則り製造されたドッグフードは安心できるものが大半です。
どのような肉や魚が加工されているかわかりづらい、安全性に欠けると思われることもあるでしょう。
愛犬に適したドッグフードを選ぶ基準のひとつと考え、「ミール」や「副産物」の利点を理解し、納得できるドッグフードを選択してください。
Q.総合栄養食を与えれば健康に過ごせるのか?
残念ながら、答えは「はい」ではありません。
総合栄養食は、必要な栄養の基準に基づき製造されるため、総合栄養食と新鮮な水のみで完全な給与ができる点があります。
必要な5大栄養素を含む総合栄養食と適量な水分摂取をおこなうことで、基本的には健康な生活を送れますが、総合栄養食はあくまで健康な状態のときのドッグフードです。
子犬の頃からアレルギー体質に悩む、運動が苦手で太りやすい、高齢になり疾患があるなどの愛犬の性質にあわせ、ドッグフードを考慮する必要があります。
悩みを改善するための治療食を与える場合は、必ず獣医の指導に従い、適当な与え方や量を守りましょう。
まとめ
本記事では、ドッグフードに必要な5大栄養素を解説しました。バランスのよい食事には、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルが重要です。
総合栄養食を選択する場合、基準に従われた栄養成分が摂取できますが、愛犬ごとの悩みや嗜好の違いもあるでしょう。
体重が増えて太ってきた、食事を完食しなくなったなど、犬の食事に関して気になることがある場合は、ドッグフードのパッケージに記載がある成分や原材料を確認してみてください。
愛犬に適した食材の使用や、必要な栄養素が添加されたドッグフードを選択できるようにしましょう。