普通に生活しているとあまり目に入ってこない野生の動物たち。
しかし、実は身近にはたくさんの動物が暮らしているのです。
私達の近くに住んでいる動物は人間社会での生活に順応した種や、生息域を広げていて近年見られるようになったもの、逆に個体数が減ってしまっているものなど様々です。
目で動物自体を見ることがなくても、鳴き声を聞いたり場合によっては糞でその存在を知ることもあります。
身近に動物を感じることができるといつも見ている景色がより一層深みを持つようになりますし、なによりワクワクしてきませんか?
少し見たことがあるけどそれがなんの動物か分からなかった…ということもあると思いますので、今回の記事では見分け方のポイントなども紹介していきます!
庭先で出会える鳥
日本には鳥が沢山すんでいて、日本で確認されている哺乳類が約160種なのに比べ、鳥類は690種もいます。
参考:一般社団法人日本鳥学会
鳥は空を飛べるため、国外から渡り鳥として季節ごとにやってくるのも種類が多くなっているひとつの要因でしょう。
鳥は小さくすばしっこいので、じっくり見る機会があまりないかもしれません。
しかし、鳥は鳴き声や空の飛び方でも見分けることができるのです。
スズメ

野鳥といえばまっさきに思いつくのがスズメです。
スズメは日本人に最も親しまれている鳥といっても過言ではありません。
日本のみならず、アメリカ大陸を除き北半球にある日本と同緯度帯にはあまねく居る一般的な鳥です。
また、アジア圏ではインドネシア周辺まで分布しています。
人間の近くに住み、田畑の害虫を食べてくれる鳥として、時として稲の穂を食べる厄介な鳥として日本人とともに生活してきました。
スズメはこのように穀類や虫を食べる雑食性の鳥です。
鳥は普段食べるものに応じてくちばしの形が異なっており、穀類を好むスズメは太短いくちばしを持つことが特徴です。
そんな私達の身近にいるスズメですが、近年個体数が減少しているというデータがあります。
参考:全国鳥類繁殖分布調査 日本の鳥の今を描こう 2016-2020
本来人家の軒や瓦の間に巣を作ると言いますが、人口の多い地域では都市開発によりビルなど隙間のない建物が増え、巣を作る場所がなくなっていったことが個体数の減少に拍車をかけたのかもしれません。
スズメに似たニュウナイスズメという鳥がいますが、ニュウナイスズメはスズメと違いほっぺたの黒い斑がないのが特徴です。
ニュウナイスズメは中部地方よりも北の地域で見られる鳥のため、関東や関西ではほとんど見られません。
スズメ、ニュウナイスズメともに、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)にて狩猟鳥獣に指定されています。
- スズメ目スズメ科スズメ属スズメ
- 全長:14~15㎝
- 雑食性(穀類、虫)
- 鳴禽類
- 狩猟鳥獣に指定
- 個体数は減少傾向
ムクドリ

ムクドリはスズメやツバメよりも大きく鳩よりも小柄な鳥で、遠くから見ると地味な見た目ですが、脚とくちばしが黄色く目立つ色をしています。
都会にも沢山いて集団で飛びまわっているのを見かけることがありますし、電線に大量の鳥がとまっているのを見たらそれはムクドリの確率が高いでしょう。
しかし間近で見る機会は少なく、あまり印象に残らない姿をしているかも知れません。
集団で行動するため、都会では糞の被害が問題になることがあります。
食性は雑食性ですが、カラスのように人間の出したゴミを荒らすなどはせず、虫や樹の実などを食べるようです。
果樹が好きなため農作物被害が出ることもあり、狩猟鳥獣に指定されています。
しかし、個体数が多いイメージのムクドリも先述の調査で個体数が減少していることがわかりました。
地鳴きはジュル、ジュル、といった感じの鳴き声で、スズメのチュンチュンという鳴き声が少しダミがかったような鳴き声となります。
- スズメ目ムクドリ科ムクドリ属ムクドリ
- 全長:22~25㎝
- 雑食性(虫、果実)
- 鳴禽類
- 狩猟鳥獣
- 個体数は減少傾向
ヒヨドリ

ヒヨドリは灰色の体にほっぺたが茶色で、ボサボサ頭が特徴のムクドリよりやや大きめの鳥です。
尾が長いためシュッとした印象を受けます。
メジャーな鳥ではありますが、普段から鳥を気にする習慣がない人は見たことがないかもしれません。
日本では普通に見られる鳥ですが、世界的に見ると分布域が狭く珍しい鳥になるようです。
樹上性の鳥で地上に降りることはあまりなく、果物が大好き。
また花の蜜を吸うため、くちばしが直線的に細く長くなっています。
この花の蜜を吸うという行動は植物にとって重要で、ミツバチのように木々の受粉を助けてくれる存在です。
花粉を運ぶ生き物をポリネーターと呼びますが、ヒヨドリやメジロなどは花の蜜を好むのでこれにあたります。
また、果実が好きという点も植物にとっては好都合。
小さな果実は丸呑みするため、種は消化されずそのままの形で糞として排泄されます。
そのため、遠くの場所に種子を運んでくれ、生息域を広げてくれるのです。
鳴き声が大きかったり、他の鳥に対する態度が横柄だったりとあまり歓迎される鳥ではないようですが、自然の中では大切な役割を持つ鳥。
また見た目も少しオカメインコに似ている風貌で可愛いので、私個人としては好きな鳥種のひとつです。
- スズメ目ヒヨドリ科ヒヨドリ属ヒヨドリ
- 全長:25~29㎝
- 雑食性(果実、花の蜜、虫)
- 鳴禽類
- 狩猟鳥獣
イソヒヨドリ

イソヒヨドリは近年内陸部に進出してきた分布域を広げている鳥種のひとつです。
こちらはヒヨドリと名前が付きますが、先述のヒヨドリとは関係のない種で、ヒタキ科のため鳴き声がとても綺麗なことでも有名。
そのため、鳴き声で存在に気づくこともあるかもしれません。
また、イソヒヨドリはヒヨドリのようにツンツンした頭ではなく、またその姿もヒヨドリよりずんぐりしています。
オスは全体が青色で腹部が赤っぽい煉瓦色のような色をしていて、間近で見ることができた際には視線が惹きつけられます。
メスは対象的に全身が灰色で地味な色をしています。
食性は肉食で、甲殻類や昆虫類、トカゲなど様々な小動物を食べているようです。
知れば知るほどヒヨドリとは違っていることが分かりますね。
イソという名の通り昔は海辺のみに生息していたようですが、近年、住宅街やショッピングモールなどでも見かけることが多くなっています。
私自身も瀬戸内海の海辺、イオンの駐車場、そして自宅の屋根で見かけたことがあります。
アフリカやユーラシア大陸にも生息し、海辺だけでなく高山の岩場で生きる鳥なのだそう。
そのため、住宅地や都会のショッピングモールなどを断崖と見立てて住処にしているのかもしれません。
ヒヨドリとは関係のない種ですが、似た点がひとつあります。
それは”飛び方”です。
ヒヨドリやイソヒヨドリは上方向に少し飛んでは下方向に滑空するという波状の飛び方をする鳥です。
その他にもセキレイなどがそのような飛び方をしますが、止まっている姿をじっと見なくても鳥を見分けられるようになるととても面白いですね。
- スズメ目ヒタキ科イソヒヨドリ属イソヒヨドリ
- 全長:21〜23㎝
- 肉食性(甲殻類、虫、小動物)
- 鳴禽類
- 個体数、生息域共に増加傾向
ウグイス

春に鳴き声をよく聞く鳥といえばウグイスです。
早春に鳴き始めることから春告鳥と呼ばれ、きれいなよく通る声でホーホケキョッと鳴きます。
都会でよく見かけるとは言い難いですが、郊外の住宅地ではウグイスの声を聞くことはあるでしょう。
春先に、久しぶりに鳴く練習をし始めたウグイスは声がつまったりして、頑張れ!と心の中で応援したくなります。
そんなウグイスですが、鳴いている本体の姿を見つけるのはなかなか難しいのではないでしょうか。
うぐいす色という色彩を表す言葉がありますが、ウグイスはその語源となっていて、全身が灰色がかった緑色で鮮やかとは言えない色調です。
外見が似ている鳥としてメジロが挙げられますが、メジロほどはっきりとした緑色ではありません。
目の周りに白い縁もなく、本当に地味な鳥なのです。
体のサイズもスズメほどと小さく、体の色も相まって声は聞こえるけど姿を見たことがない、という鳥の代表例ではないでしょうか。
ウグイスは日本を含む東アジアに分布していて、虫や種子などを食べる雑食性の鳥です。
運良く電線の上に止まっていると、鳴いている姿を見ることができます。
小さな体にも関わらず全身を使って大きな声で鳴くので、その肺活量に驚かされます。
ちなみにホーホケキョという鳴き声はオスがメスにアピールするためなので、メスはそのようには鳴くことはありません。
夏になってもホーホケキョと鳴いていて、このオスにはいい相手が見つからなかったのかな…と思ったりするのですが、実はウグイスは一夫多妻制とのこと。
新しいメスを探したり、子育てをしているメスを外敵から守るためにずっときれいな声で鳴いているのだとか。
我が家の近くに現れるウグイスも夏までずっと鳴いていたので、てっきりモテないオスなんだと思っていました…。
- スズメ目ウグイス科ウグイス属ウグイス
- 全長:14~15.5㎝
- 雑食性(虫、種子)
- 鳴禽類
- 個体数は山地で減少、平地で増加傾向
日本の鳥について
自宅から見ることができる鳥について、それぞれの種にフォーカスして見てみると面白いものです。
上記で紹介した鳥たちは全てスズメ目に分類されますが、スズメ目は全鳥類の約半分を占める最大のグループです。
そんなスズメ目の中でも鳴禽類に分類される種は発声器である鳴管が発達しているため、地鳴きとさえずりという2種類の鳴き声を使い分けて仲間とコミュニケーションを取っています。
鳥の聴力は優れていて、メスに選ばれるために綺麗な鳴き声に進化したり、また視覚も優れているため色鮮やかな色の魅力的なオスが選ばれ続けた結果、今のような姿形になりました。
このような進化の仕組みを性選択と言います。
メスに選ばれるために進化した結果を私たち人間も楽しめるというのはとても面白いですね。
身近にいる鳥として、ペットとして親しまれているインコやオウムを思い浮かべる方がいるかもしれませんが、インコやオウム類は日本の在来種ではありません。
オウム目、という分類群が日本には存在しないのです。
また、ペットとして人気のある文鳥も漢字で書かれるその名前から日本の鳥であると思ってしまいがちですが、原産国はインドネシアですので、在来の文鳥は日本に存在しません。
しかし、近年はペットの鳥が逃げ出し野生化する事案が多発し、問題となっています。
今回の記事を作成するにあたり鳥についてネットで検索していると、興味深いページを見つけました。
飲料水メーカーのSUNTORYが日本の野鳥図鑑を作成していて、姿の特徴や見つけた季節、場所などを元にそれがどの鳥かを教えてくれるというものです。
さらに、聞こえた鳥の鳴き声を元に検索できるページもあり、実際の鳴き声を聞いて判別することができます。
少ない情報からでも種類をしぼって提案してくれるので、身近な鳥の正体を知りたいときにはもってこいのサービスだなと思いました。
意外と身近に
鳥は自宅にいても窓の外に様々な種が入れ代わり立ち代わりやってきますが、哺乳類に関しては見かける機会があまりないかも知れません。
しかし、意外なことに哺乳類も鳴き声でその存在に気づくことがありますし、少し家を出て散歩してみたり、車で付近をドライブしていると見かける動物がいます。
ニホンイタチ

イタチは野良猫と同じように都会の街中にも棲息しています。
私達がよく見かけるイタチは、日本固有種のニホンイタチか外来種のシベリアイタチのどちらかである可能性が高いです。
どちらも茶褐色〜黄土色をしているのですが、ニホンイタチは小柄で尻尾が短く、反対にシベリアイタチは大柄で、尻尾が長いのが特徴です。
ニホンイタチは自然の多い場所を好み、本州、四国、九州の全域で見ることができる在来種です。
私としては町中でイタチを見ることはそんなに珍しくないと思っていたのですが、調べてみるとどうやら都会にも適応するシベリアイタチは主に西日本に棲息し、2016年では捕獲数は大阪が最も多かったとの報道がありました。
屋根裏に住み着き、ため糞など悪臭の元にもなっていて害獣として扱われることが多々あります。
参考:イタチ捕獲大阪が断トツ 大量の餌と巣が原因?|日本経済新聞
ということは、東日本の街中ではあまりイタチに遭遇しないのかもしれません。
もし東日本でイタチに出会ったとしたら、それはニホンイタチの可能性が高いということでしょう。
しかしニホンイタチの個体数は減少傾向にあり、2016年からレッドリストの準絶滅危惧Ⅱ類の指定を受けています。
イタチは自分の糞を道路の良く見える場所に排泄する習性があって、屋外でイヌやネコの糞を細く小さくしたような糞を見かけたら、それはイタチのものかも知れません。
登山をしていると登山道の真ん中にイタチの糞があったりしますし、私は先日最寄り駅の外の階段上で見かけました。
意外なのは、果実の種子のようなものが混ざっているということ。
イタチは完全な肉食性だと思っていたのですが、どうやら肉食傾向の強い雑食性だったようです。
泳ぎが得意で水辺で見かけることも多く、魚やカエル、昆虫、小動物となんでも食べます。
見つかりやすい場所にわざと糞をするのは自分の縄張りを主張しているからです。
さすが肉食獣、怖いものなしですね。
ただしイタチにも天敵がいて、空から狙うタカなどの猛禽類や、狐、猫がそれにあたるようです。
シベリアイタチはオスメスともに狩猟鳥獣に指定されており、ニホンイタチは現在オスのみが狩猟鳥獣となっています。
ちなみにイタチのオスとメスを見分けることは容易で、メスのイタチはオスのイタチよりも一回りも小さいです。
- 食肉目(ネコ目)イタチ科イタチ属ニホンイタチ
- 体長:オス27〜37cm、メス16〜25cm
- 夜行性
- 肉食傾向の強い雑食性
- 泳ぎが得意
- オスのみ狩猟鳥獣
- 日本固有種
ホンドキツネ

日本の本州、四国、九州でみられるホンドギツネは、北半球に広く分布するアカギツネの亜種となります。
意外かもしれませんが、郊外や山林が近くにある住宅街でもホンドキツネは出没することがあります。
特に夜中に犬の吠える声とは違う、ギャーンギャーンというとても大きな声が聞こえたらそれはキツネの鳴き声かもしれません。
とても響く声で、小さい子供が大泣きしているときの声に似ています。
この大きな声は威嚇している時や警戒しているときに出す声なのだそう。
近年、住宅地にキツネがよく出没する傾向にあるとのことですが、このキツネの出没理由も耕作放棄地の増加によるものと見られています。
しかし、環境省の調査では、情報不足が懸念されるものの生息する地域が全国的に減少傾向にあるとの調査結果が得られています。
参考:タヌキ、キツネ、アナグマの生息分布調査の結果について|環境省
キツネ、特に北海道に生息するキタキツネはエキノコックス症の媒介者であることが有名で、北海道ではエキノコックス症検診があるほどだと言いますが、本州でも野良犬への感染例が確認されているため生息域が広がると感染症の蔓延が懸念されます。
怖い病気を媒介するキツネですが、ふわふわで太く長い尻尾はとても愛らしく、キツネの最大の特徴とも言える部位です。
この尻尾は夏には夏毛らしくすっきりと、冬にはふたたびふわふわになります。
また、この尻尾の先は大人になるにつれ先が白くなっていくと言われています。
キツネは肉食のイメージが強いですが実は雑食で、トウモロコシや豆類を食害される被害も出ているとのこと。
鶏を襲うことがあるため、屋外で飼育している場合には注意が必要です。
- 食肉目(ネコ目)イヌ科キツネ属アカギツネ ホンドギツネ(亜種名)
- 体長:60〜75cm
- 夜行性
- 雑食動物
- 狩猟鳥獣
- 都市部への進出が認められるが個体数が減少している地域もある
ホンドタヌキ

ホンドタヌキは東アジアに棲息するタヌキの亜種かはたまた別種であるかという議論が長らく続いていましたが、10年ほど前に日本の固有種だとする研究結果が発表されました。
タヌキは里山や雑木林などで暮らしていますが、行動範囲が広いため道路にも頻繁に出てきます。
また、個体数の増加はあまりないようですが、近年生息域をさらに都市部へ拡大させているとのこと。
参考:タヌキ、キツネ、アナグマの生息分布調査の結果について|環境省
タヌキは少しどんくさいのか、車に出くわすと横に逃げずに進行方向に逃げようとします。
そのため、ロードキルで亡くなっているのを見かけることがあるかもしれません。
ロードキルに関しては以前の記事で詳細を記載していますので参考にしてみてください。
タヌキは外来種のアライグマと似ていますが、アライグマよりも全体的に黒っぽい色合いをしており、尻尾に縞模様はないため見分けがつきます。
タヌキはグループで行動せず、基本的には単独か、番で生活をしています。
哺乳類には珍しく一夫一妻制で、オスも子育てに参加するとのこと。
そのため、子供がいるときには家族単位で生活をします。
タヌキは単独で暮らしていても、周辺に住んでいるタヌキと同じ場所で糞をする習性があります。
これはタヌキのため糞とよばれ、人で言う公衆便所のようなものですが、その糞の匂いなどで個体や周辺の情報を収集するそうです。
単独で生きていても、社会生活を営んでいるとは驚きですね。
- 食肉目(ネコ目)イヌ科タヌキ属ホンドタヌキ
- 体長:40〜50cm
- 夜行性
- 雑食性
- 狩猟鳥獣
- 日本固有種
- 都市部へ生息域拡大傾向
家ネズミ

家ネズミはハツカネズミ、ドブネズミ、クマネズミの3種を指します。
家ネズミといった場合に対になる野ネズミという言葉がありますが、野ネズミはアカネズミやヒメネズミのことを指します。
家ネズミは民家に巣を作ったり、ゴミを漁ったりする人間にとって困った生き物で、また日本でも弥生時代にはネズミの侵入を防ぐ鼠返しという機能を持った高床倉庫が存在するなど、いにしえよりネズミには困らされていたことが伺えます。
これらの家ネズミは全世界で繁殖しており、人と最も密接に関わってきた動物と言えるかも知れません。
この家ネズミ3種は、鳥獣保護管理法第80条において「環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす動物」とされており、鳥獣保護管理法の適応外とされています。
これらのネズミは様々な感染症をまん延させる元凶となっているのは事実です。
そのため、家ネズミに自宅を荒らされて困っているということであれば、特に行政からの許可なく駆除することができます。
参考:鳥獣保護法の概要
ただし、動物の愛護及び管理に関する法律第40条において「動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない」と記載されていますので、どのように駆除しても良いというわけではありません。
この家ネズミが属する齧歯目は哺乳類の中で最も繁栄しているグループで、40%以上を占めます。
齧歯目はすべての歯、もしくは切歯が一生伸び続ける常生歯となっていて、ものを齧る能力に長けています。
げっ歯類の歯の前面はオレンジ色をしていて、歯の表面のエナメル質に鉄や銅などのミネラルが含まれています。
これが歯のカルシウムと結合し強固になるのですが、反対に歯の裏側にはエナメル質がありません。
そのためにものを齧るごとに裏側が先に削れていき、より鋭利な歯となるのです。
鋭利な歯は強力な道具を持っているのと同じことですので、これが世界中で最も繁栄する哺乳類となった理由のひとつなのです。
では、この3種のネズミについてそれぞれの特徴を見てみましょう。
ハツカネズミ
名前の由来は妊娠期間が二十日ほどと短く、すぐに増えてしまうことからその名が付きました。
ハツカネズミは英名がマウスで、実験動物として、またペットとして飼われることもあります。
ハツカネズミは家ネズミの中で最も小柄で、体長(全長から尾長を引いたもの)は10cm未満。
日本において、この家ネズミの中ではハツカネズミの生息数は最も少ないと言われています。
世界的に有名なトムとジェリーのジェリーはこのハツカネズミがモデルで、家中の至る壁に穴を開け快適に暮らしているように、どんな小さな隙間でも入り込みます。
ハツカネズミは大きな目と大きな耳をもち、食べ物を手に持って齧る姿はとても愛らしく、人間生活への影響を考えなければ可愛らしい生き物です。
家ネズミは飼育下で2年ほど生きますが、ハツカネズミは野生下においては被捕食者のため、平均して数ヶ月間しか生きられないとのこと。
ねずみ算式に増える、という言葉がありますが、生まれた仔が生き残りにくい動物は多産で未熟な仔を産む傾向があります。
逆に少ない仔を大切に育て生き残る確率を高くする生物としての戦略もあり、これらをr-K戦略説と言いますが、ネズミはr戦略の分かりやすい例ではないかと思います。
人間にとって困った生き物である彼らも必死に生きているのですね。
- 齧歯目(ネズミ目)ハツカネズミ科ハツカネズミ属
- 夜行性
- 雑食性
- 体長:6〜9cm
- 鳥獣保護管理法の適応外
ドブネズミ

ドブネズミは英名ラットで、ハツカネズミと同様実験動物として用いられたり、ファンシーラットと呼ばれるペットとして流通しています。
ドブネズミはハツカネズミに比べてかなり大型で尻尾も長いですが、写真だけ見ると似ているため大きさが比較できる対象物がないと判別しにくいかもしれません。
成熟すると尻尾を除いた体長は25cmほどにも達します。
成人男性が手のひらを目一杯広げても、親指の先から小指の先までは20cmほどです。
それよりも大きいのですから、ネズミ=小さいというイメージを持っている人にとってみると驚くほど大きく感じると思います。
ドブネズミはその名の通り水が近くにある湿った場所を好み、また泳ぎも得意。
私はラットを飼育していた経験から、どの個体も入浴することを怖がらず、たしかに水に慣れている動物だなという印象があります。
- 齧歯目(ネズミ目)ネズミ科クマネズミ属ドブネズミ
- 夜行性
- 雑食性
- 体長:20〜26cm
- 泳ぐのが得意
- 鳥獣保護管理法の適応外
クマネズミ

クマネズミはドブネズミと似ている外貌ですがドブネズミよりも体は小柄で、耳が大きい点と尾が長い点で識別されます。
ドブネズミと違い木登りが得意で、高所にも住み着きます。
そのことから、もし屋根裏を走り回るネズミがいたらそれはクマネズミだということが分かります。
高層ビルが立ち並ぶ都会では高所が得意なクマネズミが大量に発生し問題となっているようです。
クマネズミはハツカネズミやドブネズミよりも臆病だといわれ、この2種ほどには家畜化されていません。
- 齧歯目(ネズミ目)ネズミ科クマネズミ属クマネズミ
- 夜行性
- 雑食性
- 体長:15〜20cm
- 高所移動が得意
- 鳥獣保護管理法の適応外
アライグマ

特定外来生物のアライグマは残念ながら日本の在来種以上に見かけるようになってしまった種です。
一度奈良県の里山にある小さな小屋のトイレで見かけたことがありますが、その時の私は知識不足だったため、タヌキだと思い込んでいました。
しかし、あれはアライグマだったんだなあと今になって思います。
アライグマは現在沖縄県を除く全ての都道府県で生息が確認されています。
アライグマは外来生物法ができた2005年当初より特定外来生物として指定され防除が進められてきましたが、残念ながらその生息域や個体数は増加しています。
アライグマは夜行性のため昼に見かけることは少ないかも知れません。
しかし屋外で飼っている亀などのペットが食害されたり、農業被害が出たりなどと、私達が住んでいる近くにも出没しているのです。
参考:アライグマ防除の手引き
アライグマは手が器用で、タヌキやキツネなどと違い後ろ脚で立ち上がり、手を自由に使います。
その器用さを持つ動物は日本にはあまりいません。
生態的ニッチの穴をつく動物種として日本で繁栄してしまったのでしょう。
以前の外来生物の記事でも述べましたが、日本で外来生物となっている動物たちは本来の生息域では害をもたらすばかりか、個体数が減っている種もいます。
本来の生息域ではない、天敵や競合する種がいないところへ人為的に持ち込まれたばかりに、在来種を脅かす存在となってしまうのです。
- 食肉目(ネコ目)アライグマ科アライグマ属アライグマ
- 夜行性
- 雑食性
- 体長:40〜60cm
- 狩猟鳥獣
- 特定外来生物
まとめ
今回は身近にいる野生の動物達にフォーカスしてみました。
近くにいるがゆえに害獣とみなされるケースも多々ありますが、よく知ってみると多種多様な存在であり、それぞれが独自の進化を経ていて興味深く思います。
今まで何気なく見ていた景色の中にも、実は至るところに動物の存在を示すヒントが転がっています。
自宅の窓からゆっくりと外を眺めているときに目に入った空を飛ぶ鳥、仕事へ行く道中で目の前を横切った動物や聞こえてくる鳥の鳴き声など、さまざまなものに気付くはずです。
もちろん住んでいる地域によって見かける動物の種類は違うのですが、ぜひ日々の中で生き物の痕跡を探してみてくださいね。
次回はもう少し足を伸ばして、自然のある所で見かける動物たちについて考えてみたいと思います。
どんな動物が登場するか、お楽しみにしてくださいね!


