ハンガーを持ち去る?カラスの巣作りと子育てから人間との共生を考えよう

巣から遠くを見るカラスのヒナ
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暖かくなると、多くの生き物たちが繁殖のシーズンを迎えます。

鳥たちは巣作りに励みますが、中にはそれでトラブルとなるものもおり、その一つがカラスです。

カラスは人間のそばで生活するものが多く、街路樹や電柱などに巣を作ることがあります。

そして、場合によっては人間が日常生活で使用しているものを巣の材料にしてしまうこともあるのです。

カラスが針金のハンガーを持ち去ってしまったというニュースを聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

まさに、巣を作る材料にしているのです。

なぜ、カラスは人間の道具を巣の材料にしてしまうのでしょうか?

今回は、カラスの巣作りや、人間との共生について調べていきましょう。

目次

カラスは巣作りでハンガーを持ち去ることがある

ハンガーが使われたカラスの巣の中

洗濯物を屋外に干していると、「なんだかハンガーの数が減った」「ハンガーに掛けたはずの洗濯物が落ちてしまっている」といった経験がある方もいるかもしれません。

「風で洗濯物が落ちてしまったにしては、その頻度が多いな……」と感じたことがある方もいるでしょう。

もしかすると、それはカラスが巣作りのためにハンガーを持って行ったからかもしれません。

基本的に動物たちは、身の回りにあるもので巣やねぐらを作ります。

一般的には、木の枝や木の葉などがよく知られていますが、それだけではありません。

例えばツバメの仲間は土や泥を使って巣を固めていきます。

中には、動物の毛を巣材にする鳥もいます。

人間の近くに住むカラスは、しばしばハンガーを巣材にしますが、それはなぜでしょうか。

答えは、カラスの巣の特徴にあります。

カラスは、木や電柱などの高い場所に、おもに木の枝を使用して巣を作ります。

スズメやツバメなどよりも身体の大きなカラスの巣は、ある程度の強度も求められるのです。

そのため、より硬く丈夫な巣材が必要となります。

針金で作られたハンガーは木の枝とよく似た細さや形をしており、しかもずっと強度があることから、カラスの巣材に適しているのです。

また、ハンガー同士を積み重ねることでそれぞれが絡み合って、しっかりとした土台にもなります。

このような理由から、カラスにとって、ハンガーは重要な巣材の一つといえるのです。

そして、誰に教わるでもなく、自らの知恵でハンガーを巣材に使用するカラスは、やはりとても賢い生き物ですね。

ハンガーでできた巣は危険なこともある

針金のハンガーは、当然のことながら金属でできています。

カラスの巣が電柱にあると、ハンガーが電線に触れる可能性があります。

そうすると、停電を引き起こしたり、火災の原因になったりすることがあり、大変危険です。

そのため、電柱に作られたカラスの巣はなるべく早く撤去する必要があります。

もしも電柱に巣を見つけたら、電力会社へ連絡してください。

こんなものまで?カラスの巣作りの材料

巣材を運ぶカラス

鳥たちは自分たちの身の回りにあるものを使って巣を作ります。

特にカラスは、人間の回りにあるさまざまなものを利用して巣を作ることで知られています。

たとえば、先ほど挙げた針金のハンガー以外にも、

  • ビニールひも
  • ビニール袋
  • 人間が出すゴミ

なども、巣の材料となるのです。

自然の少ない都市部のカラスほど、ハンガーをはじめとする人間由来の巣材を使用します。

また、カラスはもともと自然界では木の枝や木片などを巣材にするため、庭で剪定した木の枝なども、放置していると持っていってしまうことがあるようです。

カラスの目につきやすい場所に、巣材となる可能性のあるものを置いておくのはやめましょう。

参考:大阪市立自然史博物館|カラスの巣材調査

参照:熊谷市|カラスの被害に注意しましょう

カラスの巣の特徴

カラスの巣は離れた場所からでもわかるほど大きく、直径50~80cmほどもあります。

たとえばツバメは、巣の中で成長したヒナがおしくらまんじゅうのように詰めあっている様子がよくみられます。

しかし、カラスの場合は、ヒナたちが成長しても、ツバメのヒナほど密集することはないようです。

カラスは巣の厚さも数十cmと分厚く、お皿のような形で、ヒナたちをしっかり受け止めることができます。

外側は頑丈な素材、内側は柔らかな素材を使用しており、ヒナにとって快適な、過ごしやすい構造です。

巣の特徴からも、カラスの賢さをうかがうことができますね。

巣作りはいつから

木の上で巣を作るカラス

カラスは春が繁殖期にあたり、3~4月に巣が作られることが一般的です。

【カラスの子育ての一般的なスケジュール】

3~4月 巣作り
4~5月 産卵・子育て
6~7月 ヒナの巣立ち

巣は、背の高い木や電柱などに作られます。

そのため、街中では街路樹や公園などで確認されることもあります。

カラスが産卵する数は、3~5個が一般的です。

カラスの卵のサイズは長径がおよそ4cm〜4.5cm、重さは20g程度で、ウズラの卵よりも大きく、ニワトリの卵よりも小さいサイズです。

カラスは約20日間抱卵して、ヒナは1ヶ月ほどで巣立ちを迎えます。

巣立ちのあとも1~2週間は家族で暮らし、その後、独立していきます。

家族のもとを離れて、新たな集団での暮らしが始まるのです。

巣を作られないための予防策

人間が置いたえさをついばむカラスたち

カラスに巣を作らせないためには、巣材を提供しないことと、カラスのエサとなるものを置かないことが大切です。

繁殖期となる春は庭やバルコニー、ベランダなどで

  • 洗濯物を干さない
  • ハンガーや木くずなどのゴミを置きっぱなしにしない

といったことを徹底しましょう。

また、エサとなる生ゴミを含むゴミ袋を漁れる状態で放置しないことも心がけます。

しっかりと防鳥ネットをかけることで、カラスのゴミ漁りの被害を減らすことにつながります。

子育て中のカラスから身を守る方法

カラスから身を守る具体的な方法は、以下のようなものがあります。

  • 巣の近くを通るときは帽子を被る
  • 傘を差す
  • 巣のそばに近づかない
  • 近づいてしまったらすみやかに移動する
  • 高い樹木のそばを通るときは上を見ない
  • カバンや持ち物を振って寄せ付けないようにする

まずは、カラスの巣に近づかないことが大切です。

カラスのヒナが落ちていたら

カラスの巣からヒナが落ちて地面にいることがあります。

しかし、その場合に、人間が手を差し出すのはよいことではありません。

これは多くの場合、ヒナが落ちてしまったのではなく、枝から枝へと飛び立つ練習をしているときに地面に降り立ってしまっていることが当てはまります。

当然、親カラスがそばで見守っていますので、人間が助けることで親カラスに襲われたり、ヒナを見放してしまうことがあるのです。

万が一、ヒナがケガをしている場合は、都道府県の鳥獣保護を担当している部署や保健所に連絡しましょう。

ただし、カラスの保護を行っていない自治体も多くあります。

助ける場合は、ヒナをなるべく高い場所に移動させることで、親カラスがエサを運び、そこで成長を見守るケースもあるのです。

足場が不安定な場合、空き箱や籐のカゴなどを利用して、巣の代替品を用意してあげるとよいでしょう。

カラスは害鳥?自然界における役割

こちらを見るカラス

日本人にとって、カラスはとても身近な鳥です。

日本の神話である「古事記」にも登場するくらい、古くから馴染みのある鳥といえるでしょう。

しかし、そのイメージは必ずしもよいものではありません。

全身真っ黒の姿や雑食性で何でも食べてしまうことから、死や不吉を連想する方も多く、文学作品にもその象徴として描かれることは頻繁にあります。

また、その賢さから、人間にとって嬉しくないイタズラや悪さをすることもあります。

たとえば、

  • 線路に置き石をする
  • ゴミを漁る
  • 子猫や小鳥、ペットなどを襲うことがある
  • 畑の作物を食べてしまうことがある

などの行為です。

確かに、人間との共存・共生だけで考えれば、害鳥としての面が強いかもしれません。

しかし、自然界においては重要な役割を持っているのです。

カラスの何でも食べられる性質は、自然界での「掃除屋」としての役割に適っています。

害虫を食べてくれたり、集まって死んだ生き物を食べることで、死体を片付けてくれるのです。

また、カラスは果物や木の実なども食べます。

糞に混ざった種が新たな場所で芽生え、森が豊かになる手助けをしてくれています。

人間にとっては厄介ごとが多いカラスも、自然界には欠かせない存在なのです。

電柱や街路樹にカラスの巣をみつけたら?

電柱の上にできたカラスの巣

街中の街路樹や電柱、市街地にある鉄塔などでカラスの巣をみつけたとき、どのような対処をすればよいのかお伝えしましょう。

まず、カラスの巣は、個人の判断で勝手に撤去することはできません

カラスは鳥獣保護法によって、カラスだけでなく、卵やヒナまで保護対象として守られているのです。

そのため、巣をみつけた場合は、以下のような方法で対処しましょう。

街路樹にみつけた場合

街路樹の管理者に連絡します。

道路の場合は、そこが国道なのか県道、市道なのかによって連絡先が異なります

国道国土交通省
県道各都道府県の建設事務所
区道・市道各区市の道路管理担当部署

また、公園をはじめとする施設の敷地内にある街路樹にカラスの巣をみつけた場合も同様です。

それぞれの施設管理者に連絡する必要があります。

巣の撤去については、いつでも対処してくれるとは限りません

子育てが始まる前の、カラスが人を襲いやすい時期には撤去する可能性が高くなりますが、それ以外の時期では、撤去せずそのままにしておくこともあります。

人間に危害が加わるおそれのない時期では、対処する必要がないとみなされることもあることを覚えておきましょう。

参照:東京都|カラスに関するQ&A

電柱や鉄塔などにみつけた場合

電柱や鉄塔などでカラスの巣をみつけた場合は、管轄する電力会社に連絡しましょう。

その際、電柱に記載されている電柱番号を伝えると場所の特定がしやすく便利です。

電柱や鉄塔などのカラスの巣の有無については、特に春から初夏にかけて、電力会社の方でもチェックを行っているようです。

自分の家に巣が作られた場合は?

自宅の敷地内にカラスが巣を作った場合は、自治体では対処することが難しくなります。

そのため、民間の業者に依頼して、巣を撤去してもらいます。

しかし、自宅の敷地内であった場合も、勝手に巣を撤去することはできません

まずは、お住まいの市町村役場で撤去したい旨を相談しましょう。

必要な手続きについて教えてくれます。

また、自宅の敷地内にできた巣を撤去する場合、自治体によっては補助金が出る場合もあります。

補助金の確認・手続きのためにも、行政機関への相談は必ず行いましょう。

ヒナがいても巣を撤去できる?

エサを待つカラスのヒナたち

カラスの巣に卵があったりヒナがいたりする場合は、原則として巣の撤去は行いません

卵があったりヒナがいたりする状態で巣の撤去を行うと、親カラスに攻撃されるリスクが高くなるためです。

鳥獣保護法の観点からも、巣の撤去はヒナが巣立ったあとに実施するのが望ましいとされています。

また、3~4月の産卵前の時期も、基本的に巣の撤去は行いません

やはり攻撃されるリスクがあることと、産卵前に撤去しても、すぐに巣を作り直すケースがあるためです。

カラスと人間、両方にとっていたちごっことなってしまうおそれがあります。

巣の撤去は、お互いにとってリスクの少ない時期に行うことが望ましいのです。

カラスの巣に関する法律「鳥獣保護法」

親からえさをもらうカラスのヒナ

カラスの巣の撤去をはじめとする、野生動物の保護についての規則は、「鳥獣保護法」にまとめられています。

正式には「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」といい、野生動物(哺乳類と鳥類)について、以下の内容が定められています。

  • 捕獲や狩猟におけるルール
  • 保護のルール
  • 生育環境を維持・管理すること
  • 個体数の調整を行うこと など

人間は過去に何度も、乱獲によって多くの動物たちを絶滅に追いやってきました。

しかし、どんな動物であっても、生態系において何かしらの役割を持っていて、そのバランスがわずかでも崩れると、その地域の生態系に大きな影響をもたらしてしまいます。

たとえ、農作物を荒らしたり人間に危害を加えたりするような動物であっても、人間の都合で勝手に数を減らすことがあってはなりません。

動物たちを守るため、法律にのっとり、適切な対処を行うべきなのです。

参考:環境省|鳥獣保護管理法

まとめ

木に留まるカラス

古くから人間のそばで暮らしてきたカラスは、現代においては害鳥としての認識が強くなり、子育てすら厳しい目でみられる環境にいます。

しかし、大切な子どもを無事に大きく育てたいという本能に基づく行動は、いかなる動物であっても持っているはずです。

鳥類の中でも賢い部類に入るカラスであれば、なおさらその気持ちは強いのではないでしょうか?

大切なのは、野生動物であるカラスに人間が必要以上に子育ての手伝いとなったり、反対に敵対心を燃やしたりしないことです。

巣材となるものをむやみに提供しないことや、エサとなるごみを放置しないことなど、わずかな配慮で不幸なカラスを減らすことができます。

また、巣ができていても騒がず、近づいた際に起こるリスクも知ったうえで、温かい心で遠くから見守ってあげることも大切です。

街中で一生懸命に命をつないでいるカラスと適度な距離感を保ちつつ、快適な子育てができる環境づくりを目指していきましょう。

【免責事項】Animal Compassionではできるだけ正確な情報提供を心がけていますがご利用者様による正当性の確認をお願いいたします。また医療に関する助言を提供することはございませんので、最終的な判断は適切な医療従事者に個別の状況を確認してもらった上で行うようにお願いいたします。

巣から遠くを見るカラスのヒナ

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この記事を書いた人

子どもの頃から動物がそばにいるのが当たり前の環境で育ちました。
大学では家畜の機能形態学・病理学を専攻し、また馬術部に入部し、長年夢だった乗馬を始めることができました。
社会人になった現在も乗馬は継続中です。
大型犬と小鳥と一緒に生活しています。

ペット医療を中心としたジャンルでライティング活動をしています。
こちらのWEBサイトでの活動を通じ、動物と人間がよりよい関係を築くためのお手伝いができれば幸いです。

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