【犬や猫にうつる】毛がない野生のタヌキは疥癬症!原因や見つけたときの対策は?

街中を歩く疥癬症のタヌキ
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タヌキの魅力の一つが、ふわふわの毛におおわれた丸いフォルムですよね。

しかし、中には病気によって毛が抜けてしまうタヌキもいます。

それらの多くは「疥癬症(かいせんしょう)」という病気にかかっており、悪化することで命を失う可能性もあります。

そして、疥癬症は人間や犬、猫などにうつることもある病気です。

近年、疥癬症にかかっているタヌキの目撃例が増えています。

疥癬症とはどのような病気なのでしょうか。

また、実際に患っているタヌキは増えていて、そうだとしたら原因は何なのでしょうか。

今回は、タヌキの疥癬症について深く探っていきましょう。

目次

タヌキの疥癬症ってどんな病気?

疥癬症で毛が抜け落ちてしまったタヌキ

疥癬症は、皮膚の感染症で、全身に痒みが出る病気です。

悪化すると、例に挙げたタヌキのように毛が抜け落ちてしまいます。

疥癬症の原因や具体的な症状をお伝えします。

疥癬症の原因はヒゼンダニ

疥癬症の原因は、ヒゼンダニという体長0.2~0.4mほどの、肉眼では見えないとても小さなダニです。

メスのヒゼンダニは動物の皮膚に穴をあけて、そこに卵を産み付けます。

ヒゼンダニ自体は雑食性で、痒みはマダニのようにダニが吸血することによって起こるのではありません。

ダニが付着したことによるアレルギー反応によって、強い痒みが引き起こされるのです。

ヒゼンダニが産み付けた卵は数日で孵り、数を増やしていきます。

ヒゼンダニは、人間の近くではタオルや寝具、衣類などに潜んでいますが、自然界では動物に寄生することで生き延びています。

意外かもしれませんが、疥癬症の原因となるヒゼンダニは、土の中や空気中には存在しないダニなのです。

ヒゼンダニの種類

痒みを引き起こすヒゼンダニは、「センコウヒゼンダニ」と呼ばれる種類ですが、さらに細分化されます。

一般的に、タヌキに疥癬症を引き起こすのは「イヌセンコウヒゼンダニ」です。

名前の通り、イヌ科の動物に寄生して生息しています。

人間や猫には寄生しにくいのが特徴です。

猫には、「ネコセンコウヒゼンダニ」というヒゼンダニが寄生します。

猫を中心に寄生して、人間にはイヌセンコウヒゼンダニと同様に寄生しにくいのですが、寄生された場合は激しい痒みが発生します。

人間の皮膚の上では長く生きられず、ある程度の期間(約3週間)を過ぎると痒みは治まるでしょう。

疥癬症の症状

ヒゼンダニの付着によってアレルギー反応が起こると、とても強い痒みが発生します。

ヒゼンダニは卵を動物の表皮の内側に産み付けるため、その部分はトンネルのような線として肉眼で確認することが可能で、その長さは最長1cm程度です。

トンネル部分も強い痒みが発生し、その部分を掻くことでさらなる感染を招きます。

掻くことによって炎症が起き、そこから二次感染を引き起こしてしまうのです。

また、疥癬症は、寄生しているヒゼンダニの数の違いによって2種類に分けられます。

一般的な疥癬を普通疥癬、ヒゼンダニが多く寄生している疥癬を角化型疥癬(痂皮型疥癬)といいます。

普通疥癬角化型疥癬
寄生しているヒゼンダニの数数十匹以上100万~200万
おもな症状強い痒み、赤いぶつぶつや産卵のためのトンネルがみられる皮膚が角化して厚くなる、垢が増えたような状態になる

角化型疥癬になると身体の抵抗力は落ちて、ほかの病気にもなりやすく、注意が必要です。

また、寄生しているヒゼンダニの数も大量であることから、ほかの動物にも感染させやすくなります。

毛が抜けているタヌキを見かけたら、なるべく接触しないよう気を付けましょう。

参照:国立健康危機管理研究機構|感染症情報提供サイト|疥癬

野生のタヌキの疥癬症は増えている?

毛がふさふさなタヌキ

近年、毛が抜けて疥癬症を患っているタヌキの目撃例や報告が相次いでいます。

疥癬症のタヌキは増えているのでしょうか?

全国的に疥癬症のタヌキの数を調査した報告についてはまだ行われておらず、一概に増加しているとはいえない状態です。

しかし、目撃例は増加しており、SNSで毛の抜けたタヌキの投稿をみたことがある方は少なくないでしょう。

過去の調査では、以下のようなものがあります。

鳥取県において、2000年から2009年までの間に(財)鳥取県動物臨床医学研究所に運び込まれた疥癬症のタヌキの割合は、年によってばらつきがあるものの、やや増加傾向がみられました。

ただし、2009年には保護されたタヌキの中に疥癬を患っている個体はいませんでした。

また、山口県において、2018年9月から2019年3月までの期間、7エリアにおいて自動撮影カメラを使用した個体調査が実施された記録があります。

それによると、疥癬症にかかっていないタヌキが180頭、疥癬症とみられるタヌキは866頭確認されました。

この調査では、健康なタヌキよりも疥癬症のタヌキの方が数が何倍も多かったのです。

タヌキに疥癬症が広がる理由
集団行動をするから

タヌキは、ペアを作り、家族単位で生活する動物です。

食事やグルーミングなど、家族や仲間と一緒に行動する時間がペアを作らない動物よりも長くなります。

また、仲間同士で利用するタメ糞などもあり、ヒゼンダニやその卵がほかの個体と接触しやすい環境にあるのです。

ヒゼンダニは、個体の接触によって広まるのが一般的ですが、感染したタヌキから落ちたかさぶたに潜んでいて、そこから広まることもあります。

住む場所の変化

アライグマのような外来種がもともとタヌキが住んでいた場所に住み着くことによって、街中で生活するタヌキが増加しました。

その場合、山にあった食べ物ではなく、人間の出した生ごみや残飯などを食べることになり、食性が変化します。

その結果、病気に対する抵抗力が低下して、より病気にかかりやすくなるのではないかと考える説もあるのです。

アライグマを持ち込んだのは人間であり、本来あった生態系を変化させてしまったケースとしてもあげられます。

関連するこちらの記事もぜひご覧ください。

タヌキは日本の固有種!ペットとして飼える?生態や会える動物園を紹介 | Animal Compassion

疥癬症のタヌキの寿命

疥癬症は、タヌキの寿命を短くします

特に、多数のヒゼンダニの寄生によって引き起こされる角化型疥癬は、本来持っている抵抗力を低下させてしまいます。

その結果、病気になりやすく、疥癬症以外の病気でも命を落としやすくなるのです。

また、疥癬症になると、痒みから全身を掻きむしり、口回りも激しく荒れて、食べ物を摂取しづらくなります。

そのため、栄養がうまく摂れなくなり、衰弱して亡くなってしまいます。

疥癬症になったタヌキは、数週間ほどで衰弱死するケースも少なくないのです。

参照:筑後市|毛のない野生動物(タヌキ)にご注意ください

タヌキの疥癬症は自然治癒する?

残念ながら、タヌキは疥癬症に対する免疫機能が高くなく、自然治癒することはほとんどありません

人間は病気の原因であるヒゼンダニに対する免疫機能が高いことが多く、健康な場合、わずかな接触では感染しないこともあります。

また、人間の皮膚の上ではヒゼンダニは繁殖しにくいため、一時的な症状で治まることが一般的です。

しかし、タヌキの場合はそうではなく、高い確率で重症化してしまうのです。

タヌキの疥癬症は人や犬・猫にうつる!

草むらを歩く疥癬症のタヌキ

疥癬症は、ヒゼンダニが寄生することで発生します。

それは、動物を介して広がることもあり、タヌキから人間、犬や猫に感染が広がる可能性はもちろんあるのです。

都道府県や各市町村などでも、街中に現れるタヌキから人間やペット、野良猫などに疥癬症が広がる恐れがあることを喚起しており、むやみに近づかないよう、注意を呼び掛けています。

特に、犬を外で飼育している場合や、自由に屋外を散歩できる状態にある猫は、タヌキと接触する可能性が高まるため、注意が必要です。

タヌキは、ペア(夫婦)となって活動する動物で、ペアを求めて数十kmも移動することがあります。

また、タヌキは、人間が出すゴミや残飯を狙うだけでなく、犬や猫のエサを狙って庭先に現れることがあります。

屋外に食べ残しのエサや地域猫のエサなどを置いておくことは、タヌキを呼び寄せやすくなるのです。

これらの理由から、屋外飼育の犬や猫などと疥癬症のタヌキが接触する可能性が高まるのです。

もちろん、疥癬症のタヌキと接触することで、人間が感染する可能性もあります。

そこからペットへと感染が広がったり、反対にペットから人間に感染が広まる可能性もあるため、十分に注意しなければなりません。

万が一、ペットやご自身、家族などに疥癬症に当てはまる症状が出たら、早めに診察を受けることが大切です。

人間の感染については、年間で8~15万人と予測されており、感染経路はほとんどが人間同士によるものと考えられています。

参照:国立健康危機管理研究機構|感染症情報提供サイト|疥癬

疥癬症の治療法

丸くなってて眠るタヌキ

疥癬症の治療は、飲み薬や塗り薬で寄生しているヒゼンダニを殺すことです。

野生のタヌキの場合、捕獲できれば上記のような治療が可能ですが、ほとんどの場合は思うような治療を進めることが難しいのが現実です。

捕獲が難しい場合、エサに混ぜて飲み薬を使用することもあります。

ペットの疥癬症の治療法

飼育している犬や猫の場合、シャンプーで余計な角質やフケを除去した後、薬を使用することもあります。

駆虫薬は、犬種によって注意が必要なものもあるため、必ず動物病院で診察を受け、投薬してもらいましょう。

もし、多頭飼いをしている場合は、ほかの犬や猫にも感染している可能性を考え、症状が出ていない犬や猫にも駆虫薬を投与するのがおすすめです。

犬や猫がブルブルっと身体を震わせることで、ヒゼンダニが飛散することもあります。

また、ペット自身だけでなく、カーペットや寝具などにヒゼンダニが潜んでいることもあります。

感染がわかったら、部屋の中を徹底的に清掃して、清潔な環境を保つことも大切です。

ドッグランやペットホテルも注意!

不特定多数の動物が集まる場所は、疥癬症をはじめとする感染症が広まるリスクが高くなります

ペットの体調がすぐれないときはなるべく利用せず、利用後は体調の変化に気をつけてあげましょう。

疥癬症のタヌキを見つけたら?

庭で寝ている疥癬症のタヌキ

街中や家の近くなどで、毛のないタヌキをみかけた場合、どのような対処が必要なのでしょうか?

タヌキと、ご自身の回りの両方における対策と注意点をまとめました。

タヌキを保護すべき?

疥癬症を煩って毛が抜けてしまっているタヌキをみかけた場合、基本的には何もせず見守ることが大切です。

かわいそうだから助けてあげたい、保護したいと思う気持ちはわかりますが、以下の観点から、そのままにしておくことが推奨されています。

  • 自然界で起きていることに人間が関与しない
  • むやみに触れることで、周りに感染を広める恐れがある
  • 鳥獣保護管理法によって、簡単には保護できない

かわいそうでもエサやりは控える

疥癬症がひどくなったタヌキは、自分でエサをとることが満足にできなくなり、やがて衰弱して死んでしまいます

人間が餌を与えることで、タヌキの寿命を永らえさせることは可能です。

しかし、エサやりをした場合でも、タヌキが回復するわけではなく、苦しみを永らえさせるだけになってしまいます。

また、タヌキを呼び寄せることで、ご自身やその周りの人間、ペットなどを感染のリスクにさらすことにもなります。

私たちの周りだけでなく、そのタヌキと関わったほかの野生動物も、感染リスクが高まってしまうのです。

タヌキは本来夜行性で、日の出前や夕暮れ時などに目撃されることが多いのですが、ある調査によると、疥癬症のタヌキはそうでないタヌキと違って、日中の活動時間が増えます。

行動範囲が減少し、活動時間帯が異なってくることで、ほかの動物への接触機会が減少すると考えられています。

人間がエサや住み家を与えないことで、ほかの動物への被害を食い止められる可能性があるのです。

野生のタヌキが集まる・住み着くのを防止するために、以下のような点に気を付けましょう。

  • エサだけでなく、生ごみなどを屋外に置かない。
  • 住み着くのを防止するため、段ボールを屋外に置かない。
  • 倉庫や物置など、屋根がある場所に自由に出入りできないようにする(ネットの設置)。
  • 敷地内に動物が嫌うにおいを設置して寄せ付けないようにする など

参考:熊本市|市民のみなさまへ

まとめ

夕日に照らされるタヌキ

疥癬症のタヌキの実態については、統計が十分に取られているわけではなく、正確な増減はわかりません。

しかし、タヌキの生息域が変わってきたことで目撃例が増えているのは確かです。

タヌキの生息域の変化についてはこれまでの人間の行動による影響もあるため、タヌキの疥癬症の原因の責任は、私たち人間にも多少なりともあるかもしれません。

どうにかしてあげたいと思うのはいたって普通のことです。

また、助けてあげられる環境であれば、それもよい方法でしょう。

しかし、中途半端に永らえさせるのは、結局人間のエゴであり、タヌキにとってよい結果を生み出しません。

野生のタヌキが疥癬症になってしまったことも含めて自然の流れであり、現状では、人間がむやみに手をくわえないことが大切です。

今後、もしかすると野生動物であっても効果的に疥癬症を予防・治療できる方法が見つかるかもしれません。

しかし、そのような手段がない現在は、ご自身やそのペットへの影響も考え、静かに見守ってあげましょう。

【免責事項】Animal Compassionではできるだけ正確な情報提供を心がけていますがご利用者様による正当性の確認をお願いいたします。また医療に関する助言を提供することはございませんので、最終的な判断は適切な医療従事者に個別の状況を確認してもらった上で行うようにお願いいたします。

街中を歩く疥癬症のタヌキ

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この記事を書いた人

子どもの頃から動物がそばにいるのが当たり前の環境で育ちました。
大学では家畜の機能形態学・病理学を専攻し、また馬術部に入部し、長年夢だった乗馬を始めることができました。
社会人になった現在も乗馬は継続中です。
大型犬と小鳥と一緒に生活しています。

ペット医療を中心としたジャンルでライティング活動をしています。
こちらのWEBサイトでの活動を通じ、動物と人間がよりよい関係を築くためのお手伝いができれば幸いです。

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