8月中旬を過ぎると、昼間の気温は高くても、夜は少しずつ涼しくなります。
秋の虫たちも鳴き始め、夏の終わりを実感するでしょう。
この時期は、多くの方が体調を崩しやすくなり、「秋バテ」が起こりやすくなります。
秋バテは、おうちで生活するペットにも起こる症状です。
今回は、秋バテと夏バテ・熱中症の違いや、秋バテしないためにできる対策についてご紹介します。
季節が移り変わる前に対策することで不調を感じにくくなり、犬や猫も元気に季節の移り変わりを過ごせるでしょう。
ペットのすこやかな生活のために、ぜひご覧ください。
夏から秋にかけて起こりやすい「秋バテ」とは?

秋バテとは、夏から秋になるにつれて生じる気候の変化に身体がついていけず、さまざまな不調をきたすことです。
日本の夏は非常にジメジメとして蒸し暑く、少しずつ体力を削られます。
秋になるにつれて日中の暑さは和らぎ、涼しく感じる日も出てきますが、今度は昼間と夜間の気温差によって、体力を削られた身体にダメージが生じるのです。
夏バテと秋バテの違い
秋バテが夏の終わりから秋になって涼しさを感じる季節に起きるのに対して、夏バテは夏の真っ只中に、暑さや室内と屋外の気温差などによって起こります。
連日続く高温多湿による疲労や、屋外の気温と室内でエアコンによって調整された快適な室温を繰り返し行き来することで自律神経が乱れることが原因です。
食欲が低下したり、軟便や下痢が続いたり、嘔吐したりします。
ペットがいつもは活動的なのにぐったりして寝るばかりしていたら、夏バテの症状かもしれません。
秋バテと熱中症の違い
熱中症は、真夏だけでなく5月ごろの暑くなり始めや、残暑が厳しい秋にも発症します。
秋バテ・夏バテとよく似た症状がみられますが、熱中症はバテ症状とは異なり、急激に体温が上昇して命に関わる緊急性の高い状態です。
屋外だけでなく、室内でエアコンをつけていたとしても、湿度が高い場合などに発症する可能性があります。
犬や猫は毛に覆われているため、人間よりも暑さへの耐性が低くなります。
自身で行う体温調節にも限界があるため、常日ごろから気温と室温に気を配ってあげることが大切です。
ペットの熱中症に関する過去の記事もぜひご覧ください。
なぜ秋バテになるの?原因とは

秋バテになる原因は、大きく3つです。
- 季節の変わり目の気候の変化
- 1日の寒暖差
- 天気による気圧の変化
それぞれ詳しくみていきましょう。
暑さと冷房で疲れ切った自律神経

日本の夏は、じつに過酷な季節です。
連日猛暑が続くことで、知らない間に疲労がたまります。
どのような動物も、油断すれば熱中症になります。
屋外で飼育されている場合は日中だけでなく夜間も蒸し暑い日が続き、身体が回復する暇がありません。
また、長時間でなくとも、短時間外出しただけでも疲労がたまります。
人間もペットも、暑さが続くことでなんとなく身体がだるい、食欲がないといった夏バテになります。
そして、夏バテが尾を引くことで、秋バテへとつながるのです。
近年は夏と秋の境目がはっきりしない、いつまでも暑い日がダラダラと続きがちです。
これにより、夏のダメージを回復する暇がなく、体力や免疫機能の低下から秋バテになりやすい傾向があります。
室内での生活が中心である場合も、冷房によって長時間身体が冷やされることで自律神経の乱れが生じやすくなります。
ペットは体温調節が苦手なこともあり、室内の場合は人間がしっかりと気を配る必要があるのです。
秋の昼夜のの寒暖差
夏の間、特に猛暑の日は昼も夜も暑い状態が続きますが、秋になると、昼間と夜間の気温差がはっきりしてきます。
昼間は暑くても、夜は肌寒く感じる日もあるでしょう。
このような気温の変化は、やはり自律神経の乱れにつながりやすく、身体の不調を招きやすくなります。
一日の寒暖差による疲労の蓄積は、連日の暑さによる疲労や室内・室外の気温差による疲労よりも気づきにくく、飼い主が注意してあげることが大切です。
普段からしっかりとペットの様子に気を配り、食欲や元気の低下などの変化が感じられた場合は早めに動物病院で診察してもらいましょう。
秋雨や台風による気圧の乱れ
日本の秋の特徴は、夏に比べて雨が多くなることです。
台風はもちろん、秋雨によって周期的に天気が変わることもありますよね。
なかには、雨が降ると頭痛がしたり身体が重くなったり、耳鳴りがしたりする方もいます。
これらは、気圧の変化によって引き起こされる症状です。
ペットのなかにも、気圧の変化に敏感な子がいます。
そのような場合、やはり秋は体調を崩しやすくなるため、注意が必要です。
また、てんかんや椎間板ヘルニアなどの症状がある場合は、気圧の変化が症状悪化の引き金になることがあります。
持病がある場合は特に注意してみてあげましょう。
これって秋バテ?犬や猫が見せる症状

犬や猫の秋バテでは、免疫力の低下や自律神経の乱れによって、以下のような症状が確認されます。
- 食欲の低下
- 嘔吐や下痢・軟便が続く、便秘になる
- 元気がない、遊ばない など
食欲の低下
「いつもご飯やおやつを欲しがるのに、あまり食べようとしない」「ご飯の食べ残しが目立つ」といった場合は、食欲が落ちている証拠です。
そのような場合、食べられる量をしっかり食べさせたり、フレーバーやテイストを変えたりして、最低限の食欲は維持できるようにしましょう。
嘔吐や下痢・軟便が続く、便秘になる
ご飯を食べた後すぐに吐き戻してしまったり軟便・下痢が続いたりするのは、胃腸が弱っているために起こりやすくなります。
秋バテにみられる症状の一つですが、長引くようなら動物病院で診察してもらいましょう。
便秘は、食欲の低下や環境ストレスなどによって引き起こされることがあります。
また、年齢や毛づくろいの毛玉が腸に詰まることで便秘になることもあります。
食欲が戻ることで解消されるケースもありますが、3日以上便が出ないような場合は、動物病院で診てもらうのが安心です。
元気がない、遊ばない
私たち人間も、季節の変わり目はなんとなくだるい、すぐ疲れる、疲れが抜けないといった症状が出ることがありますね。
ペットも同様で、遊びに誘ってもいつものように乗ってこなかったり、散歩に出てもすぐ帰ろうとしたり、家の中で横になるばかりになることがあります。
これは、秋バテによる不調の可能性があるため、なるべく無理をさせず、ゆっくり休養できるよう心がけてあげましょう。
ただし、不調が長引いたり、あまりにも体調が悪そうな場合は、早めに動物病院へ連れていくべきです。
秋バテは、体力の少ない幼犬・幼猫や高齢のペットほど起こりやすいといわれています。
シニア以上のペットは、夏だけでなく涼しくなってくる秋口も気を抜かず、体調管理に努めてあげましょう。
こんな症状が出たら動物病院を受診!

秋バテと間違えられやすい病気があります。
たとえば、胃腸炎や呼吸器系の感染症、内分泌系の病気などです。
胃腸炎は、秋バテの症状の一つである食欲低下や嘔吐、下痢、軟便などと間違えることがあります。
一時的な症状だけでは、見分けがつかないこともあるでしょう。
症状が激しい場合や嘔吐したもの・便などに血が混じっている場合、症状が長引く場合は、秋バテではなく胃腸炎を引き起こしている可能性があるため、早めに診察を受けましょう。
涼しくなると、乾燥や寒暖差から咳やくしゃみが出やすくなります。
しかし、じつは犬ではケンネルコフや気管虚脱、猫では猫風邪だったということもあるのです。
また、肺炎や気管支炎なども間違えられやすい病気です。
心臓の病気も寒暖差が負担となり悪化しやすいため、持病があるペットやシニアのペットは特に注意しましょう。
内分泌系の病気
内分泌系の病気は、原因が特定しにくく、なかなか気づかない病気です。
たとえば、以下のような病気があります。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が低下して代謝が落ちることで、元気がなくなる、体重増加、脱毛などが起こる病気です。
犬に多くみられます。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症とは反対に、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまい、食欲が増すのに痩せていく、落ち着きがなくなるといった症状があらわれる病気です。
高齢の猫に非常に多くみられます。
アジソン病
副腎皮質機能低下症ともいい、副腎皮質ホルモンの不足が原因で、食欲不振や吐き気、過度の元気消失やショック症状を引き起こす病気です。
若〜中齢の犬に多くみられます。
クッシング症候群
副腎皮質機能亢進症といい、アジソン病と反対に、副腎からコルチゾール(ステロイドホルモン)が過剰に出ることで、多飲多尿、お腹が膨らむ、皮膚が薄くなるといった症状が出る病気です。
高齢の犬に多くみられます。
糖尿病
インスリンの不足や働きの低下によって、血液中の糖分をうまく細胞に取り込めなくなる代謝疾患です。
水を多く飲み、その分の尿量が増加します。
また、食べているのに痩せていくのが特徴です。
これらのような症状は、秋バテとよく似ていて、見逃されることがあります。
判断がつかない場合や、急激に体調が悪くなった場合には、迷わず動物病院で診察してもらいましょう。
早めの処置をすることで、大事を防ぐことにつながります。
参考:JBVP一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム|犬の病気
参考:JBVP一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム|猫の病気
泌尿器系の病気にも注意
夏場、ペットたちは暑さからたくさん水を飲みますが、涼しくなってくると少しずつ水を飲む量が減ります。
その結果、尿量は減り、より濃い尿が排出されるようになりますが、これはペットの身体にとってあまりよいことではありません。
結石ができやすくなったり、膀胱炎になりやすかったりするのです。
じつは、腎臓の病気が発見されやすいのもこの時期です。
秋バテを予防する日常ケア

秋バテは、寒暖差や気圧の変化などで起こりやすくなります。
日ごろから室温や湿度、食事などに気をつけることが、予防につながるのです。
秋バテを予防する日常的なケアをご紹介します。
食事
秋バテに多いのが嘔吐や下痢などの消化器症状です。
そのため、夏の終わりから秋にかけてのペットの食事は、消化のよいものを選びましょう。
ドライフードはぬるめのお湯をかけてふやかしたり、ウェットフードを活用したり、消化しやすい無添加のフードを選んだりしましょう。
また、胃腸を冷やすような冷たい食べ物・飲み物を避けます。
水分補給も大切です。
なかなか水を飲まない場合は、肉のゆで汁やペット用のミルクを与えてみましょう。
環境整備
秋が近づくと、朝晩が冷え込むようになります。
冷えが原因で知らない間に風邪をひいてしまったり、お腹を壊したりした経験がある方もいるでしょう。
ペットが身体を冷やさないよう、室温や湿度をなるべく一定に保ちます。
秋は、周期的に雨が降ったり台風がきたりして、意外とジメジメしています。
気温はそんなに高くなくても、湿度が高いと体感温度が高くなるため、エアコンのドライ機能や除湿機を使用することも大切です。
薄手の服を着せるほか、毛布やペットベッドなどを出してあげるのもよいでしょう。
ただし、布類を噛んでしまう場合は注意が必要です。
夏の間、暑さから散歩コースを短くしたり、運動不足を感じたりした方もいるでしょう。
散歩で少し足を伸ばして遠くまで歩いたり、ドッグランやペット可の公園などで遊ばせたりするのも、夏場の運動不足やストレス解消に役立ちます。
ただし、ペットに疲れがみえたら早めに切り上げて、しっかり休ませてあげましょう。
秋はアレルギーにも注意

秋バテとともに気をつけたいのが、アレルギーです。
秋のアレルギーは、夏に繁殖し、秋に寿命を迎えたダニの死骸によるものや、ヨモギやブタクサをはじめとする植物の花粉、夏の高温多湿や秋の長雨で増えたカビなどが、アレルゲンとなります。
アレルギーはかゆみや発疹などの皮膚症状や、くしゃみ・鼻水などの呼吸器系症状としてあらわれることが多くあります。
特に、耳の垂れた犬は耳のかゆみや腫れ、悪臭の発生などが起こりやすいため、注意が必要です。
アトピーをもつペットも、症状が悪化しやすくなります。
アレルギー対策は、身体や皮膚だけでなく居住空間を清潔に保つことが予防になります。
定期的な清掃や換気などによって、室内にアレルゲンをためない・持ち込まないようにしましょう。
まとめ
ペットも私たち人間と同じように、季節の変化によって体調を崩すことがあります。
私たちは自分で自覚して、身体を休めたり薬の力を借りたりできます。
しかし、ペットの不調は、私たちが気づいてあげなければ対策ができません。
加えて、ペットは本能的に不調を隠そうとします。
私たちが日ごろからペットの様子をしっかり観察して、いち早く体調の変化に気づいてあげることで、秋バテをはじめとする症状の早期対処が可能になるのです。
動物だからといって、ペットたちが天候や気候の変化に強いわけではありません。
大切なペットがすこやかに一年を過ごせるよう、季節の変わり目には十分に注意してあげましょう。


