日本の夏は年々気温が上がり、7月~8月には最高気温が40度前後と、体温よりもずっと高温になります。
長時間外にいると、元気な人でも命が危険にさらされてしまうくらいの温度です。
2023年の東京都の最高気温は37.7℃、30℃を超える真夏日は68日、35℃を超える猛暑日は22日もありました。
参考:気象庁|月ごとの値
人間にとってつらい夏ですが、毛皮で覆われている動物たちにはもっと過酷な季節です。
人間は汗をかいたり室温を調整したりして暑さを調整することができますが、動物たちはそうもいきません。
犬も人間と同様に熱中症になる動物で、夏の屋外や日中の散歩などは特に注意が必要です。
今回は、犬の熱中症に注目して、熱中症を防ぐにはどうすればよいのか、また対策として有効なグッズはどのようなものがあるのか、一緒にみていきたいと思います。
犬の熱中症とは?
犬の熱中症は、体温が急激に上がって下がらず、さまざまな症状が発生する状態です。
犬の平熱は人間よりも高い38~39℃ですが、熱中症になると40℃付近まで上昇します。
犬の熱中症で見られる症状を、以下にまとめました。
- 軽度
-
- 元気がない
- 食欲不振
- 大量のよだれをたらす
- 身体が熱い など
- 中度
-
- 嘔吐、下痢
- 粘膜の充血
- 震え
- 意識がなくなる など
- 重度
-
- 高熱
- ふらついて起き上がれない
- 呼吸困難
- 痙攣
- 意識障害
- 血便・血尿
- 吐血 など
これらの症状がみられたら、身体を安静にして冷やし、なるべく早く動物病院でみてもらいましょう。
熱中症になりやすい犬種
熱中症になりやすい犬種は、「短頭種」と「寒冷地方原産の犬種」があげられます。
- 短頭種
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犬の中でも熱中症になりやすい犬種は、パグやシーズー、ブルドッグといった「短頭種」に分類される犬種です。
これらの犬種は、鼻が短いため呼吸による体温調節がうまくできません。
そのため、ほかの犬種よりも熱中症になるリスクが高く、夏は注意が必要です。
- 寒冷地方原産の犬種
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シベリアンハスキーやグレートピレニーズ、ボルゾイなどはロシアのような寒冷地を原産としているため、身体の熱が逃げにくいように分厚いアンダーコート(被毛)をもちます。
このような犬種は寒い季節は得意ですが、暑い季節はアンダーコートのせいで熱がこもりやすく、やはり熱中症になりやすい傾向です。
こんな犬も熱中症に要注意
犬種以外の特徴では、肥満の状態や子犬、老犬が熱中症に注意が必要です。
- 肥満
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肥満は、皮下脂肪によって体内の熱を逃がしにくくなっています。
また、肥満によって心臓をはじめとする循環器に負担がかかりやすくなるため、呼吸による体温調節がうまくできないのです。
- 子犬や老犬
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身体の機能が未熟な子犬や、老化によって機能がうまく働かない老犬も、熱中症には十分に注意してあげましょう。
また、生まれつき心臓や肺といった循環器に障害がある犬も、夏場は負担がかかりやすいため注意が必要です。
犬はどうやって体温調節をしているのか
人間は汗をかくことで体温を下げますが、犬はごくわずかの汗しかかかず、汗に体温調節をする役割はほとんどありません。
では、犬はどうやって体温調節をしているのでしょうか。
1.呼吸
犬が散歩や運動のあとなど、短い呼吸を繰り返しているのを見たことがあると思います。
こえは「パンティング」といい、体温調節の方法の一つです。
唾液を蒸発させ、その気化熱を利用して体温を下げます。
2.床に身体をつける
お腹を冷たい床につけることによって、直接体温を下げることができます。
暑い季節や運動後に、ご自宅のフローリングや玄関タイルの上などで犬が伏せた状態で顎からお腹をペタッとくっつけているのは、体温を調整している姿なのです。
3.身体を濡らす
海やプール、シャワーなどで身体を水に濡らすことにより、体温を下げる方法です。
犬は基本的に水遊びが好きな子が多いため、暑い夏はこの方法を積極的に利用してあげましょう。
熱中症対策グッズランキング
犬の熱中症対策に、さまざまなグッズが販売されています。
今回は、口コミ評価・口コミ数が高い順番に、ランキング発表します。
身につけるもの編
1位 保冷剤を入れられるひんやりクールウェア ボーダータンクトップ 保冷剤付き
ひんやりするタイプのペット服はいろいろとあるものの、その中でも保冷剤を入れて着用できるタイプです。
背中の内側に保冷剤を入れることで、手軽に身体を冷やすことができます。
価格もお手頃なのがうれしいですね。
- 首から背中が冷やせて、とても快適に過ごせているようです。保冷剤も嫌がらずにとても気持ちよさそうにしています。
- 暑くなってきたので、涼しい洋服を探していました!うちの子に着させたら、とても快適な様子でした。暑い時期のお散歩も、これで安心です。
評価はすべて星5です。
サイズは大きなものが少なく感じましたので、採寸をしっかり行ってから購入することをおすすめします。
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2位 ONEKOSAMA 空調ペット服 日本製 犬服 夏用 春夏 ファン付き
近年、工事現場や建築現場で利用されているファン付きのベストやアウターは、ファンによって服の中の空気を循環させ、効率的に体を冷やします。
これをペット用につかえるようにしたのがこちらの商品です。
獣医師監修で、着用すれば-6℃の効果を得ることができます。
- とても涼しそうで楽しくお散歩してます。
- デザインも良く軽くて涼しいので夏の外出に活躍しそうです。
- 実際着けてみると、サイズもちょうど良く、ハーネスの下に装着出来たのが良かったです。スイッチを入れたら犬は毎回ビックリしますが、そのまま散歩に連れて行くと外に気が向いて気にならなくなるみたいです。
- ファンの風が気持ちよさそうで、お散歩も元気に歩けるようになりました。ファンも静かで、電池の持ちも良いです。サイズもぴったりで、着せやすくて助かります。色も可愛くて、おしゃれなペット服です。
参考のため、評価が低めな口コミも紹介します。
- 約3kg ちょいのチワワがS サイズでかなりぱつんぱつんでした。正直使い物にならないと思います。買うのであればワンサイズ大きめに買うのが良いのかな。犬の方も嫌がるしで、あまりいいことない商品でした。
- 届いたものが紹介イメージと違いました。ポケットタイプを選択しましたがポケットが小さすぎる。ファンがやっと入るだけの大きさのポケットで後の電池ケースやケーブルは何処に収納するの?って感じです。
音にデリケートな犬は、ファンの音に慣れるまで少し大変かもしれません。
しかし、全体的に涼しいと利用されている声が多く、これからの季節は重宝できそうです。
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3位 【BUCCI】 犬 夏 クールネック クールスヌード
「首」がつく関節部分を冷やすと効率的に体が冷えるといいます。
最近は、冷やして使うネックリングで首元を冷やしている方が多くいらっしゃいます。
こちらの商品は、万が一食べても安全な保冷材を使用して、効率的に犬の首元を冷やすことが可能です。
使用後に洗濯可能で、色落ちしにくい素材を使用している飼い主への細かな気遣いも嬉しいポイントです。
- 暑さを凌ぐのに購入、息遣いがあまりはやくならないので、いいものだと思います。
- 我が家の秋田犬は大きいので サイズの合うものがなくて困っていましたが こちらを見つました!お散歩に行く時に付けると涼しいようで快適そうでした。
- 少し幅が広いかと思いましたが、とくに嫌がらずにお散歩に行けました。7歳10キロの柴犬、サイズS、保冷剤が硬い内は、首に押し込む感じで装着。ただし1時間ほどでほとんど溶けます。柴犬には1時間半は欲しいので、少し減点。
評価が低めな口コミには、以下のような意見がありました。
- 首がしっかりしたワンコなら、大丈夫かと。うちの子は、保冷剤の数を半分にして、使います。
- 犬の首には、重すぎて可哀想だと思うので、使わない。
- 予想よりサイズが大きく重量も重過ぎました。外出用より睡眠時に使いたいと思います。
全体的に高評価が多いものの、小型犬には重いという意見がいくつか見られました。
また、首が短い犬には装着するのが難しい、という意見もあります。
そのような犬には、保冷材を使用しないタイプの冷感バンダナやネッククーラーがおすすめです。
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敷物・ブランケット編
1位 Paerduo ペット用冷却マット 二重構造 防水加工 クールマット
冷感ジェルを使用した冷却マットで、冷却効果がかなり期待できる商品です。
二重構造で破れにくく、防水加工がされており、汚れたら水洗いもできます。
- 早速開けて、広げてみると、しっかりした作りで、犬が爪でカリカリしても破れることもなさそうな丈夫さです。今まで使っていたものはジェルがないタイプのマットだったため、冷却機能がいまいちでしたが、この商品はジェルが入っていて、触るととてもひんやりしています。ジェルも柔らかすぎず、程よい硬さがあり、冷却効果が高そうなのが1番気に入りました。
- 自分の気に入ったものをチッチッチと噛む癖があるので、噛んで破ってジェルを食べてしまわないかと心配していましたが、この商品は底のみジェルマットで縁の部分が綿なので安心して使用できます。案の定チッチッチと噛んでいますが、今のところ綿の部分も破れたりせず破損無しです。
評価が低めな口コミでは、次のような意見がありました。
- ひんやりする様ですが、そこが薄く横になるには腰回りが痛い様で使ってはくれませんでした。
- ここで寝てくれたら、お腹も冷たくなるし、いいんですが、うちの子は、滑るみたいで、、寝てくれません。滑りながら穴掘りを一生懸命してて、破れる事はないのです。どうしても、この上で寝てほしかったので、ゲージに入れて、寝てくれましたが、立つ時に滑るみたいで、高齢者になると、滑るのは危険だな。と感じました。
口コミから、よく冷えて丈夫、というのがわかります。
気になるのは、滑りやすいという意見です。
シニア犬には、飼い主が犬をサポートできる状態で使用しましょう。
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2位 NexRevo ペットひんやりマット ペット用シーツ 冷感 冷却マット ジェルマット
こちらもジェルマットですが、サイズが少し小さめです。
そのため、大型犬には不向きだと思われます。
- 中に冷却ジェルが詰まった冷感マットです。触るとひんやり冷たくて、体の熱が伝わると温まりますが、離しておいておくと冷たくなります。クッション性もあって柔らかく、厚みがあるので耐久性もあります。ペット用になっていますが人間が使っても冷たくて気持ち良いです。
- 保冷剤のような感触のシートです。触った感じひんやりしてます。表面も汚れても簡単に拭き取り出来そうな生地です。色合いがもう少し選べたらいいんですが。
否定的なコメントは少ないのですが、サイズが小さめであることと耐久性についての記載がないため、力が弱い小型犬~中型犬向きです。
持続した冷却効果は十分にある商品ですので、日中の犬のお昼寝に重宝します。
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3位 ペット用 クールブランケット 犬 ひんやりブランケット
こちらはかけて使用するブランケットです。
リバーシブルになっていて、片面はひんやり素材、もう片面はツルツルの肌触りのよい生地になっていて、季節によって使いわけることができます。
薄手の生地で、洗濯機での丸洗いができるので衛生的に使用可能な商品です。
- 思った以上にヒンヤリします。生地は薄いですが、暑さ対策重視なので私は気になりません。今まで購入した犬用品の中では一番冷感があります。猛暑対策として少しでも愛犬の為になるのではと思います。
- 星柄の面は触るとひんやりしていてボーダー柄の面はサラサラしています。手触りが気持ちよいうえ、洗濯をしても即乾いてくれるのがとっても助かります!柄違いのバリエーションがあれば色々揃えたい位のお気に入りです。
- ソファーで愛犬が寝る時に使用していますが、気持ちいいのかずっとブランケットの上に寝ています。片面が綿の生地なので夏だけでなくオールシーズン使えそうです。
続いて、評価が低めな口コミです。
- 生地が薄くひんやりしてます!ただ、やはりすぐ温かくなってしまって使わなくなってしまいました。もう少し生地も厚かったら春、秋用に使えるかなと思いました。
- 洗濯してもすぐ乾く面は良い。
こちらの商品はコメントの中でも高評価が多く、使い勝手の良い商品であることがわかります。
ワンシーズンに限定されないこと、洗いやすく乾きやすい商品なので、飼い主としても使いやすいです。
Amazon:ペット用 クールブランケット 犬 ひんやりブランケット
熱中症対策で役立つ商品をそれぞれ3つずつ紹介させていただきました。
飼っている犬のサイズや年齢、性格にあわせて、この夏にぜひ使ってみてください。
熱中症にならないために
上述したグッズを使用する以外にも、日常生活の中で行うべき犬の熱中症対策をお伝えします。
日常の中でできる熱中症対策
室内と室外、それぞれでできる熱中症対策をお伝えします。
室内
室温は21~25℃、湿度は50~60%が犬にとって過ごしやすい環境です。
エアコンだけでは空気が循環しないため、サーキュレーターを利用して、お部屋の中が均一な温度になるようにしてあげることも大切です。
風通しの悪い空間だと、温度が高くなくても高湿で熱中症になる場合もあります。
温度と湿度の両方を気にかけてあげましょう。
室外
屋外で飼育している場合は、夏場は日に当たらない風通しのよい日陰に犬小屋を設置することが大切です。
また、アスファルトやコンクリートの上はかなり高温になるため、土や芝の上に犬小屋を設置し、犬がくつろげるようにします。
飲み水は切らさないよう、しっかりした量を毎日与えてあげましょう。
また、あまりにも暑い日は、屋内に入れてあげるのも一つの方法です。
犬の状態をよく観察しながら、調節してあげましょう。
熱中症になってしまったら
万が一、犬が熱中症になってしまったら、まずは身体を冷やすことが大切です。
涼しい場所に移動させ、犬を落ち着かせます。
バスタオルのような大きめのタオルを濡らし、全身にかけ、扇風機やサーキュレーターを使って身体の熱を逃がします。
屋外であれば直接水をかけるのも効果的です。
そして、身体の関節部分を冷やすため、保冷剤を首や脇、腕や足の付け根に当てましょう。
保冷材は直接身体にあたらないよう、タオルを巻いてください。
また、熱中症になると脱水も心配されます。
犬が水を飲める状態であれば、積極的に水を飲ませてください。
犬の状態が落ち着いたら、なるべく早く動物病院で診察を受けましょう。
最後に
2023年、熱中症で救急搬送された人数は5~9月の間で91,467名と、平成20年に統計を開始してから2番目に多くの方が運ばれた結果となりました。
参照:総務省|令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況
自分で気をつけられる人間であっても、これだけの人数が熱中症になります。
猛暑が続く近年、飼い主の方がしっかりと気をつけて、犬を熱中症から守ってあげましょう。
熱中症は、命にかかわる症状です。
犬の様子がおかしいと思ったら、必ず動物病院へ連れて行ってあげてください。
今年の夏、飼い主の方も犬も、快適に夏を乗り切れる一助として、参考にしていただければ幸いです。