梅雨が明け、日本列島だけでなく世界各地を猛暑が襲っています。
照りつける日差しのために、夏は犬の散歩の時間を調整されている方も多いでしょう。
体力のある若い犬たちは、運動不足を感じているかもしれませんね。
この夏は、愛犬を川や海、犬も利用できるプールなどに連れて行き、水遊びを楽しんではいかがでしょうか?
愛犬と一緒に水遊びを楽しむことで、涼を感じられるだけでなく、素敵な体験をできることは間違いないでしょう。
水遊びを満喫するには、注意すべき点やマナーを知っておくことだけでなく、安全性を高める準備も必要です。
今回は、愛犬と水遊びを楽しむために気をつけるべきことをご紹介します。
川や海で愛犬と遊ぶときの危険は?気をつけることを知っておこう

人だけでなく、多くの犬も水遊びが大好きです。
猛暑日が続く日本の夏でも、水辺ならば涼を感じながら楽しく遊ぶことができます。
楽しく遊ぶためには、水遊びで起こりうる事故や危険を、あらかじめ把握しておくことが大切です。
川辺や海辺、プールなどで起こりうる危険にはどのようなものがあるのかをご紹介します。
熱中症
屋外で活動する際には、たとえ水遊びをする場合でも熱中症に注意が必要です。
熱中症は、強い日差しが身体にダメージを与えるため、直射日光のあたる場所では常に注意しなければなりません。
特に、日差しを遮るものが少ない海や屋外のプールなどは注意します。
水の中にいると身体が冷やされるため、熱中症の症状に気づきにくい場合があります。
水辺で楽しく遊んでいても、30分程度を目安に陰のある場所で休憩をとるよう心がけましょう。
もしも犬に熱中症の症状がみられたら、涼しい場所に移動して安静にし、身体を冷やすことが大切です。
- 呼吸が荒くなる
- よだれを大量に垂らす
- ぐったりして動かなくなる
- 舌が紫色になる
- 嘔吐する など
感染症
川で遊ぶときは、感染症に注意が必要です。
特に、雨上がりのあとの濁った水や、流れが滞っている水辺などは感染リスクが高くなるため、注意しましょう。
レプトスピラという細菌や、カンピロバクター、寄生虫であるジアルジアの感染などの危険が潜んでいる可能性があります。
レプトスピラによる感染は、事前にワクチン接種を行うことで予防することができます。
レプトスピラ:発熱、食欲不振、うっ血、嘔吐、黄疸 など
カンピロバクター:(成犬の場合)ほとんどが無症状(子犬の場合)下痢、腹痛、発熱、脱水症状 など
ジアルジア:腹痛、下痢、食欲不振、嘔吐、脱水症状、血便 など
川遊びを行ったあとや、犬が水たまりの水を飲んでしまったあとに体調を崩した場合には、感染症を引き起こしている可能性があります。
異変を感じたら、すみやかに動物病院で診察を受けましょう。
感染症を予防するには、川の水を飲まないことや、皮膚に傷がある状態で水に入らないことです。
水中毒

泳いでいる最中、気づかない間にたくさん水を飲んでしまうことで起こる「水中毒」にも注意が必要です。
水中毒は、体内にたくさん水を摂取することで血中ナトリウム濃度が低下して、血液が薄まってしまいます。
その結果、嘔吐や痙攣などの症状を引き起こしてしまうのです。
水中毒のリスクを避けるためには、長時間の水遊びを避けることや、水を飲む可能性のあるボール遊びなどに過度に熱中させないことなどがあげられます。
流れにのまれる可能性
泳ぎの得意な犬でも、流れに飲まれる可能性があります。
滝つぼや流れの早い川、波が大きな海などは注意が必要です。
川や海で遊ぶ場合は、流れが穏やかな場所を選びましょう。
万が一のために、犬にもライフジャケットを着用しておくと安心です。
泳ぎが得意な犬種だけではない

海や川、プールで、犬かきをしながらすいすい進む犬を目にする機会が多いことから、犬は泳ぎが得意であるイメージが多くの方に定着しています。
しかし、すべての犬が泳ぎが得意なわけではありません。
犬種によっては、泳ぐことが苦手な犬もいるのです。
泳ぎが得意な犬種、苦手な犬種を知っておくことで、安全性に配慮した水遊びにつながります。
泳ぎが得意な犬種
水辺での作業を行うために品種改良されてきた犬種は、泳ぐのが得意です。
たとえば、猟で撃ち落とした水鳥を回収するために改良されたラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバー、漁師の相棒とされるポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ、水難救助犬であるニューファンドランドなどがあげられます。
そのほかにも、
- スタンダード・プードル
- アメリカン・ウォーター・スパニエル
- オッターハウンド
などが、泳ぎが得意であるとされている犬種です。
泳ぎが苦手な犬種
泳ぎが苦手な犬種は、小型犬に多くみられます。
- ミニチュアピンシャー
- ダックスフント
- パグ
- チワワ
これらは、どちらかといえば泳ぎが苦手であるとされている犬種です。
そのほかにも、ブルドッグや筋肉量の多いドーベルマン、ボクサーなども、泳ぎが苦手とされています。
また、犬も人間と同様に、水が苦手な個体がいます。
そのような場合には無理矢理水の中に入れると恐怖からますます水を怖がるようになるため、無理をさせず、少しずつ慣れさせることが大切です。
子犬はいつから水遊びができる?

暑くなってくると、早く水遊びがしたいと思うようになりますが、子犬の場合は注意が必要です。
子犬は、免疫力が成犬とくらべて弱く、体温調節も不十分であることから、あまり小さなころから水遊びを行うと体調を崩してしまう可能性があります。
一般的に、生後2ヶ月以降にワクチン接種を行ったのち、自宅でのお風呂が解禁となります。
子犬の水遊びデビューも、お風呂デビューが終わってからがよいでしょう。
子犬と水遊びをする際には、
- 無理矢理水の中に入れない
- 水遊びの最中は目を離さない
- 長時間の水遊びは避ける
- 水遊びが終わったらしっかりと乾かす
- 遊び終わったあとの体調管理に気をつける
などの注意をしっかりと行い、危険を回避して、体調を崩すことがないよう気をつけてあげましょう。
また、免疫機能や体力の衰えがみられるシニア犬の場合も同様で、体調に配慮しながら、安全に水遊びを行うことが大切です。
水遊びには、ストレス解消効果や足腰のリハビリの効果が期待できます。
シニア犬や骨折などのケガ、関節に病気を持っている犬の場合には、適切な環境で水遊びを利用することで、健康増進に役立たせることができるでしょう。
川遊びにワクチン接種は必要?

水遊びの場所で川を選ぶ場合、混合ワクチンの接種を推奨します。
川の水は細菌や寄生虫感染のリスクが否定できません。
犬の混合ワクチンには2種~10種まで複数の種類がありますが、川をはじめとするアウトドアでの遊びが多い場合には、7種以上の混合ワクチンを選ぶとよいでしょう。
7種以上の混合ワクチンには、川などで感染しやすいレプトスピラに対するワクチンが含まれています。
レプトスピラには複数の型が存在するため、ワクチンもそれに対応する種類が必要です。
7種混合ワクチンでは1種類のレプトスピラに対するワクチンが含まれています。
8種混合ワクチンでは2種類、9種では3種類、10種では4種類のレプトスピラに対抗することが可能です。
動物病院によって扱っている混合ワクチンの種類が異なる場合もあります。
ワクチン接種の際は、獣医師とよく相談しましょう。
また、ワクチン接種を行ったあと、数日間は安静にして体調に変化がないか見守ります。
お風呂も数日間は控える必要があるため、水遊びを行う場合も、それ以降にしましょう。
川の場合は特に、岸に生えている草むらに潜むノミやダニといった外部寄生虫に感染する恐れがあります。
繁美が多い場所だと、蚊が発生するリスクも高く、犬の場合は蚊が媒介する「フィラリア」に注意が必要です。
フィラリアやノミ・ダニの予防をしっかりと行って、川遊びに出かけましょう。
川だけでなく、森林の近くにある海辺や、山にアウトドアに出かける際も同様に対策が必要です。
水遊びを安全に楽しむための道具

泳ぎが得意な犬もそうでない犬も、より安全に水遊びを行うには、備えが大切です。
水遊びを安全に楽しむためにどのような装備が必要か、一緒にみていきましょう。
ライフジャケット

アウトドアで水遊びをする際に身につけさせたいのがライフジャケットです。
ライフジャケットを装着しておくことで身体を浮かすことができ、万が一流れに飲まれてしまった場合でも、溺れるのを防ぐことにつながります。
泳ぐのが苦手な犬の場合は、必ず装着してあげましょう。
ライフジャケットを選ぶ際、顎をのせる浮力受けがついているものは、犬が顔に受ける水の抵抗を和らげてくれます。
また、ハンドルがついているものを選ぶと、移動の際に便利で、万が一の際に犬を引き上げやすくなります。
リードを装着できるライフジャケットだと、首輪やハーネスを外して利用することが可能です。
着脱しやすく脱げにくいもの、犬の身体を広く覆い、しっかりとフィットするものを選びましょう。
リード

特に川や海といったアウトドアで水遊びをする際は、迷子になったりほかの人の迷惑になったりしないよう、首輪もしくはハーネス・ライフジャケットに、リードは必ず装着します。
リードは水にぬれてもよい材質を選び、犬が自由に遊べるようロングリードを用意するとよいでしょう。
ただし、人が多くいる場所などでは長さの調整が必要です。
おもちゃは必要?
必ず準備しなければならないものではありませんが、おもちゃを持参することで、水遊びをさらに楽しむことができるでしょう。
水遊びに使用するおもちゃは、水に浮くもの、濡れたあとのお手入れが簡単なものを選びます。
水に浮くボールやくわえやすいスティック状のおもちゃがおすすめです。
また、海の砂浜や川の岸辺を利用して、フリスビーで遊ぶのもよいでしょう。
飲み水は別で持参する
水遊びに出かける際は、犬の飲み水は必ず持参するようにしましょう。
海水や川の水は、細菌や寄生虫感染のリスクがあるため危険です。
また、犬にとって塩分濃度の高い海水は、たくさん飲むことで脱水や塩水中毒になったり、心臓や腎臓に負担をかけたりする可能性があります。
安全な飲み水を確保するために、必ず持参することを忘れないようにしましょう。
多めに水を持参すれば、遊び終わったあとに身体を流すことも可能です。
遊び終わったあとに水でしっかり流すことで海水や汚れた川の水で皮膚炎を起こすリスクも下げられるため、お水は多めに持っていくことをおすすめします。
水遊びから帰ったらお風呂に入れましょう

海水や砂、川の水などが身体に残っていると、思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。
水遊びから帰ったら、肌荒れや皮膚炎などを予防するため、お風呂に入れてあげることが大切です。
まずは、身体の状態を確認しましょう。
顔周りや足回り、肉球、お腹などにケガや異常がないかをチェックします。
ケガをしていると、そこから細菌感染を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
異常がないことを確認したら、お風呂に入れます。
お湯だけではなくシャンプーを使用して、身体に付着した海水や砂、川の水、泥などの汚れをしっかりと落とします。
きれいに洗い流したあとは、素早く乾燥させることも大切です。
乾燥が不十分だと、身体の表面に付着した雑菌が繁殖しやすくなり、肌荒れや皮膚炎につながります。
大きめのバスタオルで拭いたら、ドライヤーを使用してしっかりと乾かしましょう。
水遊びで守るべきマナーやル―ルは?

屋外での水遊びには、いくつかの守るべきルールやマナーがあります。
水遊びが可能な場所かどうか確認する
まず、犬を連れて遊べる場所かどうかの確認をしましょう。
海水浴場や川によって、犬をはじめとするペットを連れて入れない場所や期間が設けられていることがあります。
無理矢理遊びに入るとトラブルの原因になるため、事前の確認が必要です。
距離感を守る
海や川、プールは、多くの人、または犬が集まる場所です。
中には、犬が苦手な人やアレルギーを持っている人もいるため、そのような方への配慮が必要です。
犬の中にも、コミュニケーションが苦手な個体がいるため、むやみやたらに近づかないようにしましょう。
人が少ない時間帯に遊びに出かけるのも一つの方法です。
排泄物は必ず片付ける
犬の排泄物は放置せず、必ず片付けましょう。
出かける際は、排泄物を片付けるための袋や洗い流すための水などを持参します。
また、水遊びの際に出たゴミも、必ず持ち帰りましょう。
犬のコントロールを失わない
海や川は、危険がたくさんあります。
迷子になったり、流れに飲まれて流されたりするだけでなく、先に述べたようなほかの人・犬とのトラブルになる可能性も否定できません。
開放的な空間だからといって犬をノーリードにはせず、つねにコントロールできるようにしておきましょう。
また、リードをつけていても目を離さないことが大切です。
まとめ

水遊びは、楽しいだけでなく、少なからず危険もつきものです。
水遊びをするときは、愛犬の様子に配慮することを忘れないようにしましょう。
また、アウトドアで水遊びをする際は、周囲の人や犬に気を配り、おたがいにルールやマナーを守って遊ぶことが大切です。
注意すべきことをあらかじめ知ることで、トラブルを未然に防ぎ、思い切り楽しむことができるでしょう。
水遊びに対する知識を深めた上で、今年の夏はぜひ、愛犬と海や川、プールへ出かけませんか?