猫の完全室内飼いのすすめ〜家の中だけで幸せに暮らせるの?愛猫との暮らしを4つのポイントで紹介~

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コロナ禍での在宅時間の増加や外出制限などがあり、安らぎや癒しを求めてペットを迎える人が増えています。

なかでも、猫は散歩の必要がないことなどから犬に比べて飼いやすいとされ人気です。

猫の飼育環境については

  1. 完全室内飼い
  2. 室内・屋外半々飼い
  3. 外飼い

の3つに分けることができます。

今回の記事でお話しするのは「完全室内飼いのすすめ」です!

猫の完全室内飼いについて「かわいそう」「ストレスがたまりそう」という声を聞くことも少なくありません。

一方で猫を外に出したり、リードをつけてネコと散歩をする方もいます。

ですが、外に出た猫には様々な危険が迫っているんです…!

そこで今回は、愛猫と飼い主さんにとってより良い生活となるような完全室内飼いのすすめを紹介したいと思います。

目次

猫飼育状況の実態

一般社団法人ペットフード協会の令和4年度の全国犬猫飼育実態調査によると

犬の飼育頭数 約7,053千頭

猫の飼育頭数 約8,837千頭

全国犬猫飼育実態調査

と猫が犬の飼育頭数を大きく上回っていることがわかります。

一体どのような飼育環境で愛猫との暮らしを楽しんでいるのでしょうか?

完全室内飼いの猫の割合はどのくらいか…。

予想してみましょう!

また、環境省が猫の完全室内飼いを推奨していることをご存じですか?その内容を紹介します!

宣誓!無責任飼い主0(ゼロ)宣言!!

環境省が謳っている動物と暮らす飼い主さんに向けた宣言です。

ここでは内容をわかりやすく紹介していきます!

飼い主になるということ

ペットとともに暮らすために必要な環境づくりやルール、マナーを守るという責任を果たすとともにその一生涯を預かることの大切さが書かれています。

飼い主さんへの責任と義務は、6つあります。

①健康と安全の保持と迷惑防止

ペットにはわたしたち人と同じように命や感情があります。

生き物を家族として迎えることへの責任を自覚することが大切です。

また飼育環境を整える義務、人に迷惑をかけないよう努めることも大切なポイントです。

②病気の知識と予防

病気や感染症等の正しい知識を持ちましょう。

またその予防に努めます。

予防できる病気や感染症の正しい知識を持つことで、大切な家族へのリスクが軽減されます。

③逃走防止

動物が逃げ出したり迷子になることがないよう、必要な対策をとりましょう。

窓を自分で開けてしまう猫の場合には窓ロックを装着する、玄関前に柵やペットゲートをつける等の対策ができます。

④終生飼養

小さなその命を終える時まで、適切に飼養しましょう。

⑤繁殖制限

多頭飼育崩壊という言葉は耳にしたことがありますか?

2頭だから大丈夫だろうと雌雄を避妊去勢手術せずに同じ空間においておいたらどうなるか…。

  • 1年後には20頭以上
  • 2年後には80頭以上
  • 3年後には2000頭以上になってしまうんです!(参考:もっと飼いたい?

飼っている猫が増えすぎて管理できなくなることがあってはいけません。

また望まない妊娠・出産を予防するだけでなく

  • 雌では乳がん、卵巣子宮に関わる病気の予防
  • 雄では精巣に関わる病気の予防

などのメリットがあります。

⑥身元証明(所有明示)

自分の愛猫だとわかるように首輪や迷子札、またマイクロチップ等を装着することです。

猫の首輪選びのポイントは

  • 愛猫に合ったサイズ
  • 迷子札がついている
  • ストレスになりにくいデザインと素材
  • セーフティバックル機能がついている

の4つです。

サイズは人の指が2本入るように調整しましょう。

迷子札には、愛猫の名前と飼い主さんの連絡先(電話番号やメールアドレスなど)を書いておくと良いでしょう。

重たい装飾や大きな装飾がついている首輪などは猫が嫌がりストレスになる可能性があるので注意が必要です。

また素材によって愛猫に合わないものがあります。

その場合、脱毛が起きたり皮膚を痒がる恐れがあるので注意深く見守ってあげる必要があります。

そして一番外してはならないのが、セーフティバックル機能です!

猫は活発な生き物で、特に上下運動を好みます。

衝撃が加わると自動的に外れるものであれば万が一外に出てしまった際、木の枝などに引っかかったときにも安全です。

また、マイクロチップも有効です。

令和4年6月1日からブリーダーやペットショップで販売される犬や猫についてマイクロチップの装着が義務化されました。

ブリーダーやペットショップから購入した犬や猫のみの装着義務となるので、保護猫や野良猫を保護した場合の装着は義務化されていません。

ですが万が一外に出てしまったときのことを考えると、マイクロチップの装着も良いかもしれません。

マイクロチップは円筒形のカプセルで包まれた電子標識器具で、一度装着してしまえば半永久的に読み取ることができる身元証明になります。

動物病院で装着してもらうことができますので、検討される方はかかりつけの動物病院へお問い合わせください。

オンラインで簡単に申請することができます。

登録・変更手数料は300円(用紙による申請は1,000円)となっています。

ちなみに筆者は愛猫(保護猫)のマイクロチップ装着の際、オンライン申請で賞状のようなかっこいい申請書画像をもらえたことが愛猫の存在を肯定してもらえたような気持ちになり大変嬉しかったです。

猫は犬と違って鑑札(犬の登録をすると発行される札)や注射済票(狂犬病予防注射を受けたことを証明するための札)がなく寂しい思いをしていましたので…。

マイクロチップを装着することで、外れる可能性のある首輪や迷子札より確実な方法で身元証明をすることができます。

法律で決まっている…!?

『家庭動物等の飼養及び保管に関する基準「第5 猫の飼養及び保管に関する基準」』では

  • 人に迷惑を及ぼさないように努めること
  • 感染症予防に努めること
  • 事故防止に努めることなど愛猫の健康を守ること

という観点から、また環境を守る観点から完全室内飼いに努めるよう明記されているのです。

「基準」なので法律で定められているわけではありませんが、飼い主さんへルールやマナーとして環境省が訴えています。

気になる!愛猫飼育環境の実態は…?

完全室内飼いの猫の割合は80.6%、外に出る猫の割合は19.4%とほとんどの飼い主さんが室内のみで愛猫と生活していることがわかりました。

次に猫を外に出すことで発生するリスクを紹介します!

外には危険がいっぱい!4つの危険を紹介

実は外に出る猫と完全室内飼いの猫とでは寿命に差があります。

一般社団法人ペットフード協会 令和4年度の全国犬猫飼育実態調査によると

・完全室内飼いの猫 16.02歳
・外に出る猫 14.24歳

と外に出る猫の平均寿命が約2歳、短いことがわかっています

その原因として、事故や感染症への感染があげられます。

愛猫には健康で長生きしてもらいたいですよね。

外に出る猫に忍び寄る危険を4つ紹介していきます!

1. 事故の危険性

2019年の調査によると猫の交通事故の犠牲(ロードキル)は、28万9,572頭であったと報告されています。

この調査は各自治体に猫の遺体回収数についてのアンケートをとったものなので、実際にはこれより多くのロードキルが発生しているものと思われます。

猫はわたしたちと違い信号機の色を判断し横断歩道をわたることができません。

鳥や虫などの獲物を追いかけて夢中になって道路に飛び出すことも考えられます。

また、命が助かったとしても後遺症が残る可能性もあります。

さらに交通事故以外にも起こりうる事故があります。

それはエンジンルームに入り込んでしまい起こる事故です。

狭く暖かい場所を好み、関節が柔らかく「液体」と表現されることもある猫はエンジンルームのように狭い場所でも入れてしまうんです。

令和5年1月1日~1月31日の1か月間で、JAF(日本自動車連盟)に通報が入った「猫がエンジンルームに入ってしまった」という救助要請件数は21件です。

冬場の寒い日に起こりやすい事故と思われがちですが雨の日に濡れることを嫌がる猫が入り込んでしまうなど、実は1年中起こりうる事故なんです!

次は外に出ることで上がる病気のリスクを紹介します。

2.感染症や寄生虫などの病気

猫の感染症や寄生虫には、喧嘩傷によって感染するものや糞便を介して寄生するものがあります。

今回は4つ紹介します。

1.猫白血病ウイルス(FeLV)感染症

感染後おおよそ4年以内に死亡すると言われている、大変恐ろしい感染症です。

唾液や血液を介して感染します。

また、母猫が感染している場合は胎盤を介して子猫にも感染します。

2.猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症

完治することのない感染症で、免疫力が低下することにより併発する様々な疾患または症状に対する対症療法をしていく必要が出てきます。

主な感染経路は唾液等による咬傷で、唾液中に含まれるウイルスが傷を介して感染します。

外で猫の喧嘩をするような声を聞いたことはありますよね。

縄張り争いなどで喧嘩をすることが多いです。

2008年に行われた猫感染症研究会による調査で、週に1度は屋外に行く1,770頭のうち410頭(23.2%)が猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染していることがわかりました。

3.猫風邪

猫風邪って聞いたことありませんか?

実は猫風邪という病気はなく、「猫カリシウイルス感染症」や「猫ヘルペスウイルス感染症」と言います。

猫カリシウイルスは元気がなくなり発熱、くしゃみ、鼻水や涙が出るといった症状が出ます。

一般的には数日で回復することが多いです。

経口、または経鼻を介し感染します

猫ヘルペスウイルスは元気がなくなり発熱、食欲がなくなる、結膜炎や鼻炎といった症状が出ます。

症状が悪化し死に至る場合もある感染症です。

経口、経鼻または経眼によって感染します

4.寄生虫

寄生虫には、内部寄生虫と外部寄生虫の2種類あります。

1.内部寄生虫

代表的なものは、回虫・条虫・原虫(コクシジウム)です。

3つとも内部消化管に寄生し下痢や嘔吐を引き起こします。

駆除を行うためには投薬治療が必要になります。

2.外部寄生虫

代表的なものはノミ・マダニです。

2つとも痒みを引き起こします。

また、人にも感染するため注意が必要です。

駆除を行うためには投薬治療が必要になります。

外に出る猫には多くの病気のリスクがあることがわかりましたね。

次は虐待の危険性を紹介します。

3.虐待の危険性

動物虐待には「積極的(意図的)虐待」と「ネグレクト(飼養放棄)」の2種類がありますが、外に出る猫で気を付けなければならないのが積極的(意図的)虐待です。

積極的(意図的)虐待とは、やってはいけない行為を行う・行わせることをさします。

例えば殴る、蹴る、熱湯をかける、動物同士を闘わせる、恐怖を与えるなどです

人懐こく、人にすり寄っていくような猫は虐待の対象となりやすいです。

筆者は蹴られている外猫をみたことがあります。

その猫は現在筆者の実家で暮らしておりますが、やはりもとから人懐こい性格でした。

大切な愛猫に怖い思いをしてほしくないですよね。

次に繁殖の危険性を紹介します!

4.繁殖の危険性

『飼い主になるということは「⑤繁殖制限」』で避妊去勢手術の重要性をお話しました。

望まない妊娠・出産を防ぐためにも大切ですね。

ここまで、外に猫を出す危険性をお話しました!

次は完全室内飼いにするためにできることを紹介します!

完全室内飼いのためにすべきこと

完全室内飼いにするには何をしたら良いの?

愛猫のためにできることを2つ紹介します!

1. 避妊去勢手術

避妊去勢手術の話が出るのは3度目ですね。

しつこいでしょうか…。

ただ、大切なことなので言わせてください!

例え完全室内飼いでも望まれない命を増やさないために避妊去勢手術は大切です。

病気を予防することもできますよ。

次は生活環境を紹介します!

2. 愛猫にとって快適な生活空間を作ろう

愛猫に室内でも楽しく、安心安全かつ快適な暮らしを送ってもらえるような生活環境を提供しましょう!

外の猫が木登りをすることからわかるように、猫は上下運動を好みます。

キャットタワーを設置したり、タンス等段差のある家具を組み合わせて上下運動ができるようにしましょう。

また、外を見ることを楽しみにしている猫もいます。

窓から外が見えるようにすることもおすすめです。

その他にも落ち着いて休める場所や逃げ込める場所を作ってあげましょう。

かまくらのようなデザインのベッドもおすすめです。

猫は爪を研ぐ生き物です。

家具で爪を研いでしまうこともあります。

爪とぎを用意してあげると家具への被害が減るかもしれません。

そして、清潔かつ安心できるトイレや爪とぎなど猫にとって快適な環境を整えることで室内でも楽しく暮らすことができるでしょう。

さいごに

猫を外に出すということは、これまでにお話したリスクを許容することでもあります。

新鮮な飲み水や食餌があり安心して暮らすことができれば、狭い室内でも十分快適に生活することができます。

愛猫にとって危険のない生活を提供することが、飼い主さんの役割でもあるのです。

室内で気ままにのんびり暮らす猫が増えますよう願います。

【免責事項】Animal Compassionではできるだけ正確な情報提供を心がけていますがご利用者様による正当性の確認をお願いいたします。また医療に関する助言を提供することはございませんので、最終的な判断は適切な医療従事者に個別の状況を確認してもらった上で行うようにお願いいたします。

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この記事を書いた人

約6年間動物看護師として働き妊娠を期に退職。現在は元気いっぱいの1歳児と猫2匹と毎日のんびり楽しく過ごしています!
一頭でも多くの動物が幸せになる未来のために一歩ずつ進んでいくお手伝いをさせてください。
愛玩動物看護師国家資格取得済みです。

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