2025年は様々なことがありました。
日本では歴史上初の女性総理大臣が誕生し、政治的に大きな転換点となりました。
また夏は記録的な猛暑が起こり、本格的な地球の異常を肌身で感じざるを得ない年となりました。
そんななか、特に世間を騒がせたのはクマによる人的被害の多さです。
そのような現状を鑑み、2025年を代表する漢字が”熊”に決定したことも記憶に新しいと思います。
このようなクマによる被害は、これからずっと続くのでしょうか。
世間を騒がせたクマ被害
今年のクマ被害で特筆すべきなのは、本来クマが出没しやすい北海道や東北、信州地域の他にも、関東圏や関西圏での出没も目立ったことです。
今まで他人事だと思っていたクマの問題が今年は身近に感じられた人も多いのではないでしょうか。
ただ、出没件数が突出して多かった県がいくつかありました。
まずは県ごとによる出没の傾向を見てみたいと思います。
なお、今回の記事では主にツキノワグマについて言及します。
特に断りのない限り、クマと書かれている際にはツキノワグマを指すものとします。
県ごとによる傾向
2025年にクマの出没数が最も多かったのは秋田県です。
その次は岩手県でしたが、どちらも過去最多を更新しました。

上記の表を見ていただくと分かる通り、令和5年(2023年)もクマの出没数が多く、当時は過去最多を記録したと言われる年でした。
しかし、2025年は2023年をはるかに上回るクマが出没したのです。
秋田県と岩手県の関係性としては、左右で隣り合わせに位置しており、緯度は同じくらいです。
また県境には奥羽山脈があり、豊富な天然林、ブナ林があり餌資源が豊富なため、ツキノワグマの主な生息地となっています。
その他の県でも秋田県や岩手県には及ばないものの例年以上にクマの目撃があり、全国におけるクマの出没件数は増加傾向であることが見て取れると思います。

クマの生態

世界には現在、8種のクマが存在します。
その中で最も大きく肉食性が強いのはホッキョクグマ、最も小柄なのはマレーグマです。
その中で日本にはヒグマとツキノワグマ(別名:アジアクロクマ)が生息しています。
ツキノワグマってどんな動物?

ツキノワグマは日本を含むアジア地域に生息するクマです。
基本的に絶滅危惧種に分類されますが、地域差が大きいため、例外も存在します。
見た目は皆さんの想像するとおりですが、私が実際にツキノワグマを見た感想として、外貌は犬に似ているなと思いました。
生態は似て非なるものですが、超大型犬のセントバーナードやニューファンドランドなどを見たときの圧迫感、威圧感に似ているような気がします。
基本的に昼行性ですが、朝夕6時頃にもっとも活動が活発になります。
ただし、人間が活動している場所に出る必要がある場合は、人間の活動を避け夜行性に変わることがあります。
肉食だと思われがちですが、食べているものは意外と植物性のものが多く、雑食動物であると言えるでしょう。
しかし植物の消化機能は優れていないので食べたものがそのままフンに出てくる傾向があります。
そのため、食べ物に関しては質より量を求め、ひとたび食べ物を見つけると一箇所に居座ります。
2025年11月に秋田県湯沢市で起きたようなツキノワグマによる家屋の侵入事件で、数日経っても家の外に出てこないのはこういった習性があるからなのかもしれません。
巨大な体からは想像がつきませんが、木登りが得意で、木に登ってクマ棚を作り樹の実を食べたりなどもします。
まれに動物を襲って食べたり、動物の死骸を食べることもあります。
このように多様な食性を持つのが特徴で、狩りが得意ではない、という言い方もあるかもしれませんが、狩りで動物を狩るよりも効率的に摂取できるカロリーの高い食べ物をその時々において選択して食べているといえます。
またクマは特定の縄張りをもたず、行動範囲は100キロメートルほどで、エサや繁殖相手を求め広く行動します。
日本のツキノワグマの分布
ツキノワグマはかつて本州、四国、九州に分布していましたが、九州ではクマの狩猟や森林伐採、島であるゆえの地理的な問題があり、1957年の捕獲例を最後にその後姿を見たものはおらず、2012年、環境省により絶滅したと判断されました。
現在の生息地は本州、四国のみとなっています。
四国では現在熊の個体数がとても少なくわずか数十頭ほどとなり、四国に棲息するツキノワグマは絶滅が危惧されています。
日本のツキノワグマは山麓から標高3000mまでの高山帯にまで棲息しており、また、重要な食料源となるブナやナラ類の落葉広葉樹の分布とツキノワグマの地理的分布が一致していることも知られています。
ツキノワグマの一年

ツキノワグマの大まかな1年の行動と食性については以下のとおりです。
調べてみると、季節ごとにとても異なった活動をしていることが分かりました。
1年を通したクマの生態を知ると、その行動パターンが頭のなかにありありと浮かんでくるようになるはずです。
春
3月~5月、冬眠から覚めたあと、まだ雪が残り食べるものも少ない時期には樹木の葉芽や花、萌えた若草などを多食し、どんなものでもよいのでエネルギーになりそうなものは見つけ次第ひたすら食べます。
春に生える山菜やたけのこはクマにとっても冬眠で衰えた体力を取り戻すために必要なエネルギー源となります。
また、前年のどんぐりなど堅果類が残っている場合はそちらも見つけて食べます。
初夏
6月頃に繁殖期を迎え、力の強い雄グマはまだ未熟な雄グマを圧倒し、緊迫状態にあります。
まだ幼い子連れの母グマは今年生まれた子どもを雄グマに襲われるのを避けるために山奥にいて、雄グマにも人間にも出会わないように活動しています。
また、幼い仔グマを守るために人間に出会っても深追いしてこないことが多いようです。
その反対に、生まれて2年目にあたる親離れ訓練中の仔グマは活発で、好奇心が旺盛です。
初夏には春よりも草花の種類が増え、食べられるものも多くなります。
夏
木苺類、ヤマザクラなどの甘い実(漿果類)を食べ、真夏にはアリやニホンミツバチなど動物質食の割合が高くなります。
糞の分析結果などから、ツキノワグマは90種もの果実を食べるということが分かっています。
また、初夏はその年に生まれた1年目の仔グマが活発に動けるようになり、母グマも攻撃的になるようです。
6~8月にかけて針葉樹の樹皮を食べることがまれにありますが、こうした樹皮剥ぎは、地域でのエサ食物量が少ない時に起きるという報告があります。
初夏には出産直後のニホンジカの仔を襲うこともあるようです。
秋
秋は冬眠に向け一年のなかで最も飽食になる時期です。
食べ物を求め広範囲を活動し、果実やどんぐり類を食べ脂肪を蓄えます。
奥山のブナ、ミズナラが凶作になると里山に移動してクリ、コナラを菜食し、場合によっては集落や農耕地に出没して果樹園も襲うようになります。
クマの目撃件数は秋に最も多くなります。
それだけクマが食べ物を求めて動き回っているのです。

冬
寒く食べ物がない冬を乗り越えるため、クマは冬眠に入るということは有名な話です。
通常11月の中旬から12月に冬眠に入り、3月から5月に冬眠から目が覚めます。
そのなかでもオスは比較的早く目覚め、子連れのメスは目覚めが遅い傾向があります。
越冬中は全く動かず寝ているのかと思ってしまいますが、洞穴のなかでも朝夕にごそごそと活動するそうです。
しかし、冬眠中には食事や排泄などは行われません。
特徴的なのは、雌のクマは冬眠中に仔グマを産むということです。
ツキノワグマは初夏が繁殖期ですが、クマは着床遅延と呼ばれる繁殖形態で、初夏に交尾をしたあとすぐに受精卵が着床し発達していくのではなく数ヶ月遅れて受精卵が着床します。
そのため、栄養状態が悪い雌グマは受精卵があっても着床せず、その年は子供を産みません。
生まれた仔グマとは約1年半ほど共に過ごします。
冬眠しないクマたち
秋に街へ降りてくるクマが増加していることはデータを見てみると一目瞭然ですが、冬に冬眠せず人間と出会うクマが増加しているのも事実です。
なぜ冬眠の遅延が起きたりや冬眠をしないクマが増加しているのでしょうか。
| 1月 | 2月 | 3月 | |||||||||||
| 年度 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | R3 | R4 | R5 | R6 | R3 | R4 | R5 | R6 |
| 秋田県 | 0 | 0 | 15 | 133 | 30 | 1 | 1 | 20 | 7 | 2 | 2 | 25 | 23 |
| 岩手県 | 4 | 4 | 15 | 17 | 75 | 3 | 3 | 16 | 9 | 9 | 16 | 28 | 26 |
参考:クマ類の出没情報について[速報値](令和8年3月3日更新)
年によって差はありますが、数年前に比べて出没数が増加傾向にあることは確かです。
そもそも、クマが冬眠をするのはなぜでしょうか。
クマの冬眠に関してはまだ分かっていないことが多いようですが、事実として、台湾に生息するニホンツキノワグマの亜種であるタイワンツキノワグマは冬でも冬眠しないということが知られています。
台湾は日本の石垣島ほどの緯度にあり、冬でも寒くなく雪が降りません。
雪が降らないと食べ物が埋もれることがないので、エネルギーを供給し続けられるために冬眠をしなくても済むのでしょうか。
それとも単に寒くないので冬眠をしなくてもよいということなのでしょうか。
ちなみに、日本の中でも最も南に生息する四国のツキノワグマの個体群は、きちんと冬眠に入ることが分かっています。
日本の中で南限だと言っても、四国のツキノワグマが棲む剣山山系は2000m弱もの標高があるため、冬は雪国です。
これまでずっと日本で暮らしてきたツキノワグマたちには冬眠のメカニズムが備わっているのでしょう。
上野動物園では、長年の飼育経験からツキノワグマが冬眠に入る流れを知ることができたと言います。
上野動物園で飼育されているツキノワグマは、秋には夏よりも倍ほどの食べ物を与え、冬眠に耐えることのできる体を作ります。
外気温が寒くなってきたらクマが自発的に食べる量が減るタイミングがあるということで、そこから与える餌の量を減らしていき、室温を下げたり、室内を暗くするなど環境を整えるとクマは冬眠に入るとのことです。
上野動物園がクマの冬眠展示 「動物のすごさ」呼吸も減少 人工的に誘導
このように、本来クマが冬眠に入ることのできる環境は日本の四季の中で自然と整えられていたのでしょう。
しかし、近年の地球温暖化による暖冬や食糧の枯渇など体のメカニズムが崩れる原因が重なり、冬眠に入ることのできないクマが増えてしまったのではないでしょうか。
なぜクマに出会うのか

クマとの共存を目指すといっても、同じ場所で過ごすことはできません。
本来別々に暮らしていたはずのツキノワグマと出会ってしまう原因は何なのでしょうか。
人が山に入っている
クマによる被害といっても、人間がクマの生息域に近寄りすぎている場合は多いものです。
クマに襲われる多くの例は山菜狩りやきのこ狩り、登山、渓流釣りなどで山に近づいたときです。
動物は目が覚めているとき、その殆どの時間を食べ物を探すことに費やしています。
山菜やたけのこ、木の実などを探し歩いているクマにとっては、そういった場所で出くわす人間は食べ物を取り合うライバルであり、獲物になる場合もあります。
山でクマに襲われる例は以前からよく起きていたため、特別な出来事だとは言えないかもしれません。
個体数が増えている?
クマの個体数が増えたから里山や民家周辺に出てきたんだ、という主張が散見されますが、実際のところクマの正確な個体数は分かっていません。
個体数の調査方法は都道府県によって違いますし、クマの行動範囲は広いので、どの調査方法でも生息数の厳密な把握は現在も未来においても難しいと言われています。
クマの個体数の把握に関しては以下の方法があります。
- ヘアトラップ法
…餌などの誘引物につられて近くに来た際に有刺鉄線をくぐらせ体毛を採取する方法。遺伝子検査が可能。 - カメラトラップ法
…自動撮影カメラでの撮影により個体数を推定する方法。 - 標識再捕獲法
…捕獲したクマに標識となるものをとりつけ、その後新たに捕獲したクマの中に標識がついているものが何頭いるかによって個体数を推定する方法。 - 階層ベイズ法
…捕獲数や糞塊密度調査などの収集データと、出産率や死亡率などの生体データを組み合わせ個体数を推定する方法。 - アンケート、聞き取り
- その他
…目視調査・痕跡(クマ棚)調査・予察情報と生息密度分布を用いた推定・ニタリングデータを活用した計算機実験
行動範囲が大きいツキノワグマの正しい個体数を推定するのは容易なことではないですが、野生動物を管理する上で個体数の把握は大変重要なことです。
分布の拡大
クマの個体数に関しては正確な情報の把握が難しいようですが、生息域が拡大していることに関しては確実な報告がなされています。
農林水産省の調査によると、平成15年から平成30年の15年間の間で、ツキノワグマの分布域は1.4倍になったという調査結果があります。
本来は山奥に住んでいるはずのクマがなんらかの原因によって人間の近くに住むようになり、人間の活動圏内と重なってしまったのでしょう。
このように、人間の活動圏内近くまでクマが出てこざるを得なかった理由は何なのでしょうか。
最も大きな原因として考えられるのは餌の不足です。
まずは餌が不足してしまう原因に焦点を当てて考えていきたいと思います。
餌の不足の原因として…①堅果類には凶作年がある

秋、力の強い大人の大グマは山奥の実成りがいい場所に陣取っていて、力の弱いクマや若いクマはそれよりも人里側に住んでいます。
山奥の実成りが悪いと大グマが里山側に降りてくるため、里山近くで活動していた若グマたちは人の住んでいる集落に押し出されるような形で出てくるようになります。
全ての果実は凶作と豊作が繰り返されると言いますが、ブナ科(ブナ属、コナラ属、クリ属、シイ属など)の一般にどんぐりと呼ばれる堅果類は5〜7年周期で凶豊作が繰り返されるようです。
これらの堅果類が不作の年にはクマの出没件数が多くなるという傾向は明らかです。
餌の不足の原因として…②堅果類の多様性の欠如
凶作年があるといっても、樹種が多ければかならず何かの樹が実をつけます。
しかし、現在はその樹種の多様性の欠如や、木の本数自体が少なくなっているのです。
1950年代後半より行われた拡大造林により、日本の森林のうち人工林が占める割合は約40%にもなり、またその殆どが針葉樹林となっています。
高度経済成長の需要に答えるために造られた針葉樹の造林は、現在手が行き届いておらず荒廃しています。
針葉樹しか生えていない人工林に一歩踏み入れると、とても暗く、針葉樹以外の草木は生えず、動物の姿も見られません。
動物が棲むのに適した環境ではないのです。
なにも針葉樹が悪い木だということではありません。
木の多様性の欠如の結果なのです。
餌の不足の原因として…③地球温暖化
詳しいことは分かっていませんが、前年の4〜5月の気温が高ければ堅果類は凶作になるという研究もあり、温暖化により凶作年が増えている可能性が指摘されています。
また、ブナ林は温暖で乾燥した地帯では成長せず、温暖化に伴いブナ林は縮小されていく予想であることが分かっています。
冒頭でも述べたように、クマは堅果類の中でもブナやナラ類の生えた森と生息域が一致します。
ブナ林の縮小は、クマの生息地の圧迫と食糧減少に直結するでしょう。
餌の不足の原因として…④ナラ枯れ
日本ではナラ枯れも問題となっています。
ナラ枯れとは、コナラなどのどんぐりが成る木にナラ菌と呼ばれる菌が伝染し木が枯れてしまう病気で、カシノナガキクイムシという甲虫が菌を媒介することで発生します。
ナラ枯れについても地球温暖化の影響があると考えられていて、寒さに弱いキクイムシが北に進出した結果、現在は北海道を除く全国各地に被害が及んでいるとのことです。
また、以前は薪炭林としてナラ類を利用していましたが、ガスや電気の利用に置き換わりブナを利用しなくなりブナ林の若返りがなくなったため、キクイムシの好適状況が整ってしまっているとも言われています。
枯死に至っていなくても、ナラ菌の感染によりどんぐりを付ける力がなくなってしまうため、座間安全・安心推進会による神奈川県座間市での調査によると、健康なナラは1割程度しかなく、9割のナラはどんぐりの実を付けることができない状態になっていたとのことです。
餌の不足の原因として…⑤メガソーラーなどの開発?
ここで、最近言われているメガソーラーなどの開発についてはどうでしょうか。
秋田県のホームページでは以下のように回答しています。
Q17 人間が山を開発したから住処を追われたクマが山から出てくるのではないですか。
「…秋田県において、クマの出没や人の生活圏における人身事故が増加してきたのは2010年代からですが、その前後で県内の森林(人工林・天然林)面積に大きな変化はありません。秋田県における山の開発とクマの出没には関係が無いと考えられます。また、秋田県のメガソーラーや風力発電の風車は大きな道路沿いや農地跡、海岸沿いにあります。クマの生息地の中心となる奥山を大きく開発するようなことは行われていません。」
引用:クマについてよくあるご意見・ご質問|美の国あきたネット
メガソーラーなどは秋田県以外にも建設されていますが、この件の真偽については専門家の中でも意見が分かれています。
しかし今回の記事で述べてきたことを振り返ってみると、こういった開発がクマには影響がないと言い切れるものではないような気がしています。
もちろん、私が実際に調査をしたわけではなく、またそういったエビデンスもありませんが、近年は山奥のみならず標高の低い場所に立場の弱いクマが生息していると考えられることから、メガソーラーなどの開発はクマ社会において立場の弱いクマたちが追い出される原因となることもあるのでは、とも思います。
国や県はメガソーラーの設置を擁護する立場でしょうから、状況が不利になるようなことは言えないのかもしれません。
何にせよ、人間がもたらしてきた様々な環境の変化が、巡り巡ってクマの行動を変化させていることは間違いないように思えます。
餌の不足の原因として…⑤食べ物を取り合う動物の存在
やはり、野生動物に関して、今問題となっているシカやイノシシの個体数増加の影響は、クマの問題にも波及していると考えられます。
シカやイノシシはどんぐりも好んで食べるため、そもそも少なくなってしまったどんぐりをさらに競い合って食べているのでしょう。
シカやイノシシが増加してしまった原因については以前の記事を参照していただけたらと思いますが、絶妙な生態バランスを保っている自然環境の中では、ひとつのひずみが全体に影響をもたらしてしまうのです。
生息域の拡大その他の理由…①緩衝地帯の減少
先述の記事の中でシカやイノシシがその個体数を増やし、人間と動物の生息地の境界線が曖昧になっていることについて、放任果樹や耕作放棄地、人間が出したゴミ、また住処となる空き家が大きな原因の一つとなっていると言及していますが、クマに関しても全く同じことが言えます。
安定して食べることができる食べ物があったり、野生にはない味を覚えてしまえばそのクマはずっとその場所に居座ります。
そしてやぶが生い茂った耕作放棄地や空き家は安全な棲み処となり獣道となるでしょう。
また里山の過疎化などで人間の影が薄くなり、クマが危険を感じなくなっていることも出没数増加の一因と言えるでしょう。
このように人里へアクセスしやすい状況と山の凶作が重なって、近年の大量出没が発生したと推測することができます。
まとめ

今回は、日本に棲息するツキノワグマの生態や、彼らが現在置かれている状況に焦点を当てました。
私自身も、ツキノワグマはこんな1年間を過ごしていたのだなあと改めて知りました。
私たちと二ホンツキノワグマはおなじ日本のなかで巡りゆく四季を過ごすもの同士ですから、日々どんな暮らしをしているのか、想像はしやすかったのではないでしょうか。
第二弾の記事(【2025年大量出没】クマとの共生は可能か?本当に必要な対策とは)ではクマに襲われた時の対策や、どんな時に人を襲うのか、またこの問題を解決するためには何をすべきなのかを考えていきたいと思います。
【参考書籍】
米田一彦.熊が人を襲うとき.つり人社,2017,224p.
清和研二.スギと広葉樹の混交林.農山漁村文化協会(農文協),2022,208p.


