首輪は、飼い主の方から愛犬への最初のプレゼントです。
大切な愛犬にとっておきの一本の首輪を選ぶのは、飼い主の方にとってかけがえのない時間といえるでしょう。
犬の首輪は、さまざまなデザインのものが販売されています。
首輪を選ぶときには、デザイン性だけでなく、機能性にも注目してみませんか?
首輪は、愛犬の行動をコントロールして、より安全に日常を送る手助けとなってくれるものです。
今回は、機能性を考えた愛犬の首輪の選び方をご紹介します。
ただのアクセサリーではない!首輪の役割

首輪は、犬にとってただのアクセサリーではありません。
首輪には、以下のような役割があるのです。
- 行動のコントロール
- 飼い犬である証明
首輪をしていることで、外出時の脱走防止や、驚いたときや犬が周囲の人や犬に飛びかかろうとしたときに制御するといった行動が容易になります。
外出時は首輪だけでなくリードも装着しますが、犬が興奮した際にはかなりの力を発揮するため、リードだけでは制御が難しい場合もあります。
そのようなときは、首輪をつかんで落ち着かせることで、犬の制御が可能です。
また、ハーフチョークやチョークチェーンのような首輪であれば、飼い主側の技術が必要にはなりますが、リードから首輪への力の伝達で行動のコントロールが可能になります。
力の強い大型犬でも容易にコントロールできるため、万が一犬が興奮して飛びかかろうとしたときや逃げ出そうとしたときにも、安全面に配慮した行動をとることができるのです。
ただし、チョークを使用した首輪は呼吸器への負荷が高くなることや眼圧が高くなるといった神経線維障害の危険性から、獣医師によっては使用を控えるようお伝えしている場合があります。
特に、成長期の子犬や老犬、呼吸器に障害が出やすい短頭種への使用は控える方がよいでしょう。
チョークを使用した首輪を使いたい場合、信頼できる獣医師やドッグトレーナーに意見を聞いてから選択することをおすすめします。
首輪には迷子札(ドッグタグ)を装着しておきましょう

犬が脱走して迷子になったときのために、首輪には迷子札を装着しておきましょう。
迷子札には、
- 犬の名前
- 連絡先
は最低限記載しておきたいものです。
裏面などを利用して、飼い主氏名・住所も記載しておくとよいでしょう。
捕まえた人が連絡しやすくなります。
迷子札は、紛失リスクの少ないものを選びましょう。
ぶら下がるタイプのものだと、犬が首周りを掻いたときや脱走中に、強い力がかかることで使用されている丸カンなどのパーツが変形して、外れる可能性があります。
首輪にフィットするタイプのものが、紛失リスクが少なく安心でしょう。
強力マジックテープで装着するものだけでなくシリコンゴムや金属製のものなど、おしゃれさを失わないものも複数販売されています。
鑑札の装着も忘れずに!
鑑札・狂犬病の注射済票は常に取り付けておく義務があります。
飼い犬はお住まいの市町村への登録が必要です。
登録の際に鑑札が発行されます。
また、注射済票は年に1回の狂犬病注射の際に発行されます。
毎年新しい注射済票を、忘れずに首輪に装着しておきましょう。
首輪はつけっぱなしで大丈夫?

首輪の装着は、24時間つねに行っておく方がよい場合と、そうでない場合があります。
活発に動き回る犬や臆病な犬の場合は、家の中にいてもなるべく装着しておく方がよいでしょう。
扉を開けたときに、不意に飛び出してしまう可能性があります。
- 毛を巻き込んでいないか
- 皮膚トラブルにつながっていないか
- 衛生を保っているか
首輪の材質によっては、摩擦によって首周りの毛が擦り切れたり、巻き込まれて毛が抜けてしまう場合があります。
また、運動したあとや気温が高い場合などに首輪の部分が蒸れて、湿疹などの皮膚トラブルに発生することもあるため、注意が必要です。
皮膚が弱い犬の場合、特に注意しましょう。
皮膚が弱い犬や落ち着いている犬に関しては、外出するときのみの装着でも構いません。
首輪による金属アレルギーにも注意

首輪に金属が使われている場合、アレルギーが発生する恐れがあることも覚えておきましょう。
- 金属製の首輪(ハーフチョークやチョークチェーン)
- 首輪についているアクセサリー
- 首輪の留め具 など
かゆみや湿疹、脱毛、乾燥、フケなどの症状がみられて長引くようなら、アレルギーを疑いましょう。
合金製やメッキがされている金属パーツは、複数の金属が使用されていることから、アレルギーが起きやすいため注意が必要です。
- ニッケル
- コバルト
- クロム
- 銅 など
金属アレルギーが見つかった場合には、動物病院で診察を受けるとともに、布やナイロン、レザーなどの金属を使用しない首輪への素材の見直しを行いましょう。
留め具部分も金属からプラスチックに変更します。
日常的に使用している道具にも配慮が必要です。
食事用の器などに金属をしている場合、陶器やプラスチックなどに変更します。
犬にとって快適な首輪の素材や種類は?
首輪には、革製や布製、ナイロン製、金属製のものなど、複数の種類があります。
首輪は、おしゃれさや機能性だけでなく、犬にとっての快適性も視野に入れつつ選びましょう。
まずは、それぞれの素材の特徴をご紹介します。
革製の首輪

- メリット
-
- 耐久性に優れている
- 肌なじみがよい
- 高級感がある
- デメリット
-
- なじむまで固い
- 衛生的に使用するために手入れが必要
- 牛革・豚革の場合アレルギーリスクがある
- 布製やナイロン製に比べて重いものがある
使い続けることで肌なじみがよくなり、味も出てくるのが革製の首輪です。
肌なじみがよいことで、犬が強く引っ張ったときにも、毛をはさんでしまうことや食い込みによるケガなどのリスクが少ないといえるでしょう。
名前を刻印したり金属製のプレートをつけたりと、おしゃれで高級感あるデザインも魅力的ですね。
耐久性にも優れているため、長期間使用することができるでしょう。
天然皮革の場合は、蒸れによってカビなどが発生するリスクがあるため、定期的なお手入れが欠かせません。
また、一部の犬では牛革・豚革のアレルギーリスクがあることも知っておきましょう。
革製の首輪はものによっては布製やナイロン製の首輪に比べて重さや厚み、幅があるため、子犬や老犬に使用する場合は首周りの負担にならないよう、体力・サイズに合うものを選んであげましょう。
布製・ナイロン製の首輪

- メリット
-
- デザインが豊富
- アレルギーの心配がない
- 水洗いできて衛生的
- 軽くてやわらかい
- バックルタイプが多く着脱しやすい
- デメリット
-
- 経年劣化が生じやすい
- 布製の場合は汚れを落としにくい
子犬や老犬、アレルギーがある犬にも安心して使用できるのが布製・ナイロン製の首輪です。
革製の首輪よりもお手入れが簡単で、ほとんどがワンタッチのバックルタイプであるため、着脱も簡単にできます。
ただし、耐久性は革製・金属製の首輪に劣ります。
布製の場合は、汚れがシミになって落としにくい場合があるため、こまめにお手入れすることできれいな状態を長く維持できるでしょう。
金属製の首輪(チョークチェーン)

- メリット
-
- しつけに適している
- 耐久性が高い
- 高級感がある
- デメリット
-
- 呼吸器障害・神経線維障害のリスクがある
- 素材によって金属アレルギーのリスクがある
- 毛の変色につながる
- 抜け毛や切れ毛が起きやすい
- 扱い方が難しい
チョークチェーンは、猟犬や闘犬などに使用しているイメージが強いのではないでしょうか。
大型犬のしつけで使用したり、力の強い犬の引っ張り癖を治したり、興奮したときにとっさに行動を制御したりするのに役立つ首輪ですが、初心者には扱いが難しい首輪です。
「チョークチェーンを使用しても行動が改善されない」「チェーンの音を聞いただけで犬が逃げるようになった」など、正しく使用されないことによってかえってトラブルの原因になっていることも知っておきましょう。
獣医師の中には、チョークチェーンの使用は止めるべきとの意見の方もいます。
チョークチェーンの種類によっては、毛を巻き込んで抜け毛や切れ毛につながったり、長期間つけっぱなしにすることでへの変色が起きたりします。
また、使用されている金属の種類によっては、アレルギーを発症する可能性も否定できません。
購入する際には、犬の毛の長さに適しているか、ステンレスなどのアレルギーを発症しにくい素材かどうかをしっかり確認しましょう。
チョークチェーンがもつしつけの効果を得るためには、サイズ選びも重要です。
わからない場合には、ドッグトレーナーに相談するとよいでしょう。
チョークチェーンはつけ方を間違えると緩まない!
チョークチェーンは、首輪を引っ張ることで一時的に首を絞めつけることで、人間が楽に犬をコントロールする道具です。
しかし、装着方法を間違えると、力を緩めてもチェーンが緩まず、犬が動くことでどんどん首輪が閉まってしまい、呼吸ができなくなるトラブルに発展します。
人間が歩く位置によって装着する向きが異なるため、散歩の際には飼い主が常に自身の位置をキープする必要があります。
チョークチェーンの使用は、犬を苦しめる原因にならないためにも飼い主がしっかりと使い方を学んでおくことが必要です。
チョークチェーンにおいては、「かっこいいから」という安易な理由で選ばないようにしましょう。
チョークチェーンの種類
チョークチェーンには、一般的なフルチョークチェーンや部分的にチェーンを使用しているハーフチョーク、より痛みを感じやすくしたスパイクチョークチェーン、プレートチョークチェーンなどがあります。
ハーフチョークは、首にあたる部分が革や布製でできており、チョークチェーンよりも犬にとって負担が少なく、また着脱も簡単です。
デザインがおしゃれなものも多く発売されています。
スパイクチョークチェーンは、首のまわりの部分にぐるりと突起がついているタイプのチョークチェーンで、プレートチョークチェーンは、首に食い込むようにプレートが付いています。
どちらも、引っ張るとより犬に痛み・苦しみを与えるため、なるべく使用を控えたい首輪です。
引っ張りが強い場合やコントロールの制御がうまくできない場合は、チョークチェーンに頼るよりも、まずはしつけ教室やドッグトレーナーに相談してみましょう。
愛犬にぴったりの首輪の選び方

愛犬にぴったりの首輪を選ぶときのコツをご紹介します。
まずは、首輪の種類を選びましょう。
耐久性で選ぶならば革製か金属製、お手入れのしやすさで選ぶならば布製・ナイロン製がおすすめです。
しつけを優先するならばチョークタイプが、着脱のしやすさを優先するならばバックルタイプの首輪がよいでしょう。
首輪のタイプが決まったら、色・デザインを選びます。
愛犬にとってどの色・デザインが合うのか考えるのは、とても楽しい時間ですよね。
色・デザインが決まったら、サイズ選びです。
首輪のサイズ選びはもっとも重要な項目の一つで、首輪のサイズが犬に合っていないと、抜けてしまう原因になったり、犬に不快感を与えたり、ケガの原因になったりします。
首輪のサイズの測り方
首輪のサイズは、メジャーを使用して首の真ん中よりも少し上を測ります。
革製の首輪などは厚みがあるため、指2本分程度の余裕を持たせるとよいでしょう。
成長中の子犬は、首周りの大きさも当然変わってきます。
サイズ調整ができるものを購入すると、長く使用することができます。
長毛種の場合は、毛をかき分けて長さを測りましょう。
そのまま測ってしまうと首輪のサイズが大きくなり、抜ける原因になります。
子犬の首輪は軽くてやわらかいものを!

子犬に初めて首輪をつける場合は、なるべく軽くてやわらかい素材のものを選びましょう。
幅も、なるべく細めのものが望ましいです。
子犬のころに首輪で嫌な思いをさせてしまうと、成長にともなって首輪を装着することを嫌がるようになってしまいます。
子犬の首輪は、装着していて圧迫感のない、やさしい素材のものを選んであげましょう。
大型犬には頑丈さも大切です
力が強い大型犬は、場合によっては首輪を壊してしまうことがあります。
ワンタッチで装着できるバックルタイプはほとんどがプラスチック製で、大型犬の引っ張る力に耐え切れず外れてしまう可能性があり、注意が必要です。
また、薄いナイロン製や布製の首輪だと、噛み切られてしまう可能性もあります。
大型犬の場合は、厚みのある革製やナイロン製で、ベルトタイプの首輪が安全といえるでしょう。
首輪とハーネスはどちらがよい?

首輪にすべきかハーネス(胴輪)にすべきかは、犬の種類や体調、年齢などによって判断する必要があり、一概にはいえません。
首輪は、しつけやコントロールに向いています。
動きが活発な犬や健康上に問題がない犬は、首輪を選ぶとよいでしょう。
ハーネスは、胴を覆うことで身体への負担を和らげてくれます。
短頭種や小型犬、体力が低下している老犬などは、ハーネスを選ぶとよいでしょう。
- 首輪のメリット
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- 指示を伝えやすい
- 引っ張りのコントロールがしやすい
- 取り外しが容易
- 鑑札や迷子札を取り付けられる
- 首輪のデメリット
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- 首や気管に負担がかかりやすい
- ハーネスと比べて抜けやすい
- 小型犬の場合、環椎軸椎不安定症などを悪化させる可能性がある
- ハーネスのメリット
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- 身体に負担がかかりにくい
- 抜けにくい
- ハーネスのデメリット
-
- 身体に触れられることに慣れていない犬の場合は取り外しが難しい
- しつけには不向き
- 噛み癖のある犬の場合は振り向いたときにリードを噛み切られる可能性が高くなる
引っ張りを防ぐハーネスもある
一般的なハーネスは、引っ張りの対策を行う目的で作られていないため、そのような癖がある犬には向かないばかりか、胸部を圧迫する可能性があります。
引っ張りが強い犬の場合は、対策できるハーネスもあるのでそちらがおすすめです。
脱走防止には両方使用!
脱走が心配な場合は、首輪とハーネスの両方を使用して出かけるとよいでしょう。
これを、ダブルリードといいます。
万が一首輪が抜けてしまっても、ハーネスのおかげで脱走リスクを回避することができます。
首輪・ハーネスとリードを結ぶナスカンのうちどちらか一方が破損してしまっても、もう一方のナスカンで係留を維持することが可能です。
ダブルリードは、2本のリードを使用する場合と、1本のリードの先が二股にわかれているものがあります。
2本のリードを使用する場合は、散歩中の絡まりに注意しましょう。
脱走対策に関連して、こちらの記事もぜひご覧ください。
首輪のお手入れの仕方

首輪は定期的に清掃を行い、清潔を保ちましょう。
基本的なお手入れの仕方をご紹介します。
- ぬるま湯
- 洗剤
- 歯ブラシ
- 乾いた布
首輪のお手入れは劣化を防ぐために、基本的には洗濯機は使用せず、手洗いがよいでしょう。
洗剤を薄めたぬるま湯に浸したあと、こびりついた汚れは歯ブラシでこすって落とします。
毛先が硬めの歯ブラシは首輪の素材を痛める可能性があるため、やわらかい毛先のものを使用しましょう。
よく洗い流したあと乾いたタオルで水分を取り、よく乾燥させます。
乾燥時には、風通しのよい場所に干し、直射日光は劣化を招くため当てないようにしましょう。
革製の首輪はデリケートであるため、以下の方法でお手入れをします。
【用意するもの】
- ぬるま湯
- 革製品用クリーナー
- 柔らかい布
- 保湿クリーム
洗剤は使用せず、ぬるま湯で軽く汚れを落とします。
落としきれなかった汚れは布に付けたクリーナーで拭き取りましょう。
その後、陰干しをして、乾いたあと保湿用クリームを塗ります。
散歩中の安全を守るリードの選び方

安全に散歩をするために大切なことが、首輪・ハーネスを装着することと、犬をコントロールできるリードを使用することです。
犬の体格に合わず細すぎるリードや長すぎるリードを使用すると、突発的な出来事が起きた場合に犬を制御できず、事故やケガにつながる恐れがあります。
1.体格に合う太さのリードを使用しましょう
力が強い大型犬を細いリードで散歩すると、引っ張りなどによってリードが切れたり、首輪・ハーネスとリードをつないでいるナスカン部分が壊れたりしかねません。
犬の脱走やほかの人・犬へのとびかかりにつながります。
また、細いリードを思いきり引っ張られることで、飼い主の方の手も傷つけてしまう恐れがあります。
力が強い犬ほど、しっかりとした構造のリードを選びましょう。
2.行動をコントロールできる長さのリードを選びましょう

長すぎるリードは、犬の行動のコントロールができず、事故やケガにつながりやすくなります。
犬が思い切り走っても安全性が確保できる場所以外では、長いリードや伸びるリードは使用しないようにしましょう。
日常の散歩では、長くても1.5m程度のものを選ぶとよいでしょう。
犬が反応したときに、すぐに飼い主のそばに手繰り寄せられるものがおすすめです。
3.リードの状態チェックも忘れずに
リードを使用する前に、ほつれや亀裂などがないか、ナスカンは正常に開閉しているかなどチェックする習慣をつけましょう。
まれに、犬がおもちゃ代わりに噛んでしまうことがあります。
布製・ナイロン製・革製の場合、特に注意が必要です。
まとめ

犬の首輪は、着用している犬はもちろん、関わる人や動物の安全を守るために大切なものです。
首輪の材質や形状の特徴をよく理解して、使いやすく、犬の負担にならないものを選びましょう。
また、首輪は消耗品でもあります。
擦り切れた首輪は事故やケガにつながるので、速やかに好感してあげましょう。
より長く使用するためには、定期的にメンテナンスを行うことも大切です。
愛犬にぴったりの首輪を選ぶことで、毎日の暮らしがより楽しくなるでしょう。
ぜひ、首輪選びにこの記事を参考になさってください。