生き物にとって、水は欠かすことのできない重要な存在です。
ペットにとっても水は重要で、飼い主の方も、ご飯だけでなく水もできるだけ身体にとって良いものを与えたいと思われている方が多いでしょう。
しかし、水道水やミネラルウォーター、浄水器など、どんな水をどのように与えればよいのかわからないという方も少なくないのではないでしょうか?
そこで今回は、ペットにはどのような水を与えればよいのか、水の成分や浄水器の機能などに注目して、解説していきます。
また、ペットが水を飲みやすいトレーや健康に配慮した水替えの方法についてもご紹介します。
ぜひ、日ごろのペットの健康維持にお役立てください。
ペットの水は水道水かミネラルウォーターか

一般的に、日本で暮らす場合、ミネラルウォーターよりも水道水のほうが、より多くのペットにとって安全性が高いといえます。
日本の水道水は塩素によって殺菌されており、菌や細菌が容易に繁殖できない環境となっています。
塩素の殺菌効果は常温で約3日、冷蔵した場合には約10日間期待できることが、東京都の水道局HPで確認可能です。
また、殺菌に使用される塩素濃度はペットや人体にとって影響のない濃度にまで薄められており、残留濃度も定期的に検査されています。
ミネラルウォーターの場合、塩素ほどの殺菌効果の維持は期待できません。
そのため、開栓後は常温保存を推奨しておらず、基本的には冷蔵庫での保管となります。
500mlの場合はその日のうちに、大容量のボトルの場合でも、2~3日の間には使いきるのが使用期限の目安です。
水道水は塩素やPFASが心配?
日本の水道水は世界的に見ても高い安全水準をクリアしています。
しかし、それでも水道水に含まれている塩素や、PFAS(有機フッ素化合物)が気になるという方は少なくないでしょう。
水道水に含まれている塩素は、日本の法律で残留塩素濃度は0.1mg/L以上と定められているものの、水道水を利用する際に塩素のにおいが気にならないよう、水質管理目標設定項目では1mg/L以下と定めています。
これは、世界保健機関(WHO)が定めるガイドライン値である5mg/Lよりも、はるかに低い値です。
これは、生涯水を飲んでも身体に影響がないとされる塩素の値とされています。
PFASについては、2020年4月1日に、PFOSおよびPFOAについて、水質管理目標設定項目として義務付けがされました。
しかし、この検査項目については、法令で検査が義務付けられているものではありませんでした。
その後、2021年4月1日、PFHxSが「要検討項目」として位置付けられ、2026年4月1日からは、PFOSおよびPFOAを「水質基準項目」として施行されることが決定しています。
PFOSおよびPFOAの合計値が50 ng/L以下であることが、基準値として規定されています。
これは、生涯にわたって水道水を摂取したとして、50ng/Lの水道水を1日2L利用しても健康への影響が現れない濃度です。
これは、動物実験の結果から人体への影響が出ない値を算出しています。
あくまでも人間が基準となっているため、気になる方は浄水器などを使用するのがよさそうです。
1万種類以上のペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称です。
おもに炭素とフッ素から構成される化学物質で、溶剤や界面活性剤といった薬剤だけでなく、繊維や革、紙、プラスチック等の表面処理をする薬剤、潤滑剤、フッ素ポリマー加工助剤など、私たちの生活の中で幅広く使用されています。
PFASの一種であるPFOSは、半導体用反射防止剤や金属メッキ処理剤に、PFOAはフッ素ポリマー加工助剤や界面活性剤などに使用されています。
PFASの問題点は、
- 自然界で分解されにくい
- 蓄積しやすい
- 風や水によって長距離を移動することがある
などです。
ミネラルウォーターは硬度に注意する

国内外の各地で採集した水を利用するミネラルウォーターは、採集する場所によって硬度が異なることは、よく知られています。
ペットの飲料水に使用する場合は、硬度の低い「軟水」を選ぶことが大切です。
ミネラルウォーターの硬度とは、水の中にどれだけマグネシウムやカルシウムをはじめとするミネラルが含まれるかを示します。
ミネラルを含む量が多い順に、硬水、中硬水、軟水、超軟水に分類されています。
日本で採集されるミネラルウォーターには軟水が多く、ヨーロッパ地域で採集される水は硬水が多いのが特徴です。
硬水は、ミネラルを効率的に摂取することができますが、ペットにとってはあまり良いとは言えません。
硬水を摂取し続けることで、腎臓をはじめとする泌尿器系にかかる負担が多くなり、病気の原因になりえるほか、尿路結石になったり、おなかの弱い子は下痢を引き起こしたりする可能性があります。
ペット用のミネラルウォーターであっても、まずは硬度をチェックするようにしましょう。
ペットの水は浄水器が必要?
水道水を日常的に飲んで問題のないペットや、健康面において不安のないペットであれば、浄水器を導入する必要は必ずしもありません。
日本の水道水はしっかり消毒されているだけでなく、ペットにとって負担のかかりにくい軟水です。
しかし、中には水道水の塩素のにおいに敏感であることや、水道水が冷たすぎるなどの理由であまり水を飲まないペットもいるかもしれません。
そのような場合は、浄水器を利用するのも一つの方法です。
浄水器は、水道水に含まれる塩素だけでなく、蛇口から流れ出るまでに含まれている不純物もフィルターで取り除いてくれます。
浄水器を設置するのは大変そう、と感じる方は、活性炭などのフィルターがついた給水機や、給水ボトルの中に設置できるスティックタイプのフィルターはいかがでしょうか。
これらを利用することで、水道水中の塩素や不純物を手軽に取り除くことができ、ペットにとってより安全な水を提供することができます。
フィルターの種類やサイズも豊富で、飼育しているペットに合う給水機やフィルターが見つかるでしょう。
使いやすいだけでなく価格も比較的リーズナブルな商品が多いため、気軽に利用しやすいものばかりとなっています。
ペットのためにウォーターサーバーを導入すべき?

ペットに水道水を与えることに不安がある方は、ウォーターサーバーを導入するのも一つの方法です。
ウォーターサーバーは、品質が確かである水が送られてくるだけでなく、温度調節が可能であるため、夏場は冷たく、冬場は温かい水をペットにすぐに提供することができます。
特に寒い冬は、水の冷たさによって飲水量が減少してしまうペットもいます。
しかし、泌尿器系疾患が多い犬種や猫には、季節を問わず水をしっかり飲んでほしいものです。
ウォーターサーバーを利用すれば、季節に応じて飲みやすい温度の水を用意しやすくなるでしょう。
必要な時に必要な量だけ使うことができ、安全性も確保しやすいのが、ウォーターサーバーのメリットです。
また、浄水器と比較した場合、ウォーターサーバーのほうがより不純物が除去できたり、ランプや通知によって自動で知らせてくれることで、定期的なフィルター交換を忘れず使用できるといったメリットもあります。
水道水や浄水器よりも安全性が高く、ミネラルウォーターよりも使いやすいのがウォーターサーバーといえるでしょう。
ただし、ミネラルウォーターと同様、水を選ぶ際には軟水を選ぶよう、硬度には注意が必要です。
使いやすさや安全性も大切!こだわりたいペットのトレー

ペットにおいしく健康的に水を飲んでもらうためには、水用のトレーにもこだわりたいところです。
トレーには、陶器製やプラスチック製のものだけでなく、タンク式のものやボトル式のものなど、さまざまな種類があります。
どのトレーが使いやすく、また安全なのか、それぞれの特徴をみていきましょう。
プラスチック製のトレー
使い勝手がよく、デザインも豊富なのがプラスチックのトレーです。
しかし、汚れが付着しやすく、軽量であるため安定性に欠ける、水がこぼれやすいといったデメリットもあります。
使用するときは、定期的に洗うことや、器が移動しないように工夫してあげましょう。
金属製のトレー

ステンレス製のトレーは、清掃がしやすく丈夫で、使い勝手が良い容器です。
ただし、強い衝撃を与えると変形してしまう恐れや、金属アレルギーがあるペットの場合は必ずしも安全とは限りません。
アレルギーが心配な方は、プラスチックや陶器製のトレーを使用するほうが良いでしょう。
陶器のトレー

陶器製のトレーは、重厚感があり、少しのことではなかなか動きません。
そのため、安定して水を飲むことが可能です。
また、釉薬(うわぐすり)を使用していることで、雑菌が繁殖しにくい、汚れがつきにくいといったメリットもあります。
また、陶器の中でも釉薬を使用していない備前焼は、以下のような特徴がよく知られています。
- 水が蒸発しにくい・鮮度を保てる
- 比熱が大きく水の温度変化が緩やか(保温性が高い)
- 水の味がまろやかになる
- 水道水の残留塩素を軽減する効果も期待できる
焼き物の中でも、備前焼の器を使用するとビールやコーヒーがおいしくなるともいわれており、ペットの水に備前焼を使用してみるのも良いでしょう。
これらは、備前焼と同じ方法で製作される信楽焼や丹波焼なども、同様の効果が期待できるかもしれません。
タンク式の給水機
トレータイプではなく、給水タンクから直接水を飲むタイプのものもあります。
給水タンクタイプであれば、いつでも安定した水量を保つことができ、短期間であれば外出した場合でも安心です。
フィルターがついているものも多く、きれいな水をいつでも与えられます。
また、給水タンクは温度調節機能がついているものもあり、夏場や冬場にも適温の水をペットに提供することができます。
時間が経過しても冷たい・温かい状態を維持できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
デメリットとしては、身体が大きな犬の場合は水がこぼれやすいため、頻繁な清掃が必要になるほか、本体の清掃・フィルター交換が手間になることなどがあげられます。
ボトル式の給水器

ケージなどに取り付けて、ボトルから給水するタイプの給水器は、水を飲んでいるときや誤って給水機にあたってしまった際に、水が大量にこぼれる心配がありません。
また、空気と触れる面積が少ないため、ほこりが入りにくい・雑菌が繁殖しにくいといったメリットもあります。
デメリットは、一度に大量の水を飲めないことです。
夏場の散歩のあとのように、のどが渇いている場面では十分に潤すことが難しくなります。
そのような場合は給水機に頼るだけでなく、トレーに水を用意してあげてしっかり水分補給ができるようにしてあげましょう。
形状だけでなく高さにもこだわりましょう

ご飯を入れる容器もですが、給水器やトレーはペットに合わせた高さで水分補給ができるように、調整してあげることが大切です。
床にじかに置いた場合、ほとんどのペットにおいて高さが低く、首や背中の負担になることがあります。
また、高さが高すぎる場合も同様です。
特に高齢や病気のペットの場合、配慮してあげましょう。
成長期のペットは、身体が大きくなるにつれて高さも少しずつ高くします。
快適な高さで食事ができれば、そうでない場合と比較して床が汚れにくくもなります。
目安として、ペットが座ったときの肩の高さと同じくらいか、少し低いくらいが快適に食事できる高さです。
既製品を利用したり、DIYで製作したりして、ペットにとって快適な高さで食事ができるようにしてあげましょう。
きれいとおいしさを保つペットの水替えについて

ペットの水は、適切な頻度で水替えを行うことで、清潔さとおいしさを保つことができます。
水は、毎日交換してあげましょう。
水道水の場合は塩素の殺菌効果によって、数日間は鮮度を保つことが可能です。
しかし、トレーに入れた水は目に見えない埃や汚れなどが入り込むこともあるため、毎日交換してあげる必要があります。
また、水道水であっても真夏の炎天下では塩素が抜けやすく、食中毒を引き起こしやすくなります。
それだけでなく、数時間置いているだけで冷たい水もぬるま湯のような温度になってしまうでしょう。
屋外で温度が高い場所にある水は、1日に何度か交換してあげることが大切です。
ミネラルウォーターやウォーターサーバーの水を使用している場合でも、毎日必ず新しい水と交換してあげましょう。
ペットは夏だけでなく冬も水分補給をさせましょう

夏は、熱中症や脱水などのリスクから、ペットの水分摂取を意識される方は多いと思います。
しかし、夏だけでなく冬も注意が必要です。
冬は、ペットものどの渇きを感じにくくなるため、水分摂取量が少なくなりがちです。
じつは、冬はペットの泌尿器系のトラブルが多くなります。
そのほかにも、
- 便秘
- 皮膚の乾燥
- 代謝の低下
などにもつながります。
これらのトラブルは、水分補給が不十分であることから発症リスクが高くなってしまうのです。
水分摂取量を維持することでリスクを減らすことができるため、少しずつでも積極的に水分をとるよう工夫してあげましょう。
- 温かい水を用意する
- ドライフードの場合は水分を含ませてふやかす
- ウェットフードを取り入れる
- 水場を複数個所に設置する など
まとめ
ペットの健康維持に欠かせない水は、なるべく新鮮できれいなものを与えたいと、多くの飼い主が思っているはずです。
基本的には水は水道水を使用して、必要に応じて軟水のミネラルウォーターやウォーターサーバーなどを利用するとよいでしょう。
今回ご紹介した水の選び方やトレー・給水機の種類を参考に、ペットが快適に水分補給ができるよう工夫してみてください。
水分補給は季節を問わず大切です。
ペットがいつまでも健康を維持できるよう、きれいでおいしい水を提供してあげましょう。


